新しい庁舎の設計に消防署員たちが「NO」を突きつけた。最上広域市町村圏事務組合が進める新しい消防本部の建設をめぐり、署員68人が計画の見直しを求める嘆願書を提出していたことがわかった。

庁舎の内部構造巡り7割の署員“反対”

嘆願書を提出したのは、消防署と各支署の署員95人のうち7割にあたる68人。

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最上広域消防本部は建設から40年が経過して老朽化が進み、事務組合が庁舎の移転・新築を進めていて、新庄警察署の北側に広がる1ヘクタールの土地に用地を取得し、2024年度着工、2025年度の完成を目指している。

新庁舎建設地(山形・新庄市)
新庁舎建設地(山形・新庄市)

新庁舎は3階建てで、事務組合事務局の庁舎も兼ねていて、総事業費は30億4,300万円。屋外にはヘリポートや訓練場なども整備されるが、署員たちが反対しているのは庁舎の内部構造だ。

1、2階に消防機能の集約求める

内部構造の基本設計はこのようになっている。

【内部構造の基本設計】
1階…消防署と車庫
2階…高機能指令センターと消防本部・事務組合事務局
3階…大規模災害時の活動拠点にもなる会議室など

これに対し署員たちは、2階の事務組合事務局を3階に配置換えし、1階と2階に消防機能を集約させるべきと訴えている。

消防署員:
1分1秒でも現場に早く到着しようと署員みんな頑張っている。このままでは向こう何十年も使い勝手の悪い庁舎でやっていかなければならない。ゼロベースで見直せと言っているのではないんだから…

新庄市長交代により不満再燃

見直しを求める声は基本設計が署員に示された2022年12月に噴出した。

事務組合が2023年2月、決定に従うよう命じる「指示書」を出す異例の事態となったが、9月の市長選で事務組合の理事長を務める山形・新庄市長が交代したことで不満が再燃し、嘆願書を提出するに至ったという。

署員の中には計画見直しによる完成の遅れを懸念する声もあったが「一刻の猶予もないが、3~4カ月伸びようが人命にかかわる問題だから、時間をかけてもお互いが納得して前に進んでいくしかないと思う」と語る消防署員もいた。

12月28日に理事長の山科市長と署員らによる話し合いが行われることになったが、訴えが受け入れられるかは不透明だ。

(さくらんぼテレビ)

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