能登半島地震で被害を受けた漁師を応援し、復興の手助けになればと、東京で富山の魚の魅力を伝えている2人の男性がいる。元日は帰省していて被災したものの、故郷を支えたいと仕事に復帰。復興を願いながら富山の海の幸の魅力を伝え続けている。
「広がり続ける支援の輪」

東京・日本橋にある「日本橋とやま館」。
富山の特産品、約1800点を販売する、富山県のアンテナショップだ。
富山の商品を購入して復興を支援したいと、1月4日の初売りから、連日多くの人が買い物に訪れている。店内には募金箱が設置され、毎日多くの義援金が集まっているという。
館内にあるレストランでは、富山の冬の味覚を味わおうと、東京だけでなく、関東近県からも、毎日多くの人が訪れていた。

料理長を務めるのは、富山県射水市出身の浜守淳さん。
浜守さんは能登半島地震が発生した元日、富山に帰省していて、初詣に訪れていたときに被災し、足をケガした。しかし、東京で富山の美味しい魚を届けて復興につなげたいと、すぐに仕事に復帰した。
富山 はま作 浜守淳料理長:
「(流通は)すごく心配していて、品物が入らないんじゃないかと思っていたんですが、みなさんのがんばりで、富山の仕入れ先に連絡したら、次の日に届いたんですよ。僕にできることは、富山から届いた食材の魅力をお客さんに伝えて。そして落ち着いたころには、富山に遊びに行ってもらえればというのが僕の願いでもあります。」

この時期、東京の客が楽しみにしているのが、富山湾の寒ブリ。店では、ブリのコース料理、ブリの刺身や照り焼きをのせた丼を味わうことができる。
富山 はま作 浜守淳料理長:
「美味しいんですよ、他の地域のブリも。でも富山湾のものを食べてしまうと、圧倒的な旨みと香りと脂の乗りがあって適わない。富山湾に入ったタイミングが一番ブリの身のしまりがあって、脂が乗っている。これが本物の富山のブリですよっていうことをアピールするのが、このお店の役割なので生産者の想いと気持ちをなるべく伝えられるように、説明しながら出しています。」
「富山のみなさんにも元気を」

都心から西におよそ40キロ、八王子にある「山本鮮魚店」。
年間約120種類の富山の魚を扱っているこの店でも支援の輪が広がっている。

店主の山本智さんは、黒部市出身。
学生時代に上京して、この店の前身「とやまフーズ」でアルバイトしたことがきっかけで、魚のさばき方などを習い、16年前に店を受け継いだ。
種類豊富な富山湾の魚を、海から遠い多摩地区でも楽しんでほしいと、氷見や魚津などの鮮魚店から、直接魚を仕入れ、毎朝届く魚を、そのままお店に並べている。

この日届いたのは、重さ16キロの「ひみ寒ぶり」。
常連客の中には、地震の被害を聞き、富山の魚を購入して復興につながればと来店する人もいた。
山本鮮魚店 山本智さん:
「富山県の魚、北陸の魚が美味しいとお伝えすることが、富山のみなさんにも元気を与えることになると思っているので、頑張っていきたいと思っています」
東京で富山の魚をPRしながら、ふるさとを想う2人。復興を支援するひとつの形がここにある。
(富山テレビ)