正月によく耳にするのが、高齢者が餅をのどに詰まらせてしまうニュース。加齢で飲み込む力が弱くなったり、唾液の量が少なくなって餅がのどに詰まったり、貼り付いてしまうことがあるという。

こうした中でアサヒグループ食品が、高齢者も安心して食べることができる介護食用の餅を開発し、2023年9月に発売した。

バランス献立「スプーンで食べるおもち」(画像提供:アサヒグループ食品)
バランス献立「スプーンで食べるおもち」(画像提供:アサヒグループ食品)
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それが同社の介護食向け食品「バランス献立」から発売した「スプーンで食べるおもち」と「スプーンで食べるおもち よもぎ」の2種類。餅の特性である伸びやべたつきを抑え、なめらかな食感で食べやすく仕上げた餅風味だという。

かむ力や飲み込む力が弱い高齢者でも食べやすいかたさに仕上げており、餅が伸びないことからスプーンですくって食べることができる。国産のもち米粉を使い、餅らしい風味に仕上がっているという。メーカー希望小売価格は50gで172円(税込)だ。

バランス献立 スプーンで食べるおもち(画像提供:アサヒグループ食品)
バランス献立 スプーンで食べるおもち(画像提供:アサヒグループ食品)

購入者からは「高齢の母が入れ歯のため、ほとんどお餅を食べられなかったが、こちらを食べたら噛まなくても食べられ、喉にも詰まりにくそうでとても気に入っていた」「飲みこみが難しい人でも安心して食べられる」と好評の声が届いているという。

餅を諦めていた高齢者もこれなら食べることができるかもしれない。では、介護食用の餅を開発する上でどんな苦労があったのか? 購入者からは他にはどんな感想が届いているのか?

アサヒグループ食品の担当者に詳しく話を聞いてみた。

なめらかな食感で餅らしい風味に設計

――介護食用の餅を開発したきっかけは?

高齢者の方が食べづらいもの、食べられなくなったものを食べやすい形・物性にして提供したいと考え、毎年窒息事故が起きており、食べづらい食品の代表格「おもち」で検討をすることにしました。


――開発する上で苦労した点は?

食べやすさに重点を置きつつ、なめらかな食感やお餅らしい風味を設計することが一番苦労しました。

開発風景 もち粉などの食材を混ぜて試作(画像提供:アサヒグループ食品)
開発風景 もち粉などの食材を混ぜて試作(画像提供:アサヒグループ食品)

――これなら高齢者も喉に詰まらせる心配はない?

介護者や被介護者の方からは、「おもちが食べられなかった人でもこれなら食べられる」といったご意見が多いです。かむ力や飲み込む力には個人差がありますので、飲み込むまで様子を見守ってください。


――ちなみに小さな子どもに食べさせてもいいの?

ベビーフード自主規格の中にはない食品添加物を使用していますので、離乳期のお子さまにはお勧めできません。

購入者「アレンジしやすい」「正月に食べたい」

――他に購入者からどんな感想が届いている?

以下のようなご意見が届いています。

・今年のお正月、小さく切ったお餅を食べさせたのですが、入れ歯に餅がついてしまい、食べにくくなって残念がってました。こちらのお餅を、きなこ餅にして食べさせたら、「食べやすい。来年のお正月にまた食べたい」と言ってました。
・温めることなく常温でそのまま手軽に食べれるのがとても良いと思いました。
・米の味もしっかりあり、そのまま食べても美味しいし、アレンジもしやすいと思いました。


――そのままでなく、アレンジして食べてもよい?

汁ものをかけてお雑煮風、こしあんと合わせて草餅風やお汁粉、砂糖しょうゆとまぜてみたらし風、海苔の佃煮と合わせて海苔餅風などお好きな風味に合わせてアレンジが色々できます。かむ力や飲み込む力には個人差がありますので、飲み込むまで様子を見守ってください。

お雑煮(画像提供:アサヒグループ食品)
お雑煮(画像提供:アサヒグループ食品)

――売り上げは好調?

予定通りに推移しています。年末から年始にかけて餅の需要が高まるため、期待しています。


――あと1カ月で正月だが、餅をどのように楽しんでほしい?

当社の調査によると、「餅を喉に詰まらせないか不安があると感じている人」は86%いますので、ご家族で食卓を囲みながら安心してお楽しみいただければと思います。



飲み込む力、噛む力に不安のある人にも好評のようだ。正月に餅を食べたい高齢者の人は家族に見守ってもらいながら試してみてもいいかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。