自民党派閥の政治資金パーティー収入をめぐる事件に関し、自民党の田村憲久政調会長代行は24日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、「二度と起こらないように対応していかなければならない」と述べ、政治資金規正法改正を含む制度の見直しの必要性を強調した。
国民民主党の玉木雄一郞代表も「会計責任者のみならず、議員本人にも責任を問う法改正が必要だ」と表明。あわせて政党や派閥が組織的に法令違反に加担している場合に政党助成金を減額する法改正の必要性も訴えた。
元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏は、政治資金収支報告書の作成にあたり、会計責任者が署名する現在の制度について、政治家に責任を負わせるため、政治家本人が署名する制度に改めることから始めるよう主張した。
以下、番組での主なやりとり。
橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
今回の政治資金パーティーの問題はもちろん解明する必要があるが、収支報告書にも記載がない、領収書も出さない、精算もしない、納税もしない億単位の金を政治家が使っているということが本質だ。これから国民に医療保険料を上げますよ、いろいろな負担を求めますよと言っている中で、政治家の皆さん、ちょっといい加減にしてほしい。会計責任者だけに責任が負わされる政治資金規正法(もおかしい)。国民は会計責任者を置き、税理士に頼んでいるが、もし税法違反があれば、会計責任者の責任だと言って逃げることはできない。本人の責任だ。金がないから会計責任者を雇えないといった言い訳も通用しない。政治家たちはどうなっているのか。国民の納税ルールをきちんと政治家にも適用することがいの一番だ。
田村憲久氏(自民等政調会長代行):
まず今回国民の皆様方に、自民党が政策グループ(派閥)の問題で大変不信を抱かせる形になったことをお詫び申し上げたい。今回、政党というより政策グループでの金の流れの問題なので、政策活動費そのものとは違う議論だ。ただ、その政策活動を行うグループは自民党議員が作っているものだから、党としてこのようなことが二度と起こらないように対応していかなければならない。政策活動費の話は別の話として、また議論をしていく必要がある。
玉木雄一郞氏(国民民主党代表):
二つ分けて考えなければいけない。今回、主に話題になっているのは政治資金規正法の問題だ。基本的には会計責任者しか処罰の対象にならないのを、議員本人にも何らかの責任を負わせる方向の改正は必要だ。一方の政党助成法では、国から多額の金が各政党に配られ、それがまた幹事長からいろいろ議員に配られたりするが、政党助成法第4条では、国が交付する時に条件を付けたり、使い道を限定したりするのはダメで、信義に基づいて適正に使わなければいけないとしか書いてない。
橋下氏:
貸付金と借金の返済にもあててはいけないとなっている。
玉木氏:
そうだ。だから政党助成法も改正が必要ではないか。例えば、日大の問題があった。私学助成法では第五条に、不正をした大学への私学助成金を減額することができる規定がある。今回もそうだが、自民党にはいろんなことがあるが、12月の政党助成金交付では全額が入っている。何か運営上おかしなことがあったり、今回のように組織的に法令違反に加担していたりするような場合は、政党助成金を減額する法改正も必要ではないか。政治資金規正法と政党助成法両方の改正を検討していきたい。
橋下氏:
民間であれば、補助金を受けている民間事業者がこんな問題を起こしたら、すぐに補助金全部止められる。自民党には(12月分の政党助成金)約40億円がもう振り込まれたという。こんな大問題を起こしている自民党に(今月だけで)40億円税金が入って、とんでもない。それから、玉木さん、政治資金規正法と政策活動費を分けるのではなく、キックバックの問題も本質は結局、国会議員が何千万円の金を領収書もなく記載もなく、何に使ったかわからないような金を扱っていること。本質的には政策活動費もそうだし、旧文通費もそうだ。要は分からない金はなくすという本質をしっかり捉えて、ルール改正してもらいたい。
玉木氏:
透明性を向上させるのは共通した問題だ。そういう観点から法改正を議論していきたい。
梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
視聴者投票の結果が出た。政治資金パーティー収入「裏金」問題の解明に、「期待する」人が54%、「期待しない」という人が41%、「どちらとも言えない」という人が5%。「期待しない」とい人が41%もいる。
橋下氏:
それだけ政治家への期待がないんでしょう。
田村氏:
アンケートの結果について。今までも法律改正を重ねてきているが、今回のようなことが起こっている。政治として、我々自民党としてやはり意識の問題を変えていかないと、この(「期待する」という人の)パーセンテージは上がらない。我々は反省する立場から、様々な形で、制度も含めて見直していかなければいけない。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
今回の政治資金パーティーの疑惑をめぐり、次の国会で政治資金規正法の改正にどれだけ取り組めるのかも焦点になっている。日本大学の岩井奉信名誉教授は、会計責任者が有罪になれば議員も有罪、自動失職する連座制の導入を提言している。
玉木氏:
私は会計責任者のみならず議員本人にも責任を問うような何らかの法改正が必要だという立場だ。
若狭勝氏(弁護士、元東京地検特捜部副部長):
いまは会計責任者が収支報告書の作成をして、会計責任者だけが署名している。報告書を政治家にもきちんと作成させて、この事実に間違いないというようにすれば、もっと(政治家本人の)責任は問いやすくなる。連座制どうのこうのというのは最終手段で、その前の段階として、代表者、政治家がきちんと作成した報告書に署名をして、責任を負わせる体制をまず取ることが大事だ。
田村氏:
今回は政治家個人の政治資金管理団体の話ではなく、派閥の話だ。例えば、事務総長の役割の人がどこまで責任あるかは、意思形成の仕組みの中でどこまで関与しているかということがきちんと認定されないとなかなか難しい。事務総長が全部わかっているかというと、そういうグループもあるかもわからないが、少なくともそうではないグループもある。
橋下氏:
そういう責任を事務総長が負えないのだったら金集めなんてやってはいけない。責任を負える者がやらないと。
田村氏:
ただ、どこで意思決定がされているかわからないわけだ。責任を持って署名をするかもわからないが、知らないところで動いている場合、連座制で自分の公民権停止までということになると、これやはりやりすぎだと思う。
橋下氏:
だから、事務総長を辞退するか、そんな金集めの集団は絶対世の中に存在を許してはいけない。
田村氏:
意思形成の過程で、(事務総長が)どこまで関わっているかということをきちんと事実認定する必要がある。
若狭氏:
それはすごく大事だと思うが、卵が先か鶏が先かの問題がある。まずは事務総長にそれだけの権限と責任を負わせる形をつくり、署名をさせることとセットにして実態を合わせることにすれば、(懸念は)解消できるのではないか。
橋下氏:
そういう責任が負える場合にのみ金集めをやったらいい。民間はそんなことで責任逃れできない。会計責任者に責任を負わせる一文を削ればいい。政策活動費についても、政治家への寄付を政党にだけ許すという一文を削ればいい。その2文を削ればもうガラッと変わる。