21日から22日にかけては、西日本から北日本の広い範囲で警報級の大雪になる可能性があるのだが、この季節になると積雪や雪かきのニュースが話題になる。しかし近年は、少子高齢化による除雪作業員の担い手不足や高齢化が課題になっている。
この問題の解決を目指し、除雪車を遠くからリモートで運転する実証実験が行われた。

NTTコミュニケーションズ株式会社とARAV株式会社は11月22日、宮城・仙台市にあるNTTドコモ東北ビル内にコックピットを設置し、直線距離で約400km離れた千葉・柏市にある除雪車を遠隔での運転を実施。

操縦者は除雪車に搭載したカメラから送られてくる低遅延の映像を見ながら、模擬のハンドルやペダルなどを操作し、ARAV社の建機遠隔操作システムを通じて除雪車をコントロールした。
また、センチメートル精度の正確な位置情報を測る技術や外部からの乗っ取り防ぐ通信サービスなどを組み合わせ、予定通りの操作が確認できたという。

NTTコミュニケーションズは昨年度から自治体と連携し、除雪車を遠隔操作する実証実験に取り組んできた。しかし将来の自動運転を見据えると、より詳細な操作データの収集が必要だとして、今回の技術検証を実施したという。
また今後の展開については、必要な技術的要素や学習データなどをブラッシュアップしながら自動運転実現に向けて取り組み、除雪分野の課題解決に貢献していくとしている。
では自動運転や遠隔操作が実現するのはいつ頃なのだろうか?それまでにはどんな課題があるのか?NTTコミュニケーションズの担当者に聞いた。
自動運転実現に向けて一歩前進
――実証実験では、除雪車をどのぐらい動かした?
1回の操作で5分程度連続して操作し、合計15回程度動かしました。
――今回の実証実験で最も苦労したことは?
複数ソリューションを組み合わせて構成を整えることです。新しいソリューションを活用した事例創出及び技術検証が実施できたことで、除雪作業員の担い手不足など課題が多い除雪分野において、自動運転実現に向けて一歩前進できたと感じております。
――除雪車で巻き込み事故などが起きないよう、どうやって安全性を確認した?
車両に搭載されているカメラで前後左右、周囲の状況を確認しながら遠隔操作を実施しました。
私有地なら除雪車の遠隔操作は今でも可能
――除雪車の遠隔操作や自動運転は、いつ頃に実用化できる?
私有地での除雪車(ホイールローダー及び除雪ローダー)の遠隔操作は現時点でも実装可能です。また、自動運転も「走る」と「止まる」レベルであれば私有地に限り実装可能です。
――では現在、遠隔操作や自動運転の実現にはどんな課題がある?
法整備やシステム不具合時の安全性向上、自動運転のための学習データと活用方法の検討などがあると思っております。

私有地であれば、400km離れた除雪車の遠隔操作がすでに可能となっていたことには驚く。さらに進んだ自動運転が実現すれば、たしかに除雪の人手不足問題に貢献することだろう。