福島県塙町の牧場の経営を引き継ぎ「酪農家になる」という夢を叶えた、埼玉県出身の高橋純真さん(29)と帆乃佳さん(28)夫婦。コロナ禍で牛乳の需要が減少したりエサ代の高騰が続いたりと、逆風が吹く中でも夢に見ていた酪農家として歩み始めている。

酪農家に…それぞれの夢

子どもの頃からイヌと暮らし、動物に関わる仕事をしたいと畜産系の大学に進んだ帆乃佳さん。高校の生物の授業で動物の遺伝子に興味を持ち、大学でウシの遺伝子について学んだ純真さん。

動物に関わる仕事をしたいと畜産系の大学に進んだ帆乃佳さん
動物に関わる仕事をしたいと畜産系の大学に進んだ帆乃佳さん
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それぞれ「酪農家になる」という夢に向かって、純真さんはウシのヒヅメを削る仕事。帆乃佳さんは、酪農家の組合の全国組織に就職して知識を深め視野を広げてきた。

大学で牛の遺伝子について学んだ純真さん
大学で牛の遺伝子について学んだ純真さん

実現した自分たちの牧場

そして、酪農家を養成する「アカデミー」で研修を積むなかで、廃業を考えていた福島県塙町の牧場を紹介され、買い取ることを決断。2023年11月に念願だった「酪農家」となった。

廃業を考えていた牧場を譲り受ける
廃業を考えていた牧場を譲り受ける

帆乃佳さんは「学生の頃からの夢であったので、それを叶えられた喜びが一番大きい」と話し、純真さんは「エサや綺麗にしてあげるという手間をかければかけるほど、ウシがその分 頑張ってくれるというか、牛乳の生産量という形で応えてくれるのが嬉しい場面」と話す。

酪農家の仕事に喜びとやりがいを感じている
酪農家の仕事に喜びとやりがいを感じている

酪農家ならではの喜び

午前4時・夜明け前に、2人の牧場「らっきーべこファーム」の一日が始まる。ウシの体調を確認しながら、丁寧に乳を絞り出荷する。

ウシの体調を見ながら搾乳作業
ウシの体調を見ながら搾乳作業

午前7時半、朝の作業がひと段落すると、次は自分たちの朝ごはん。絞ったばかりの生乳で、ミルクカレースープを作った。その味は…「完璧ですよ、これは。おいしいです。ミルク全部使ったスープは、酪農家ならでは」と純真さんは大満足の様子。

酪農家のならでは ミルクたっぷりのスープ
酪農家のならでは ミルクたっぷりのスープ

夫婦であり仲間 互いに感謝

共に支え合って生活する2人。帆乃佳さんは「今日に至るまで、あらゆる面でその夢を叶えるための行動を一緒にしてくれた。本当にこんな出会いはなかなか無いというくらい、信頼している」と話し、純真さんは「どちらが片方だけでは、絶対に実現しなかった夢だと思っている」と話した。

同じ夢に向かって歩んできた2人
同じ夢に向かって歩んできた2人

支えてくれる存在は他にも

40年以上前に、この牧場を始めた佐藤勝さん。牧場を譲った今も、2人の挑戦を見守りアドバイスしている。佐藤さんについて、帆乃佳さんは「仕事に関してもそうですけど、私生活に関しても身近に居てくれる“第2の父・母”といいますか。奥様の文子さんにもお世話になっています」と話し、純真さんも「本当にありがたい存在。頭上がらないですね、勝さんには」と話す。

前の牧場主の佐藤さん 2人にとって”福島の父”
前の牧場主の佐藤さん 2人にとって”福島の父”

一方の佐藤さんも、年齢を理由に廃業を考えたが、手塩にかけて育て なくしたくなかった牛たちと牧場を、情熱を持って引き継いでくれた2人には感謝している。佐藤さんは「塙町でも新規就農っていうのは、高橋さん達が多分初めてだと思う。彼らが先頭に立ってね、取り組んでいってもらえれば、いいと思う」と2人に期待を寄せている。

佐藤さんも2人に感謝 これからに期待する
佐藤さんも2人に感謝 これからに期待する

これからも感謝を忘れず

酪農家としてスタートを切ったばかりの、純真さんと帆乃佳さん。「らっきーべこファーム」という名前には、支えてくれた人たちへの感謝が込められている。帆乃佳さんは「多くの人に助けて頂きました。就農出来たことへの“ラッキー”“幸運”を牧場名に付けた」と話す。

「らっきーべこファーム」牧場名に感謝を込めて
「らっきーべこファーム」牧場名に感謝を込めて

そして2024年春には、家族が増える。純真さんは「もちろん楽しみ、ずっと欲しかったので。親が酪農家と子どもが自慢出来るような環境にしていきたいと思う」と話した。

子どもが誇れる酪農家に
子どもが誇れる酪農家に

酪農家として、そして親として。多くの支えと幸運に感謝をしながら、2人は歩んでいく。

(福島テレビ)

福島テレビ
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