病気を抱える子どもとその家族にとって、なくてはならない「ファミリーハウス」。入院・通院治療を必要とする難病の子どもとその家族が利用することのできる滞在施設だが、その施設が今、存続の危機に立たされている。

家と変わらず過ごせる…「おうちみたいな」施設

福岡市東区の「シバタハウス」。アパートを改装した施設の一室にいたのは、熊本県からやって来た小学4年の男の子とその家族だ。

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男の子は2022年10月に白血病を発症。現在、月に1回、九州大学病院で治療を受けていて、毎回半日以上かかる治療のたびに、病院に近いファミリーハウス「シバタハウス」に家族と一緒に泊まっている。

熊本から来た男の子:
病院では、ずっとベッドに横たわっていて。こっちはおうちみたい。弟も一緒に居て、おしゃべりもいっぱいできる

男の子の母親:
ホテルだと本当に不便。ご飯が食べられないから。麦茶を作ってご飯を炊いて、ここは家と変わらない

重い病気を抱える子どもや、その家族が宿泊するファミリーハウス。入院や治療が長期化することも多いため、遠方に住む人たちにとっては欠かせない場所となっている。

男の子の母親:
病院だと睡眠がとれないのが本当にきつくて。24時間点滴の音がしているし、看護師は歩き回っているし、電気が消えることはない。シバタハウスで2日でも布団に横になれるだけで全然違う

再開発進み…存続の危機

7年前、アパートのオーナーから無償で提供を受けた部屋を改装して作られたシバタハウス。利用料金は、1泊1部屋で1,000円。

九州大学病院の近くにある小児患者専用のファミリーハウスは、2カ所であわせて4部屋しかなく、連日、ほぼ満室の状態だ。

しかし、このファミリーハウスは、4年後に全てなくなることになっている。

「シバタハウス」を運営する高原登代子さん:
再開発が進んでいっている。道路も拡張する予定がある。建物自体、50年近く経つものなので、限界というのもある

シバタハウスなどを運営する団体の代表・高原さん。自身も長男が小学生のときに発症した経験から、同じような境遇の家族を支援したいと小児専用のファミリーハウスを作った。

「シバタハウス」を運営する高原登代子さん
「シバタハウス」を運営する高原登代子さん

「シバタハウス」を運営する高原登代子さん:
わたしの時代にはファミリーハウスはなかったので、1ルームマンションを借りて、家族と離れて1人暮らしだった。約8カ月、9カ月かなぁ。あの孤独感、知らない土地で「明日、子どもに何か起こるかもしれない」「亡くしてしまうかもしれない」という緊張感の中で、知らない土地で過ごすストレスはすごい

高原さんたちは、何とか4年後までに九大病院の近くに新しいファミリーハウスを作るため、その必要性をまとめた冊子などを準備し、行政や企業、団体に支援を求めようと動いている。

「シバタハウス」を運営する高原登代子さん:
一旦、夜はハウスに帰ってお母さん休もうよ、そうじゃないとこの生活は無理だよ、という現実があぶりだされてくると思う。そうなるとファミリーハウスは絶対に必要。みんなの願いをなんとか結実させたい

新たなハウスの建設へ…官民の協力も必要

闘病中の子どもや家族が安心して使えるファミリーハウスを建設するために、高原さんたちは各地のハウスを視察している。

そのひとつ、神奈川県にある小児専用のファミリーハウス「リラのいえ」。県立こども医療センターの患者とその家族を受け入れている。「リラのいえ」は、神奈川県が所有する土地を無償で提供してもらっていて、建物は寄付金で建てたという。

神奈川県にある小児専用ファミリーハウス「リラのいえ」
神奈川県にある小児専用ファミリーハウス「リラのいえ」

小児専用のハウス建設が実現していない理由のひとつに、国立の総合病院であることがあげられる。県立、市立の病院に比べると、土地の提供などについて県や市が関与しにくい。そして総合病院なので、小児患者のためだけに動きにくい背景もあるという。

官民一体となって、ファミリーハウス建設に動き出すべきではないだろうか。

(テレビ西日本)

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