自民党の石破茂元幹事長は17日、フジテレビ系「日曜報道THEPRIME」(日曜午前7時30分)に出演し、同党安倍派の政治資金パーティー収入の一部が所属国会議員にキックバックされていた問題に関し、使途の公表義務のない「政策活動費」の見直しに前向きな考えを示した。

石破氏は「政策活動費としてブラックボックスみたいになっていることをどうするか。(今回の疑惑の)事実を解明することと、これから先の立法論をどうするか。この二つをきちんとやっていかねばならない」と述べた。石破氏は年明けの通常国会で政治資金規正法改正を含む法体系の見直しについて議論すべきだとの考えを表明した。

立憲民主党の長妻昭政調会長も「政策活動費を変えていかないといけない」と強調した。

政策活動費は、政党が所属国会議員個人に支給する政治資金で、使途の公表の義務も、領収書の添付義務も、精算や納税の義務もない。

パーティー収入からのキックバックを収支報告書に記載していなかったことについて、同党安倍派の池田佳隆衆院議員事務所は「自民党から派閥を経て支払われる政策活動費だと認識して収支報告書には記載していなかった」とのコメントを出している。

番組コメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は「安倍派の議員個人はみな政策活動費(と位置付けること)で逃げようとしている。逃げることができる。(政策活動費は)何に使ったかわからない、まさに裏金だ」と批判した。

以下、番組での主なやりとり。


橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
これ、政治家の皆さんが、もし単純な収支報告書への記載ミス、事務ミスだと考えているのであればとんでもない話だ。収支報告書に記載していない、しかも領収書もない金は、自分の懐に入れている可能性もあるわけだ。何に使ったかわからない。民間なら、我々国民であれば、私的に使用したものだと認定されて脱税案件になる。刑事罰が科せられないにしても、普通は追徴課税だ。政治家が政治資金収支報告書で何千万円の金額の記載を簡単に訂正するのは、ペナルティーがほとんどないからだ。民間だったら、追徴課税、加算税も含めて半分持っていかれる。政治家に対するペナルティーは甘すぎる。

石破茂氏(自民党元幹事長)
民間ならこうだが、政治家だけ特別扱いはよくないねということなら、政治資金規正法(改正)も含めて法体系の見直しをやっていかないと、「以後気をつけます」ではすまないのだろう。来年の国会はもちろん様々な重要法案も政策議論もあるのだけれども、政治改革は一つのテーマにして、法改正をどうしていくのかということに取り組んでいかねばいけない。

政党としての金の使い方をどう国民に明らかにしていくのかがテーマになる。透明性の確保、あるいは罰則の強化ということもあるのかもしれない。そして法改正とは別に、自民党では派閥の問題が起こっているわけだが、資金をどう党に集中していくかという話。それぞれの派閥がいろんな無理なことをするのではなくて、どう党に集中していくかという話もある。もう一つ、少し議論がずれてしまうかもしれないが、パーティーで金を集める、政党助成金、そして個人の資金、これまでのような分担でいいのかということも問われる。

長妻昭氏(立憲民主党政調会長):
何か構造的な話や法律の議論も必要だと思うが、今回の問題は単純な法律違反だ。グレーとか脱法行為ではなくて、入りと出をきちっと(報告書に)書くということができていないということなので、まずはこの実態を明らかにすること。法律の不備(の話)とかではなく、法律に明確に違反しているということだ。すぐに再発防止策を絡めていくと、この実態の解明が遅れてしまう。きちんと全容解明したら法改正を含めて(検討すべきだ)。それは同時並行でもいい。今回は単純な法律違反。まずこの全容解明を自民党にはやってもらいたい。

橋下氏:
長妻さんも石破さんも法改正と言ったが、法改正の前に簡単にできることは、使い道について全部領収書をきちんとつけること。それを徹底してもらいたい。政治家個人に入ってきた金は寄付になり、雑所得になるということを国税庁はしっかり言っている。ところが、政治家が「適切に政治活動に使った」と言ったら全部経費になると言う。民間で領収書がなかったら経費にならない。領収書がなくても全部経費と認められて非課税になるのは政治家だけだ。使った金に関して、全部領収書をつけて「政治活動に使いました」ということなら、ある程度金が要るとしても国民は納得するが、国税庁や財務大臣に長妻さんの鋭い質問で「政治家が適切に使ったというだけではダメだろう。領収書をつけなきゃいけないだろう」と質してもらいたい。

長妻氏:
ひとつの解決策として、政治家が銀行口座をひとつつくって、(政治資金の)すべてはその口座でやり取りして現金のやり取りを禁止にすることはすぐにできると思う。そういうようなことも含めて議論するが、いまは実態解明を自民党にはちゃんとやってもらいたい。

石破氏:
岸田総裁が「火の玉になって」と言っているわけで、各政策集団に明らかにするように指示をしたということになっている。各政策集団として「こうでした」ということをきちんと明らかにすることから始まる。(政治資金の)入りと出を明確にする法律に反しているわけだから、それはなぜだったのかを明らかにしないと次の議論に行かないというのはその通りだ。

安宅晃樹キャスター(フジテレビアナウンサー):
派閥からキックバックを受けた議員側は、なぜ収支報告書に記載しなかったのか。池田佳隆議員事務所は「自民党から派閥を経て支払われる政策活動費だと認識して収支報告書には記載していなかった」とコメントを出した。この政策活動費は政党から所属国会議員個人に渡される金で、報告書に使い道を記載する必要はない。領収書添付も必要ない。去年の自民党と立憲民主党の政策活動費は(支出を受けた)議員合わせてそれぞれ14億1,630万円、1億2,000万円だった。

橋下氏:
安倍派の議員個人はみな政策活動費(と位置付けること)で逃げようとしている。逃げることができる。というのは、政策活動費は収支報告書に記載しなくていい、領収書も不要、納税もしなくていい、精算もしなくていい、政治家個人が受け取る金で、何に使ったかわからない、まさに裏金だ。政治資金規正法違反は故意犯なので、そういう認識がないと罪に問えない。「いやいや、これ、政策活動費でもともと収支報告書に記載する必要がないと思ってました」ということになると、言い逃れができてしまう。今回キックバックが問題だということになっているが、国民は収支報告書に記載するかどうかを問題視しているのではなく、政治家が懐に入れて、自分たちで税金も納めずに好き勝手に使ってるのではないかというところに怒っている。キックバック問題も正してもらいたいが、収支報告書に記載もなく、領収書もなく、納税もしない、精算もしない、政治家がもう何に使ってもいい金というのが、政策活動費と旧文通費(旧文書通信交通滞在費=調査研究広報滞在費)だ。ここを正さないことには、このキックバックの問題だけ、政治資金パーティーの問題だけを規制するというのでは国民は納得しない。

長妻氏:
この問題は大切だ。ただ、今回、この(政策活動費の)話は、屁理屈で出てきたと思っている。

橋下氏:
そうだ、屁理屈だ。

長妻氏:
派閥から政策活動費をもらったから合法なんだというが、政策活動費は政党からしか出せない。しかも、今回、派閥から政策活動費をもらったと言っても、その金額はキックバック差額分とぴったり合っている金が返ってきている。この屁理屈に乗る必要はない。罪を逃れるために言っている。

橋下氏:
弁護人として言うと、確かに派閥からの政策活動費はダメなのだが、派閥が一旦政党に寄付をして、政党から政治家個人に政策活動費を出し、派閥から政党、政党から政治家個人、ここ不記載でしたと(いう形をとれば)、どのみち会計責任者は不記載罪を問われるので、いくらでも屁理屈が通ってしまう。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
今回の場合、政党から直接議員に政策活動費が入ったという話とは別だ。派閥からの金を政策活動費だと勘違いしてたと、そういう認識だったということで問題になっている。そこはちょっと切り分ける必要がある。

長妻氏:
そうだ。別だという前提で、確かにこの政策活動費も変えていかないといけない。国会議員に対して、基本的に誰も直接寄付してはいけない。ただし、政治資金規正法21条二項で政党だけは例外的に国会議員に寄付できるという条文がある。

橋下氏:
だから二項を削るだけでいい。

長妻氏:
政策活動費は非合法ではない。法律に規定されている。ただ、では一体何に使ったのかというのが非常に不透明になっている。そういう問題意識を我々も持っているので、これをどう変えていくかはこれから検討していく必要がある。

松山キャスター:
政治資金規正法では政党から議員への寄付は許されているが、透明性が足りないという議論だ。

石破氏:
政治資金規正法21条の問題は、その通りだ。政党からならば(寄付して)よいということをどう考えるか。今までのことは今までのこととしてきちんと明らかにするが、これから先どうするかということはまさしく政治資金規正法の21条に収斂していくのだろうと思っている。きちんと事実を解明するということと、これから先の立法論をどうするか。この二つをきちんとやっていかねばならないという実に当たり前の話だ。

橋下氏:
領収書など、使い道がきちんと公開されないと(ダメだ)。政治家はみな政策活動費を適正に使ったと言うが、透明性が最大のポイントだ。

石破氏:
そこは議論しよう。そこはある。それをどう使ったか、それがどのように政治に対していろんな影響を持ってきたかということは確かにある。政策活動費としてブラックボックスみたいになってることをどうするのかということ。それと、与党と野党であまり差があるのはいけないと思っている。資金面でもそうだし、政策のサポートにおいてもそうだ。資金の面であまり差があるような仕組みはどうなんだろうね、ということもあわせて今回きちんとしたい。

日曜報道THE PRIME
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