鉛筆の芯で“泡立て器”を完成させたアートがX(旧Twitter)で話題になっている。
【彫刻メイキング】
鉛筆の芯から泡立て器ができるまで。
こんなコメントとともに投稿された1本の動画。刃やヤスリなど、様々な道具を使って鉛筆の芯が削られていく。泡立て器の姿に近づくにつれて、作業はさらに緻密に…。泡立て器のワイヤーの間を削っていく様子は見ているだけでも緊張してしまう。
作ったのは、新潟で鉛筆彫刻をしているシロイ/鉛筆彫刻人(@shiroi003)さん。

使用した鉛筆の芯の直径は4mmで、泡立て器部分の全長は18mm。泡立て器のワイヤー1本1本の太さは、なんと約0.7mmほどだという。
1ミリ以下の繊細な“作業”にユーザーからは「してることが凄すぎて…言葉失っちゃいます」「芯もびっくり!!しちゃいそうですね」「見ている間息が止まる笑」などのコメントが寄せられ、1万5000件を超える「いいね」がついている(3月4日現在)。
空間を開ける作業に挑戦したい!
シロイさんはこれまでもいろんな物を題材に鉛筆彫刻をしていたようだが、今回はなぜ泡立て器に目をつけたのだろうか。制作過程やこだわりと合わせて聞いてみた。

――そもそも、どのようにして作っていったの?
基本的に鉛筆彫刻は上から下へと彫刻してきます。ですので引っ掛ける輪っか、持ち手、泡立て部分と順番に作りました。
――こだわった部分や難しかった部分を教えて。
泡立て部分の空間作りです。刃やヤスリを入れる力加減や角度を間違えると即ポキっと折れてしまうので、緊張感と神経を使う作業が続きました。

――中に空間ができるようなデザインは、やっぱり難しい?
難しいですね。そしてこの空間を開ける作業が今作で挑戦したかった部分です。
――どうして泡立て器を作ろうと思った?
最近は「日常よく見るもの」を彫刻するようにしていまして、この前にフライ返しを作った流れからキッチン用品、そしてその中でも彫刻しがいのありそうな泡立て器を選びました。

――“キッチン用品”をシリーズで作っているの?
キッチン用品はまだ作りたいものもありますが、特に「シリーズ」としては固定せず、その時に「作りたい!」と思ったものを作ってますね。結果的にそれが積み重なってシリーズになるかもしれませんね。
――作品に使う鉛筆のかたさはどのくらい?
私が使う硬度は3B、4B、6Bをよく使います。硬さだけでなく太さも変わってきますので、作る題材によって使い分けています。
「時間が戻らないかな」失敗も経験に
――完成する前に一度折れてしまったようだけど…トータルでどれくらい時間がかかった?
2本ですと、作業時間合計は18時間ほどですね。

――完成する前に折れてしまうと、どんな気持ちになる?
「ああぁぁぁ~~~」ってなります笑 鉛筆彫刻は完成目前が一番もろく折れやすくなりますので完成前に折れることは何度もあるのですが、そうなると「時間が戻らないかな」とも思ったりします。しかし時間が戻ることはありませんので1つの経験として受け入れられるよう努めます。
手が震えながら…難しかった作品
ちなみにシロイさん、3年前には鉛筆の芯で作られた東京スカイツリーが話題になり、編集部でも取材している。

(参考記事:鉛筆の芯で作った“東京スカイツリー”が繊細すぎる…27時間かけた彫刻のコツを聞いた)
作品はその頃から60ほど増えたという。

――前回取材時からお気に入りの作品は増えた?
お気に入りは「芯鮮フルーツ」ですね。

――これまでの作品で一番難しかったものは?
鉛筆の間を40個の鎖にした「Pencil chain 40」という作品ですね。作業自体は同じ作業の繰り返しなのですが「途中で折れたら全てが水の泡となる」という緊張感と恐怖心がやばかったです。30個目辺りから手が震えながらの作業でした。
――制作中どのようにリフレッシュしている?
集中力のいる作業ですので、1日4~5時間が作業の限界ですね。リフレッシュは好きな音楽を聞いたりドライブに行ったりします。
【彫刻メイキング】
— シロイ/鉛筆彫刻人✏ (@shiroi003) February 24, 2024
鉛筆の芯から泡立て器ができるまで。 pic.twitter.com/DxSWvFrXAi
かなりの緊張感で神経を使うという、鉛筆彫刻。制作過程が気になる人は、SNSにアップされているシロイさんの彫刻メイキング動画をぜひチェックしてみてほしい。