香川県の讃岐地方のことわざ「アリが巣穴をふさぐと雨」。このことわざの通り、アリには“天気を察知する能力”があるのか? それとも根拠のない迷信なのか? 気になる“真相”を徹底検証した。

“アリが天気を察知”あなたは信じる?

今回、検証するのは、高松海上保安部のウェブサイトに掲載されている讃岐地方のことわざ「アリが巣穴をふさぐと雨」。

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つまり、アリには雨を予測する能力があり、水が巣穴に入らないよう、雨が降る前にふさぐと言い伝えられている。    

“アリが巣穴をふさぐと雨”と信じる?信じない?果たしてどっち! 街ゆく人にインタビューしてみた。

“信じる”と答えた人たちからは、「信じるでしょ」「ありありあり。アリはそういう能力あり」「信じる。おうち(巣穴)に雨が降ったら大変だから」「夢みたいな話だが、なんか信じてみたい」などの声が聞かれた。

一方、“信じない”と答えた人たちからは、「全く聞いたことない」「根拠あればいいけど、根拠なくない?」「自然現象だから予測できない」などの様々な意見が飛び交った。    

50人に聞いたところ、「信じる」が20人、「信じない」が30人だった。

6時間に及ぶ検証の結果…

そこで、実際に検証するため高知市の公園にやってきた。天気は快晴、雲はほとんどない。
そして、次の日の天気予報は雨で、条件はばっちり整っている。

巣穴にスマートフォンのカメラを設置しアリの動きを観察。ことわざが正しければアリが巣穴をふさぐはず。

すると10分後、ある動きが…。
自分の大きさぐらいある小石を持ち上げて、軽々と巣穴の外に運び出していた。その後もアリは休むことなく、せっせと巣穴から土を運び出していた。

しかし、検証開始から6時間がたったが、アリの巣穴はふさがれていなかった。

専門家にことわざの“真相”を聞いた

果たして、このことわざに科学的根拠はあるのか。アリを研究する九州大学の村上准教授に聞いた。

アリの専門家・九州大学 決断科学センター 村上貴弘准教授:
残念ながらこれは迷信です。アリに天気を予想する能力はございません。研究者共通の認識として、アリが天気を予測して行動を変えるということはございません。

ではなぜ、このことわざが生まれたのか。村上准教授はその背景に「2つの勘違い」があると推測する。    

アリの専門家・九州大学 決断科学センター 村上貴弘准教授:
(アリは)巣穴が壊れたときに補修をする。巣穴に水が入ったりすると巣穴の土を盛んに巣の周辺に盛るんです。あたかもふたをしたように見える。

つまり、雨が降った後の晴れの日に、アリが巣穴から土を運び出す様子を穴をふさいでいると勘違い。さらに、翌日、雨が降ったことで、アリに雨を予測する能力があると勘違いしたのではないかということ。    

ことわざを信じると回答した人に迷信と伝えびっくりする様子
ことわざを信じると回答した人に迷信と伝えびっくりする様子

この専門家の分析をことわざを信じると回答した人に伝えたところ、「ない!そうなんだー。夢というか、信じてみたかった」「ないんや!なんで!? 信じるとか言うてしもうたやん」「それはちょっと…あると信じる。信じる者は救われる」と様々な反応を見せた。

(高知さんさんテレビ)

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