12月19日、東京地検特捜部の家宅捜索を受けた自民党の安倍派と二階派の事務所。安倍派の閣僚が既に辞任している一方、二階派の小泉法務大臣と自見万博担当大臣について、岸田首相は「職責を果たしてもらいたい」として、続投させる意向を示している。
しかし特に法務大臣は検察官を指揮・監督できるだけに、野党は6党1会派全員で辞任を求めていく考えが示されている。
20日午後には、小泉法務大臣が二階派に退会届を出し受理され、閣内に残ることになった。自見大臣も二階派を退会する意向を示している。

岸田首相の判断について、「newsランナー」コメンテーターでジャーナリストの鈴木哲夫さんは、「危機管理ができていない」と指摘する。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:
そもそも岸田内閣は危機管理ができていません。問題があったときに先手を打って、けじめつけて辞めさせるとかできていない。これまでに問題が起きた時の対応を思い出すと全部後手後手です。今回、実は安倍派の閣僚を事実上更迭する時に、同時に二階派や他の派閥もこれから捜査がどうなるか分からないという話が既に出ていたんです。ドミノ式になるから、もう内閣改造とか思い切ったことを決断するしかないって話が出ていました。
だけど岸田さんも、その周りも、『検察の捜査を見ながら』とか、危機管理が後手に回った。国民からするとなめているのかという話になりますよ。捜査してる検察は法務省ですが、法務大臣がいる二階派が今捜索を受けている。これはもう派閥を抜けるとかではなく辞めないと。常識的にそういう判断を岸田さんがなぜやらないのかと僕は思いました。

鈴木さんによると、今後「自民党の“岸田おろし”」も現実味が出てくるのはないかと言う。岸田おろしのきっかけとなるのは、地方が「選挙戦戦えないと声を上げる」こと、そして若手議員が発起して「自浄作用を強める」ことではないかとのことだ。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:
まさに今年の終わりから、来年にかけてこういった状況だと思います。地方は今年後半の地方選挙で、ほとんど自民党が負けていたんです。来年は全国で500以上の地方選挙があるんです。『もう戦えない』っていう声が地方組織からどんどん上がっています。2001年に森喜朗元首相が退陣した時に、なかなか辞めなかったのですが、結局辞めたのは、地方組織がどんどん声を上げました。『総裁選を前倒ししてくれ』と言って、あの時は東京都連、熊本県連、神奈川県連などいろんなところが声を上げて、それで退陣したんです。永田町でなかなか岸田おろしの動きはないけど、地方の声が上がってくると、もう退陣せざるを得なくなるかもしれません。
それともう一つ。昔はここまでくると自民党の若手議員が首相官邸に押しかけたりして、声をあげていた。今そこまでやる議員がいるかどうか。こういう動きが1、2年生議員の間で出てくる可能性がある。こういったことが岸田おろしの一つのきっかけになるんじゃないでしょうか。

“岸田おろし”が行われたとして、自民党に次の顔になれる人はいるのか。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:
調査で名前があがる人はいっぱいいます。政策的に選挙の顔は誰がいいとか、みんなが乗れる候補は誰がいいとか、初の女性総理がいいんじゃないかなどと、永田町的な発想で“ポスト岸田”を決めることになると、ますます国民から政治は何だという話になりますよね。
大きく揺れている永田町だが、岸田首相退陣のシナリオも浮上しつつあるのかもしれない。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月20日放送)