搭乗員8人が死亡した鹿児島・屋久島沖の米軍オスプレイ墜落事故から3カ月余り、アメリカ軍は全世界で停止していたオスプレイの飛行再開を決めた。詳細な原因が明らかにされない中、屋久島の住民からは不安も聞かれた。

墜落原因明らかにされず…飛行停止解除

2023年11月29日に搭乗員8人が死亡した鹿児島・屋久島沖の米軍オスプレイ墜落事故から3カ月余り。2024年3月8日夜、防衛省はアメリカ軍がオスプレイ飛行停止を解除したことを発表した。

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木原防衛相は「アメリカ側からは事故の状況や原因、安全対策について、前例のないレベルで詳細な情報提供を受けており、防衛省・自衛隊の専門的な見地や、運用者の立場からも合理的であると評価している」と述べた。

しかし、事故原因については「報告書が公表されるまでは、米国内法上の制限により、詳細について対外的に明らかにできないと説明を受けている」と述べるにとどまった。

原因の詳細が明かされない中での飛行再開に、屋久島町の住民からは「怖いですね。原因もはっきりしないのに。島民は納得しないのではないか」、「ちゃんと原因を究明してから、安全性を100%確認してからでも遅くはないのではないか」といった声も聞かれた。

あの日、墜落するオスプレイを目撃していた漁師の中島正道さんは、墜落の場面を鮮明に記憶していた。

墜落事故を目撃していた漁師・中島正道さん
墜落事故を目撃していた漁師・中島正道さん

墜落事故を目撃・中島正道さん:
目の前でオスプレイが落ちた。「やはり落ちたか」という気持ちがあった。落ちたあと、水中で1回爆発して空中で火の玉ができて2回激しい爆発があった。救助に向かった時は水面にオスプレイの残骸、割れたヘルメットなどがあり、爆発のすさまじさがわかる感じだった。あれがもし人のいるところに落ちたら、大変なことになるのではと思った

事故発生後、自衛隊や海上保安庁による現場海域の捜索が行われ、一時、漁業制限区域も設定された。中島さんによると「(捜索などの)影響かどうかわからないが」と前置きしたうえで、特産のシマアジ漁の水揚げは前年の半分くらいに落ちたと話す。今後、近くの海域ではミズイカ漁が始まるが、始まってみないと影響はわからないということだ。

そのうえで中島さんは「実感として『危ない飛行機』という印象がある。日米地位協定で、米軍が何かやりたい時は日本政府は認めるしかない。そこが一番問題ではないか。何度も落ちている。今回が最後の墜落になるかどうかは保証できないと思う。またどこかで落ちそうな感じがする」と不安を口にした。

依然、安全性に不安を抱く声が根強いオスプレイ。飛行再開の前に住民が納得できるような説明が求められる。

(鹿児島テレビ)

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