闘病中の子どもたちの気持ちに寄り添って、医療グッズを販売している親子がいる。なぜ、そこに着目したのか、取材した。
作ったのは息子が白血病になった母親
8月に大阪・池田市にオープンした「チャーミングケアラボ」。闘病中の子どもたちの見た目をかわいらしくする医療グッズを販売している。
代表の石嶋瑞穂さん(45)に話を聞いた。
チャーミングケア代表理事・石嶋瑞穂さん:
2016年に息子が小児白血病になって、その時の治療で抗がん剤をやるので、髪の毛が抜けて顔がむくんでしまうという外見の変化がありました
瑞穂さんの長男、中学3年の壮真さん(14)は、小学2年の時、小児白血病になり闘病生活を送った。
Q:(入院中)何がつらかった?
小児がんを経験した壮真さん:
やっぱり薬かな。毎日入れられるし、気持ち悪くなったり、めっちゃ食べるとか、でも食べても吐くとか、そんな薬ばっかり。誰とも話してないというか…
つらい抗がん剤治療。壮真さんは副作用の影響で、誰とも話さず、ふさぎこんでいた。さらに、追い打ちをかけたのが、病院で渡される“病衣”といわれる患者着だった。
小児がんを経験した壮真さん:
「熊柄のえぇ~!?」みたいな。「こんなん着なあかんの?」みたいな…そういう病衣を渡されて。「これで1日歩くのも嫌やな」とか思って。「嫌や嫌や」ってごねていましたね
身に付けるもので闘病中の気持ちも変わる
楽しくない闘病生活。当時、壮真さんの胸にはカテーテルの管が常につながっていた。
チャーミングケア代表理事・石嶋瑞穂さん:
カテーテルを治療上入れるんですけど、こういう形で出ているんですよ
カテーテルをまとめるカバーをおしゃれに手作りしてもらったことがきっかけで壮真さんの気持ちに変化があった。
小児がんを経験した壮真さん:
最初お母さんの友達にもらったものが、いい生地で作ってもらって、めっちゃ良くて、めっちゃうれしかったです
チャーミングケア代表理事・石嶋瑞穂さん:
見せるきっかけになるしね、話すきっかけになるしね
壮真さんは、病気と向き合う子どもたちにとって、普段身に着けるものでいかに気持ちが変わるかを知ってほしいと話す。
小児がんを経験した壮真さん:
あるないとじゃ全然違います。やっぱり、あったほうが気持ちがちょっと明るくなる。それこそさっき言うた、見せたくなるっていうか、あとは「作ってもらったんやで」って、いろんな人と会話したというか、良くなったとは思います
退院してから、およそ6年。壮真さんのがんは消失した。この経験をもとに瑞穂さん親子は、闘病中の子どもたちの立場にたったかわいい医療グッズの販売を始めた。
口から食事ができず、胃に穴をあけて直接、栄養を流し込む胃ろう。その子どもたちのために、穴をふさぐフタをかわいくするワッペンをつくったり、手術や点滴のあとを隠す医療用テープもつくったりした。
見た目をかわいく、格好よくすることで、子どもの気持ちも明るくさせる。そんなかわいい医療グッズを通して、これからも子どもたちの心の健康をサポートしていく。
持続可能な社会のために世界中で2030年までに達成しようと取り決められている17の目標をSDGsという。今回の「チャーミングケア」は、3番の「すべての人に健康と福祉を」にあたる取り組みとして取材した。
(関西テレビ「newsランナー」2023年11月24日放送)