10月31日、日銀が金融政策の修正を決めたが、外国為替市場では円安が進行している。

アメリカの金利上昇が円安を促進し、トヨタなど輸出企業にプラスの影響をもたらす一方、急速な円安は輸入物価の上昇と、個人消費への負の影響を引き起こす可能性がある。

“円安ドル高水準”で151円台続く

10月31日、日銀は金融政策の修正を決めたが、外国為替市場では円安が加速している。FRBのパウエル議長の発言次第で、さらに円安が進む可能性もある。

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31日のニューヨーク外国為替市場の円相場は、一時、1ドル151円70銭台まで下落し、約1年ぶりの円安ドル高水準となり、その後も円相場は、151円台での取引が続いている。

日銀は31日、長期金利が1%をある程度を超えて上昇するのを容認することを決めたが、市場関係者からは「修正が大きなものではなかった」とする声が出ていて、円売りに歯止めがかかっていない。

財務省の神田財務官は、11月1日朝、為替介入を含めた対応については「スタンバイだ」として、市場の動きを強く牽制した。

日本時間の2日未明には、アメリカで金融政策を決める会合の結果が公表され、FRB(=アメリカ連邦準備制度理事会)のパウエル議長の発言次第で、さらに円安が進む可能性もある。

円安が日本経済に与える明暗

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
円安の加速、馬渕さんはどう受け止めていますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
31日の日銀の金融政策決定会合では、金利の「微修正」となりましたが、日本の大規模金融緩和のスタンスに変化はないと、マーケットは受け取りました。

一方で、アメリカの金利上昇は、まだ継続する可能性があります。

日米の金利差が、拡大しそうだとの思惑から、1日は151円台後半と円安が加速しています。これは、日米の金融政策の違いが鮮明化したことによるものです。

堤 礼実 キャスター:
円安の加速が日本経済に与える影響は、やはり大きいようですね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
円安には「恩恵」と「負の側面」の2つあります。例えば、本日、決算発表したトヨタ、さすがの好業績の結果でした。

トヨタの「上方修正」は、日本全体的にとって明るいインパクトを与えます。2024年3月期の営業利益の見直しを、3兆円から4兆5000億円に上方修正しています。価格改定や骨太な経営の成果がしっかりと出ているとともに、円安が1兆1800億円押し上げています。

やはり輸出企業には、円安はプラスの恩恵を受けることが、はっきりと確認できています。

堤 礼実 キャスター:
一方のネガティブな影響については、いかがですか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
急速に円安が加速すれば、輸入物価が上昇しやすくなります。値上げが続けば、個人消費には「負の側面」を影を落とします。

実際に、国内の個人消費は節約ムードになっているため、政府としては、暮らしを支える減税策を打つ必要が出てきています。

戦略的な為替政策が必須

堤 礼実 キャスター:
いま焦点になっている、為替介入については、どうご覧になりますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
10月、いわゆる「口先介入」を行う一方、実際の介入はなかったことが分かりました。口先介入の効果も少しずつ薄れてきているかもしれません。

日銀によれば、物価上昇には“第1の力”と“第2の力”があるとしています。

円安によって、第1の力は「輸入物価」で上昇が長引いていますが、第2の力である「国内の賃金上昇」の循環が起きるまでは、為替の政策も戦略的に行うべき時期でしょう。
(「Live News α」11月1日放送より)

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