羽田空港で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突・炎上した前代未聞の事故から3日。国交省は事故があった羽田空港のC滑走路について、週明け8日に運行再開が可能になる見込みとしている。

そんな中、今回の事故で議論になっているのが、機内でのペットの扱いだ。

撤去作業すすむも…3連休に大きな影響

羽田空港の滑走路に残された、日本航空の機体の残骸。
黒く焼け焦げた跡も目立ち、巨大な主翼も残されたままとなっていた。

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5日から始まった日航機の撤去作業。

まずは、主翼を重機1台が支え、もう1台の重機が巨大なカッターで切断にとりかかった。
約5分後には主翼が切断され、トラックへと運ばれた。

切断された主翼
切断された主翼

5日の撤去作業では、巨大なビニール製の脱出シューターとみられるものが回収される様子も確認された。

脱出シューターとみられるビニール
脱出シューターとみられるビニール

また、撤去作業が進む中、機体から黒煙が上がり、放水作業が行われるというトラブルも発生。

黒煙が上がった機体の残骸
黒煙が上がった機体の残骸

日本航空は「燃料に引火した可能性があるものの、想定の範囲内で大きな影響はない」とコメントしている。

撤去作業は7日までの完了を目指しているが、羽田空港では5日も欠航が相次ぎ、6日・7日は1日200便の欠航が決定している。今回の事故は、3連休の利用客の予定も大きく狂わせていた。

長崎の実家に帰省予定の乗客:
ちょっとお線香だけでもあげに行こうかと思ったんですけど、今日行けないのであればもうキャンセルするしかないなと思って。

徳島に帰れなくなったという乗客:
僕は仕事休みないです、サービス業なので。明日の便が欠航になっちゃったので、なんでやねんっていう感じですね。何時でもいいから便を確保してほしいなっていう、そんな感じです。

脱出劇の裏に徹底した“90秒ルール”

日航機の乗客乗員379人全員が、衝突から18分で脱出できた今回の事故。

海外メディアが“奇跡の脱出”と報じた脱出劇を支えた要因のひとつに、航空業界の“90秒ルール”と呼ばれる原則があったという。

“90秒ルール”について、日本航空の元客室乗務員・香山万由理さんはこう語る。

ファーストクラスアカデミー代表理事・元JAL客室乗務員 香山万由理さん:
これはアメリカ連邦航空局が定めた安全基準の一つです。
機長から脱出の指示があります、脱出の指示を受けた時点から90秒以内にドアを開けてスライドを出して脱出をするというように私達は訓練をしております。

過去に日本航空の緊急脱出訓練を取材したときの映像を見てみると…。

訓練の様子(2013年)
訓練の様子(2013年)

乗務員:
大丈夫、落ち着いて。私たちの指示に従ってください。

訓練の様子(2013年)
訓練の様子(2013年)

乗務員は乗客を落ち着かせ、安全を確認した後、脱出用のシューターを用意。

香山さんによると、航空機は90秒以内に全員が脱出できる設計になっていて、乗務員は年に1回、90秒以内で避難誘導する訓練を受けるという。

訓練の様子(2013年)
訓練の様子(2013年)

ファーストクラスアカデミー代表理事・元JAL客室乗務員 香山万由理さん:
私達はいつも緊急事態をイメージしながらフライトしておりましたので、日常生活においても何かあったときには何を私がすべきなのかということを常に考える癖はついているかなと思います。
本当に1分1秒を争う事態ですので、常にスピードは意識して行動しております。

今回の事故では、機長から指示を受けるインターフォンが使用できず、客室乗務員が自らの判断で最後部の脱出用シューターを出したことがわかっている。

ファーストクラスアカデミー代表理事・元JAL客室乗務員 香山万由理さん:
今回の場合に関しては、機長と連絡が取れないという状況が起きましたので、その場合はCAたちの独自の判断でドアの開放ができるかどうかというのを判断して、ドアを開けて、90秒以内で脱出をするという行動をとっております。

いろいろな映像を見る中で、ドアが開いてスライドをお客様が降りていって、機外に全員脱出するまで、90秒ぐらいではできたのではないかなと推測いたします。

ペット2匹が犠牲に…悲痛な訴え相次ぐ

また、今回の事故で議論になっているのが、機内でのペットの扱いだ。

炎上した日航機の貨物室には、乗客が預けたペット2匹がいたというが、救出はされなかったという。

元フジテレビのアナウンサー・笠井信輔さんは、今回の事故で愛猫を失ったという乗客のコメントを紹介。すると、このコメント欄に自身もペットを飼っているという女優の石田ゆり子さんが、自らの思いを投稿した。

石田ゆり子さんのインスタグラム:
本当に本当に辛いです。
どうか動物たちが乗っていませんようにと祈っていました。

いろんな意見があると思いつつも、家族同然の動物たちを機内に載せる時、ケージに入れて機内に持ち込めることを許して欲しいです。
災害時、非常時には、モノとしてではなく家族として、最善を尽くす権利を…。生きている命をモノとして扱うことが、私にはどうしても解せないのです。

現在、日本の航空会社では、生き物と一緒に搭乗する場は「手荷物扱い」となり、フライト中は貨物室へ預けられる。これについて、著名人から悲痛な訴えがSNSで相次いだ。

公式SNSより
公式SNSより

元乃木坂46の堀未央奈さんは「どうか、動物たちも手荷物扱いではなくシートで一緒に移動できる動物同伴専用飛行機ができますように。この事件を機に、様々な航空会社の皆様、ご検討よろしくお願いします」と投稿した。

海外では「鳥類持ち込み可」の例も

海外に目を向けると、座席にペットを持ち込める航空会社も少なくない。

アメリカのデルタ航空では、一定の大きさまでの条件付きで、機内の座席に飼い犬や猫などの持ち込みを認めている。

@westievibes on Youtube
@westievibes on Youtube

また、ギリシャのエーゲ航空は、飼い犬をケージに入れて機内へ持ち込むことが可能。

さらに、中東のカタール航空では、ハヤブサも持ち込み可。エコノミークラスの客室に持ち込めるハヤブサは「お一人様1羽」と定められている。

カタール航空公式HPより
カタール航空公式HPより

カタールでは、ハヤブサが富のシンボルとされていて、富裕層対策として機内へのハヤブサの持ち込みが可能なのだという。

スターフライヤーのHPより
スターフライヤーのHPより

そんな中、機内へのペットの持ち込みは、日本でも始まりつつある。

スターフライヤーでは、1月15日から国内線の全ての便で、ケージに入れたペットと一緒に搭乗できるサービスの提供を開始すると発表した。

スターフライヤーのHPより
スターフライヤーのHPより

一方、公式サイトには「緊急脱出が必要になった場合、ペットは連れて行けませんので、ペットを機内に残して脱出いたします」との注意書きもある。
(「イット!」1月5日放送より)