コロナ禍による入館料収入の減少や、資材や光熱費の高騰で、資金繰りが悪化したため、“クラウドファンディング”を行っていた、国立科学博物館。
11月5日に終了し、集まったその支援額は、目標金額の1億円を大きく上回りました。

この記事の画像(10枚)

国立科学博物館 篠田謙一 館長:
約9億2000万円。予想したよりもはるかに多い(支援者)5.7万人ということで、非常に感謝しています。

わずか3カ月で、国内のクラウドファンディング史上最高額の9億2000万円が集まりました。

半年に1度は訪れるほど国立科学博物館のファンで、現在フランスに移住している、俳優の杏さんも自身のYouTubeで支援したことを報告。

俳優 杏さん:
きょうは、東京上野にある国立科学博物館に来ています。ニュースを見て、早速クラウドファンディングに支援させていただきました。

なぜ“クラウドファンディング”?

なぜ「国立」の博物館が、資金集めを行わなければならなかったのでしょうか。

国立科学博物館 篠田謙一 館長:
物価が上がったということで、博物館を運営することが難しくなった。(クラウドファンディングを通して)「おまえたち頑張れ」という形で、世間の皆さんの声が直接聞けた。

実際に、支援者の1人に話を聞いてみると…。

支援した女性(20代):
将来、子供が生まれた時に一緒に見に行きたいっていうのがあるので、後世にちゃんと残っていってねっていう気持ちで支援しました。

今回支援を募るにあたり、返礼品を用意した国立科学博物館。

集まった9億円のうち、3億円は返礼品の製作などに使い、残りの6億円は、標本の維持や管理などの費用に充てる予定だということです。

「文化を守っていく」という意識

「国立」の博物館が、クラファンを行わなくてはいけない現状に、ネガティブな意見もありますが、めざまし8のスタジオゲストの大空氏は、「違う意見もある」と話します。

大空幸星 氏:
例えば多くの人が来やすいように入場料を安く抑えるということとか、多様な財源を確保するという意味では、クラウドファンディングは素晴らしい手段ですし、何より、市民ひとりひとりが自分たちの力で文化財を守っていくんだ、国からの監視を受けずに守っていくんだという体験を、今回のクラウドファンディングを通じてできたということも、前向きに捉えていいのではないかと。

立岩陽一郎 氏:
私も同意見です。税金でやるっていうだけが、国立である必要はなくて。我々が寄付をすることで支える、これが本当の国立ですよ。アメリカのスミソニアンなんて、全部寄付でやっているわけですから。日本も、科学技術立国としては、そういう方向にいってほしいですね。
(めざまし8 11月7日放送)