全国で魚の大量漂着が相次いでいる。今、日本の近海で何が起きているのか。

海面を覆う大量の“死んだ魚”

14日、取材班が向かったのは三重・志摩市。漁港では、海面を多くの海鳥が飛び回り、異様な雰囲気に包まれていた。

海面を覆う「カタボシイワシ」
海面を覆う「カタボシイワシ」
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海一面に広がっていたのは、大量の小魚。ニシンの仲間である「カタボシイワシ」が13日朝、大量に打ち揚がったのだ。死んだ魚は、少なくとも30トン以上とみられている。地元住民も「すごかったね、僕も初めて。50年以上ぐらいここにいるけど」と驚きを隠せない様子だ。

14日、漁師らは回収作業に追われていた。回収のめどが立つまで休業を余儀なくされ、最盛期の正月用のイセエビ漁で、1日数百万円もの損失が出るという。地元漁師は「今の魚の汁で海の色が変わって、かなり厳しい。漁にも出にくい状態になっている」と話す。

北海道でも再び“大量漂着”

魚の大量漂着は、三重から約900km離れた北海道でも再び起きていた。

北海道・江差町ではイワシが打ち揚げられた
北海道・江差町ではイワシが打ち揚げられた

北海道・江差町の漁港などに打ち揚げられたのは、イワシ。全部で、約1トンにも及んだという。

函館市では大量のイワシとサバが発見された
函館市では大量のイワシとサバが発見された

12月7日には、函館市の海岸でも大量のイワシとサバが発見され、イギリスの大衆紙「デイリー・メール」が、福島第一原発の処理水放出を関連付けるかのように報道。それに対し外務省が「不適切」と申し入れる事態となった。

相次ぐ魚の大量漂着に、SNSでは「あちこちで魚が打ち揚げられて不安になる」「何か海で異変があったのかな?」といった投稿が見られた。

今、日本の近海では何が起きているのか。北海道大学大学院水産科学研究院の山村織生准教授は、「魚が何らかの捕食者に追われて密度が上がりすぎた結果、酸欠になって死んだのかな、というところしか考えようがない」との見解を示している。
(「イット!」12月14日放送より)

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