大阪・富田林市などで路線バスを運行する「金剛バス」が、12月20日の運行で全線廃止となり、約100年の歴史に幕を下ろしました。

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運行最後の日となった20日には、名残惜しむように写真を撮る人の姿が。

バスの写真を撮る人々
バスの写真を撮る人々

取材スタッフ:
富田林駅前のバス停なんですけども、最後の日ということで、多くの方が写真を撮られていますね。

長年、親しんできた路線バスの廃止に地元の人は…。

バスの利用者(50代):
とても寂しくて、日曜日にも主人と一緒に乗りに来て。まさかこんなに、突然に(バスが)なくなるって。

バスの利用者(80代):
私が来るところはバスないんですよ…、えらいこっちゃいうて。

21日からは、自治体などが引き継いで「金剛バス」運行エリアの大半をカバーしますが、便数は現状の6割から7割ほどになるといいます。

廃止の要因の1つは、深刻な人手不足。
帝国データバンクの調査では、全国の民営路線バス会社の約8割が今年のうちに、減便や廃止を行うといいます。

人手不足によるバスの減便は都内でも

“人手不足”の余波は都内でも。

東京・足立区の路線バスを運行する日立自動車交通では、深刻な人手不足により、12月1日から大幅な減便を行っています。

日立自動車交通 鈴木祐美さん:
乗務員っていうのが、激減しているっていうのが正直なところで。そこが原因において、やはり存続の危機というか…。

中でも、JR綾瀬駅から亀有駅を結ぶ路線は、多くの病院を経由するため、通院している人は時間変更を余儀なくされるなど、生活に大きな影響が出ているといいます。

バスの利用者(70代):
毎日毎日ずっと何年も乗ったのに、急に変わったから、時間を合わせるのが大変。

バスの利用者(30代):
通院と買い物、週でいうと2、3回乗っている。1時間に1本ぐらい減っているので。出かける時間とか、多少左右されています。

バスの車内に掲示された「運転士募集」のポスター
バスの車内に掲示された「運転士募集」のポスター

いったいなぜ、ここまで運転手が不足しているのでしょうか?バスの運転手が、切実な状況を訴えました。

現役でバスを運転する 大山忠男さん:
やっぱり拘束時間長い割には、大した稼ぎにならない。若い子に対しては、魅力を感じにくい職種なような気はしますね。

運転手に魅力を感じないのか、募集をしても若い人の応募は、ほとんどいないといいます。
日立自動車交通では、勤務時間が長い路線バスの運転手と、勤務時間が比較的短いスクールバスを兼務することで、人手不足を解消する取り組みを開始しました。

バス業界が直面する人手不足。解決する方法はあるのでしょうか?
公共交通の事業および政策にくわしい、東京都市大学の西山准教授は、「公的な支援」を考えなくてはいけないところに来ているといいます。

東京都市大学 西山敏樹准教授:
運転手の平均の年齢が55~56歳という会社が各地に出てきてしまっていて。若手というか、そういう方をしっかり、つなぎとめておくために、公的な支援というのを考えないといけないのかなと。
(めざまし8 12月21日放送)