自民党の政治資金を巡る事件で、岸田首相が窮地に追い込まれている。東京地検特捜部は、岸田派でも収支報告書の不記載があったとして、19日にも元会計責任者を立件する方向で検討していることが分かった。

「政治とカネ」を巡る問題が、自ら会長を務めていた派閥にも及ぶことになった岸田首相。収支報告書への不記載の背景として「ミスの積み重ね」だとしているが、このような説明で国民は納得できるのか?

関西テレビ 神崎報道デスク:今回、岸田首相がトップを務めていた派閥から、会計責任者が立件されるということで、永田町では『流れが変わってきた』という話が出てきています。これは岸田首相本人の責任問題になるということで、次の通常国会は乗り越えられない、もう岸田政権はもたないんじゃないかという話も出てきています。

■自民党の政治資金問題 今後の捜査は?

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今後の捜査の方向性について

・18日に明らかになった岸田派の不記載について、東京地検特捜部は元会計責任者を立件する方針

・安倍派は、すでに池田衆議院議員が逮捕されたが、特捜部は派閥幹部については不起訴とし、一方で会計責任者と一部議員を立件する方針

・二階派は、派閥のトップである二階会長の事務所が3000万円を中抜きするなど裏金化していたことが分かっている。特捜部は二階派の会計責任者と二階元幹事長の秘書を立件する方針

一連の問題において、派閥の幹部クラスの議員の立件は見送られる方針となっている。会計責任者との共謀を問うことは、かなりハードルが高いのだろうか?

菊地幸夫弁護士:今の政治資金規正法は、国会議員の資金管理団体の会計責任者が収支報告書に記載する義務がある。議員にはその義務はない前提です。ですから会計責任者が立件されるんです。議員の立件というのは、議員と会計責任者の示し合い、話し合い、合意があったことが必要になります。裁判で有罪とするためには、議員と会計責任者の連絡についてある程度証拠を出せないとなりません。そこが否認されていて、立証にたどりつかなかったんでしょう。

■「連座制」導入すべきという議員も

法律を見直すべきだという声が議員の間からも上がっている。立憲民主党の岡田克也幹事長は収支報告書に虚偽記載などがあった場合、会計責任者だけではなく、議員も処罰対象にすべきだとしている。

政治家にも立候補の制限などが科される「連座制」を導入すべきだとする国会議員の声もあるということだが、自民党幹部は連座制について「議論を経て方向性を見出していくことになる」としている。

■「ザル法」と言われてきた政治資金規正法は見直されるのか

政治資金規正法には適用されていない連座制だが、連座制を導入することによって、事件の再発を防ぐことはできるのだろうか?

菊地幸夫弁護士:少しは効果があると思います。今だと議員は『会計責任者がやったことで、私は知りません。全然連絡を受けてません』となる。それで今回、首脳陣の立件には届かなかったわけです。連座制が適用されると、議員にも責任が及んで、公民権停止で立候補できないというペナルティーがありますから、少しは会計がクリアになると思います。ただ連座制どうこうではなくて、自分の資金管理団体のお金をちゃんと報告する義務があるのは当然で、会計責任者ではなく議員自身が記載義務者になればいいだけのことだと思います。

抜け穴が多く「ザル法」だと言われてきた政治資金規正法だが、厳しい見直しが行われるのか、しっかり見ていきたい。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年1月18日放送)

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