近くで見ていたものを俯瞰でみてみると、その全貌に驚くことがある。今、ある風景画がTwitterに投稿され、見た人に衝撃を与えている。

それがこちら。

線画完成
全世界見てくれ

“全世界”へと呼びかけるコメントと共に投稿された動画は、小さい四角を連ねるペン先から始まる。

その四角の大きさはペンを動かす指先と比べてとても小さく、細かい作業だということが見るだけで理解できる。

(四角を連ねていくペン先)

しかし驚くのはその先。

一列の最後を描き終えたのかペン先が視界から外れると、カメラが徐々に絵から引いていき、描いていた作品の全貌が映し出されるのだ。

そこに広がっていたのは描き連ねられた密集する建物たち。遠くまで広がる建物の世界は、その緻密さもすごいが、立体的に紙から浮かび上がっているかのように見えてくるから不思議だ。

この投稿には、「めっちゃ浮きでてきたあああああああ!」「線画の領域超えてるやろ…」といったコメントが並び、17万9000のいいねと共に226万回以上の再生がされ話題となっている(7月13日時点)。

線画を描いたのは画家の指宿さん(@ibsukionsen)。普段は水彩紙に図面用の製図ペンや細いミリペンを使い、薄墨や水彩絵具で着色する風景画を描いているという。

今回の作品が緻密な作業なことはよくわかるが、なぜ立体に見えるのか?指宿さんに聞いてみた。

立体的に見えるのはなぜ?

ーー投稿された作品の題材は?

架空の街を題材にしています。


ーーこだわりの部分は?

建物の形をテトロミノにして、ゲームのテトリスのように建物同士を敷き詰めているところです。

(下描きの段階。まさかこれがあの作品になるとは…)

ーーなぜ立体に見えるの?

おそらく高い建物と低い建物をでこぼこに配置したおかげで全体の立体感が増したのだと思うのですが、正直ここまで立体的になると思っていませんでした。

細かい原理は勉強不足ゆえ自分でも分かっていないので、自然とこう仕上がったというのが一番近いかも知れません。


ーー線画完成時の感想は?

ひとまず第一段階クリア!といった気持ちでいます。ここからまだまだ制作は続くので、また気を引き締めていかなければならないと思っています。

(描き進め 建物1つ1つが細かい)

ーー作品に込められたメッセージはある?

メッセージなどは特に込めてないのですが、この作品を見て「ステイホームの間に馬鹿なことをやる人がいるものだな」と笑ってくれたり、「これなら自分にも描けるかも!」と絵を描きだしたりしてくれたらとても嬉しいです。

実際描いてることはとても単純なので、描こうと思えば子供から大人まで誰でも描けると思います。


ーー反響に対してはどう思う?

「まさかこんなことになるとは…」というのが率直な感想です。

線画が完成した喜びのあまり「全世界見てくれ」などという大胆不敵なことを呟いてしまったのですが、本当に沢山の方に見て頂き、拡散して頂いた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

(折り返し地点の段階)

まだ未完成…作業は継続中

なお、線画完成まで約12日かかったとのこと。

しかし、この線画完成後にも着色・影入れ・描き込みとまだ作業は続き、指宿さんいわく「1週間程度をメドに完成させたい」と、現在も着々と作業を進めているという。

7月13日時点での進展は描き込みが半分まで進んだそうで、その現状もTwitterにて投稿している。

進捗こんな感じです
描き込みあと半分で完成だね

(描き込み残り半分ほどとのこと)

ちなみに、作品のタイトルはまだ決めておらず、完成してからつけるそうだ。
 

技術は「完全に独学」…お気に入りの作品は?

繊細で緻密に描かれている指宿さんの作品。他にはどういった作品を描いているのか?

ーーアイデアはどういった時に浮かぶ?

実際に自分で見た風景を元に描くことがほとんどなので、外出中に面白い景色を見た時や今までに自分が撮った写真を見て、ピンと来た時にアイデアを更に膨らませたり構図を練っていくことが多いです。


ーー技術はどうやって学んだ?

完全に独学です。

遠近法について学べるサイトや本を読み漁り、毎日勉強と練習をしていました。技術についてはまだまだ勉強中です。

(「夕焼け小焼け」)

ーー1つの作品はどれくらいで描きあげる?

作品の大きさによって異なりますが、よく使うサムホールサイズ(227×158ミリメートル)ですと4日ほどで完成させています。


ーー今まででお気に入りの作品は?

「終点」というたくさんの廃電車が積み上がっている作品がとても気に入っています。

各都道府県の様々な電車を調べ、気に入った電車を一つ一つ積み上げていく作業は骨が折れましたが、その分とても思い入れの強い作品となりました。

(指宿さんお気に入りの作品「終点」)

ーー難産だった作品は?

同じく上記の「終点」が難産でした。実際にはない風景を描くのは楽しいですが、構図やバランスを常に考えながら描かなければならないので脳が疲労しっぱなしでした。

(「望郷」)

ーー作品に込めているメッセージはある?

あまりこちらからメッセージ性を押し出したり物語を作品に付け加えたりせず、見た人が面白がったり懐かしがったりしてくれればそれでいいと思っています。見た人それぞれが私の絵の中に物語を作って下されば幸いです。


ーー今後どういった作品を描いていきたい?

海外のスラム街にとても興味があるので、知識を深めてスラムの絵を制作していきたいと考えています。

(「運河」)

全てが独学で、緻密で圧倒する世界観を持つ作品たち。この繊細な作品を作りあげるのには、想像力と共に完成させるという根気が必要不可欠だろう。

指宿さんは「描こうと思えば誰でも描ける」と語っている。

現在も新型コロナウイルスの影響で、家にこもる時間が多いことだろう。興味が沸いた人は自分なりの想像する世界を描いてみてはどうだろうか? 最後まで根気よく続けることができたら、壮大な世界が広がるかもしれない。
 

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