自民党の佐藤正久元外務副大臣は7日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、13日の投開票日まで1週間を切った台湾総統選挙に関し、親米路線の与党・民進党の頼清徳(らい・せいとく)候補が勝利した場合、「5月20日の総統就任式までの間、中国による軍事的圧力を含む介入が活発化する」との見通しを示した。

総統選について佐藤氏は、すでに中国が介入しているとの見方を示した上で、「独立派の頼清徳候補に加え、より独立派の(副総統候補の)蕭美琴(しょう・びきん)氏のコンビに対し、中国はものすごく批判をしている」と述べ、民進党勝利ならさらに介入を活発化させる可能性に言及した。

一方、羽田空港で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した事故をめぐり、番組コメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は、原因究明と再発防止のために関係者の刑事免責を可能とする法整備の必要性を訴えた。佐藤氏は「重く受け止める」と応じた。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
1月2日に羽田空港で起きた衝突事故では、日本航空機の乗客乗員379人全員が脱出した。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
今回の事故では、海保機の機長が管制塔とのやりとりで(滑走路に)進入していいという認識でいたという証言をしているようだが、実際に進入した場合にそれを知らせる管制塔側のシステムがうまく機能していなかったという。いくつかのヒューマンエラーが重なった上の不幸な事故という側面がある。再発防止をどうするか。

佐藤正久氏(自民党参院議員・元防衛政務官・元外務副大臣):
二重三重のヒューマンエラーが絶対起きないという保証はない以上、技術力、機械力で補うことが基本だ。滑走路に、管制の許可を受けていない航空機が進入した時に、(管制用の)画面上は黄色くなるが、警報音は鳴らない。大きな警報音がなるようにする。あるいは、誘導路の停止位置にはペンキのマークだけではなくて、信号のように赤や緑の表示灯が実際あるらしいが、今回は使われていなかった。これを常時使えるようにする。赤いラインを踏み出したら、大きな警報音が管制塔内に鳴るようにするなど、機械力、技術力を合わせることは必要だ。ただ、基本は、管制官や機長、副操縦士等の基本動作の徹底だ。あくまでも機械は二次的なものとしてさらに(警戒の)レベルを上げることが大事だ。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
僕も佐藤さんが言うように技術を使うしかないと思う。聞くところでは、今までは技術が追いついていなかったところもあるらしい。それほど複雑な作業を管制官はしていた。いま技術力が追いついてきているのだから、なんとかシステムで解決してもらいたい。これから調査をして何が問題だったのかを解明していくときに、刑事責任の追及をやってしまうのはよくないと思う。刑事責任の追及をやってしまうと、個々人には防御権も黙秘権もあるから、すべて真実を語るかというと、そうではなくなってしまう場合がある。だから刑事免責を与えて、免責をする代わりに真実をすべて語ってもらう。個々人の責任追及というよりも、管制システム全体としての責任問題として、問題点の解明をしなければいけない。

梅津キャスター:
日本ではまだそういう手段は取れないのか。

橋下氏:
免責がきちんと与えられる法制度になっていない。医療や交通関係の重大事故について免責を与える(べきだ)。ある意味これは司法取引的なところもあって日本にはなじまないという考えもあるが、今後の重大事故を防ぐためにも、免責を与えて真実を解明するための法整備をぜひ国会議員にやってもらいたい。

佐藤氏:
事故原因が分からなければ、再発防止策は取れない。ご指摘を重く受け止めたい。

松山キャスター:
調査と捜査を切り離してやっていく方法もあるということですね。

梅津キャスター:
日本の安全保障にも影響を及ぼす台湾総統選の投開票まで1週間を切った。現総統の蔡英文氏の後継者でアメリカとの関係を重視する与党・民進党の頼清徳氏のリードが伝えられる中、中国寄りとの指摘がある野党候補も追い上げている。

松山キャスター:
台湾総統選投開票日を目前に控えて、台湾大手メディアの最新の世論調査を見ると、与党・民進党の頼清徳候補が優勢だと伝えられている。そうした中で、台湾国防部によると、中国の偵察気球が連日のように台湾上空を飛行しているという。中国がこの総統選に何らかの影響を与えようとしているとの見方もある。

佐藤氏:
やはり中国による介入なのだろう。経済的に国民党に有利な関税などを使う。あるいは、気球のようなものをわざと台湾本島の中央を横断するような形で飛行させる。SNSに介入し世論を操作するなど様々なことをやっている。民進党総裁候補の頼清徳氏と副総統候補の蕭美琴氏の2人については中国がものすごく批判している。独立派の頼清徳氏に加えて、蕭美琴氏は前アメリカ駐在大使でより独立派だ。この独立派、より独立派のコンビに対して、(中国は)ものすごく批判している。仮にこのコンビが当選すれば、5月20日の新総統就任式までの間、たぶん相当な軍事的圧力を含めた介入が活発化すると思う。

松山キャスター:
アメリカや日本との距離では民進党が非常に近いところにあると言われる中での民進党候補のリードということだが、一方で、野党に目を向けると、今、国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)候補が2位につけている。そしてもう一人、民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)候補。2人は、野党統一候補をまとめるのではないかという話があったが、どちらが総統になるか、副総統になるかということで揉めて、結局不調に終わったようだ。橋下さんは民衆党候補の柯文哲氏とは以前会って小籠包を一緒に食べたりしたそうだが。

橋下氏:
そうだ。柯文哲さんが台北市長だった時に、僕はすでに民間人になっていたが、訪ねて来られた。また、僕が答礼で台湾に行って一緒に食事をさせてもらった。中国との距離感について様々議論したが、今の民進党、国民党両方とも中国との距離感が違うんだということだった。国民党はやはり中国に近すぎる、民進党は遠すぎるということで、柯文哲さんはその間を行くんだというのが、彼の中国との距離感だ。内政問題についても、民進党、国民党には既存政党として様々な既得権があるとして、改革を目指していくと(言っていた)。僕が感じたところでは、世論調査の結果にも出ているが、若い世代にすごく支持されている。柯文哲さんが最後の最後にどちらかにつくかどうかも総統選のポイントになるのかなと思っている。

佐藤氏:
総統選と同時に国会議員選挙も行われていて、民衆党が結構躍進するのではないかと(言われている)。民進党も国民党も過半数を取れなければ、議会で民衆党がキャスチングボートを握ることになる。総統府と立法府がねじれることで、民衆党が相当な力を持つ可能性はある。

橋下氏:
柯文哲さんも日本との関係は非常に大切にされている方だ。

松山キャスター:
なるほど。総統選は議会(構成)の行方というのも合わせて見なければいけない。
            
梅津キャスター:
(13日の)投開票まで1週間を切った。

日曜報道THE PRIME
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