2023年、SNS型投資詐欺とロマンス詐欺の被害が特殊詐欺の被害額を初めて超え、合計で455億円余りに達したことが警察庁から発表された。
SNS型投資詐欺の被害が急増しており、有名人を騙る手口が多く、警察庁は注意を呼びかけている。

合計455億円の被害

「SNS型投資詐欺」と「ロマンス詐欺」が急増し、特殊詐欺の被害を初めて超えたことが分かった。

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警察庁によると、2023年1年間に確認された被害は、SNSを使った投資詐欺が2271件、恋愛感情を悪用する「ロマンス詐欺」が1575件に上った。
2つの被害は合わせて455億円余りで、特殊詐欺の被害額を初めて超えた。ロマンス詐欺の被害者は女性がやや多く、被害額は平均で1000万円以上だった。

「SNS型投資詐欺」では投資家や著名学者、芸能人などを名乗って近づく手口が多く、新NISAや連日の株高など投資熱が高まっていることが背景にあるとみられている。
警察庁は、SNS事業者と連携して注意を呼びかけている。

ここからは、社会部・警察庁担当の尾瀬真澄記者がお伝えする。有名人をかたった「ニセ広告」は、実際にどんなものがあるのだろうか。

池上彰さんの写真を使って「投資の世界を解き明かします!」と謳ったページや、堀江貴文さんの写真を使って「1週間100万円ゲット」と表記されているニセ広告などがある。
他にも、わかっているだけでも森永卓郎さん、田原総一朗さんなどの、多くのニセ広告がSNS上にあった。

こうしたSNSの広告やインスタグラムのダイレクトメールで誘いを受けて、お金をだまし取られる人が急増している。

警察庁はSNS型の投資詐欺が爆発的に増えていることを受けて、初めてその認知件数と被害額を発表した。わかっているだけでも2271件、被害額は約278億円に上る。
月ごとに詳しく見てみると、1月は8億6000万円だが、12月は53億円と、ここ最近で本当に爆発的に増えていることがわかる。

巧妙な手口も多い

日経平均株価が初めて4万円を突破するなど、投資熱が高まっているという事情も影響しているのだろうか。

そういった影響はあると思われる。最初は軽い気持ちで連絡をとったり、半信半疑でも大抵の場合は、グループラインで他の人も投資しているのを見せられたり、その後の1対1の丁寧なやりとりを重ねて、どんどん信じ込んでいってしまうという。
中にはAIで生成したと思われる精巧な音声メッセージで、相手を信用させるといったケースもある。

実際に、どんな手口でお金をだまし取るのだろうか。

かなり巧妙な事も多い。多くは著名人の写真をアイコンにするなどしたSNSから「著名人の助手や知り合いの投資グループ」などのグループラインに招待され、「著名人がこれは儲かると言っている」などの謳い文句で投資を勧めたり、「友達になりましょう」とダイレクトメッセージで近づき、「金融取引の専門家の叔父がいる」などと投資を勧められるケースがある。

その後は、「倍増プランがある」や「増やせば利益が出ます」などと、繰り返し振り込みをさせられると言う手口だ。

こういったニセ広告で騙されないために、どのようなことに気をつければ良いのだろうか。

警察庁は、「SNS上での投資話はとにかく疑って」とした上で、「著名人との1対1や少人数のグループ」で投資を勧誘する内容にはなりすましなども多いので、「安易に応じないよう」注意が必要としている。
もし、こうした投資話に応じてしまった場合は、警察の相談窓口に連絡するよう呼びかけている。
(「イット!」 3月7日放送より)

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