小林製薬は28日、新たに、紅麹のサプリメントを摂取していた2人が、死亡していたと発表した。大阪市で株主総会が開かれ、社長が涙を流す場面もあった。

【動画】小林製薬社長が涙 「泣いたってどうしようもない」怒る株主 サプリ摂取で死亡は4人

■小林製薬に対し怒りをにじませる株主

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28日、大阪市内のホテルで小林製薬の株主総会が開かれた。渦中の社長から説明を受ける株主たちは、怒りをにじませていた。

株主(70代):憤慨していますよ!株も下がったしね。なんで1月15日に、お医者さんから電話入ったんでしょう?動かないの?あの時に動かないとだめよ。管理責任ですよ。

株主(60代):なんでこんなこと起きたんやろってショックが大きい。(小林製薬に)期待していた部分もあるのに。こんなことが起こるんだなっていう、驚きと悲しみ。

84人の株主が参加し、午前10時から始まった非公開での総会。

10年以上社長を務める小林章浩社長は、「社内も落胆してるところもあると思うんですけど、われわれ、新製品を開発して、世の中によろんでいただく会社ですので…それをしっかりと…」と涙ながらに語った。

一方、この席で、小林社長から株主に対し、「紅麹コレステヘルプ」のサプリメントを摂取していた2人が新たに死亡していたことが伝えられた。

■新たに判明した死亡の2人のサプリ摂取と死亡の因果関係は不明

新たに判明した2人は、腎疾患と疑われる症状があったということだが、摂取と死亡の因果関係は、まだ分かっていない。これで「紅麹コレステヘルプ」を摂取して亡くなったのは合わせて4人に。

3月22日に開かれた会見では、体調不良を訴えた人たちが摂取していたサプリからは、「未知の成分」が検出されたと、次のように説明していた。

小林製薬 渡邊淳執行役員:(成分が)どこから入ったのか、出てきているのかは、特定できていません。まだまだ仮説段階だが、カビからつくられるものがあるのでは。

小林製薬は「未知の成分」が含まれていた製品は、2023年4月から10月に生産されたもので、2023年7月から12月に出荷されたと明らかにしている。

しかし28日、新たにわかった死者について、1人は2021年頃、もう1人は2022年初旬頃にサプリを摂取していたという。

「未知の成分」が検出された製品とは製造時期は異なるものの、小林製薬は「サプリが原因となった疑いがある」として調査を進めている。

■社長と役員の再任は可決 株主からは管理体制を問う厳しい声

約2時間にわたって、これまでの経緯の説明や質疑応答が行われた28日の株主総会では、小林社長など取締役7人の再任が可決された。

一方、経営陣に対しては、出席者84人のうち、のべ23人の株主から質問があり、中には製品と健康被害の関連や経営体制などについて厳しい質問もあった。

株主:社長は『因果関係が明確になってない』。どういう気持ちで、こういう発言ができるのか。
社長:大変重く責任を受け止めております。これから全社を挙げて、経営の改革に取り組んでまいります。

株主:いまの段階で4人が亡くなったかもしれないのは重大。どなたが責任取る?」
社長:(再発防止策への)多くの取り組みがあるので、まずは私が責任者として進める。原因を特定できていないので、何が責任なのか、お答えすることはできない。

総会の終盤、涙を流し語った小林社長。「われわれ、新製品を開発してよろこんでいただく会社なので…しっかりと…」と言葉を詰まらせた。

そして「健康被害に遭っている方に、真摯に対応していく」と述べた。

総会に出席した後の株主からは厳しい声が聞かれた。

株主:私も管理責任のことは強く言いましたし、管理体制まずいよね。管理がなってないと思うよ。因果関係がどうのこうのと言って、認めるとか認めないとか、そういう問題を先に考えちゃうんだね、経営者はね。

株主:役員を新しく変えないと、いまの体制じゃなかなか。責任追及はどうするんだ。

(Q.社長の様子は?)
小林製薬 広報担当者:気持ちが表れているコメントだったと、私たち社員は感じた。

■「被害者が請求すると因果関係の立証しなければいけない」と菊地弁護士

サプリメントの摂取と死亡の因果関係は調査中だが、すでに4人が亡くなっていることがわかり、原因が特定できていないという状況は、消費者にとって不安が募る。

亡くなった方も含め、健康被害にあった方への補償について、番組コメンテーターの菊地幸夫弁護士は「被害にあった方が請求すると、“未知の物質”と自身の健康被害との因果関係、そのメカニズムを立証しなければいけない。それは被害者にとっては相当ハードルが高い。今後、小林製薬が法を超えてどのように対応するのかという姿勢が問われる」と言う。

株主総会では小林製薬の管理体制を問う声が上がった。

関西テレビ 神崎博報道デスク:要は危機管理。人の口に入れるものを作っている製薬会社、他の食品会社も含み、例えば、健康被害の報告が複数上がってきた時点で、まずは使用停止すると判断して、その後に因果関係を調べるという順番が、本当は適切。今回は複数の健康被害の報告があったにも関わらず、因果関係が分からないと、発表を後ろ倒し、健康被害が広がっている恐れがある。危機管理というのは、本来であれば最初に使用を止めるべき。

小林製薬は29日、記者会見を開き、再度これまでの経緯を説明する場を設けるという。

(関西テレビ「newsランナー」2024年3月28日放送)

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