「ジャパンモビリティショー」が開幕し、様々な未来の乗り物が披露された。空飛ぶ車やEV、高性能スーパーカーが注目を集めた。

さらに、環境や安全に配慮した技術も展示され、メーカーは多様性を強調。未来のモビリティへの期待は高まっており、競争力を発揮することが重要とされている。

「ジャパンモビリティショー」開幕

未来の乗り物を体験する、「ジャパンモビリティショー」が開幕した。

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大音量の音楽とともにステージに登場したのは、世界初公開、日本の自動車メーカー、スバルの空飛ぶ車「SUBARU AIR MOBILITY Concept(スバル・エアーモビリティ・コンセプト)」だ。

10月28日から東京ビッグサイトで一般公開が始まる、「ジャパンモビリティショー」。それに先立ち25日、報道関係者に公開され、各社選りすぐりの「ミライの車」がお披露目された。

注目はやはりEV。トヨタ自動車は、運転する楽しみをとことん追求した、本格的なスポーツタイプの車「TOYOTA FT-Se」を公開した。

また、日産自動車は、電動高性能スーパーカー「Nissan Hyper Force(ニッサン・ハイパーフォース)」を世界初公開。内部のコックピットは、もはや車とは思えない、未来を象徴したような乗り物だ。

ロボット・ゲーム・アプリも出展

その他にも、中国のEV大手「BYD」が初出展するなど、さまざまな車がお披露目されたが、「東京モーターショー」から「ジャパンモビリティショー」に名称が変わったこともあり、車以外の乗り物も数多く公開された。

まるでSF映画に出てきそうな4足歩行の乗り物、「SR-02」も公開された。

遊園地の遊具などを製作している、三精テクノロジーズが手掛けている。

「こんばんは。すみませんが、道をお譲りください。ありがとうございます」と、前方の人などを自動で検知し、コミュニケーションを取りながら、乗せている人を安全に運ぶZMPの「Rakubo」も公開。

ブランコをこいで発電し、そこからクリーンなエネルギーである水素を生成する展示もあった。

そして、乗り物以外の分野では、テレビ局の仙台放送と、日本生命保険が出展した、安全運転を啓発する2つのアプリが公開された。

1つは「目」の疾患の早期発見につながるアプリで、360度が宇宙空間のVRシューティングゲーム。視野の状態の簡易判定が可能になる。

もう1つは、楽しみながら運転技能や、認知機能などを高めることができる「脳トレ」のアプリだ。

トヨタ自動車・佐藤恒治社長:
未来のモビリティは、私たちのライフスタイルに応じて、その価値を拡張していくということです。合言葉は「クルマの未来を変えていこう」。モビリティショーは、その大切なスタートポイントです。

未来の乗り物がこれでもかと並ぶ、「ジャパンモビリティショー」。見て、触って、感じることができる“初体験”が盛りだくさんだ。

不確実性に対するメーカーの多様性

「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
長内さん、実際にモビリティショーに足を運ばれたということですが、いかがでしたか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
全体的な特徴としては、日本企業が示す多様な未来というところです。

堤 礼実 キャスター:
具体的には、どういったものが展示されていたんでしょうか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
例えば、日産やホンダなどが思い切りEVに舵を切る一方、内燃機関に強みのあるマツダは、将来的に水素にも対応するロータリーエンジン技術を用いた、PHEVを発表していました。

さらに、クリーンなエネルギーとして注目される、水素への日本企業の取り組みも加速しているなど、不確かな未来に対する各メーカーの多様性を感じました。

堤 礼実 キャスター:
未来の乗り物を考える際に、やはり環境対応は欠かせないようですね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
産業用のブースでは、鉄道など自動車以外での水素の活用や、水素インフラを支える技術など、様々な水素エネルギーに関する展示が行われており、日本発の技術としての水素の展開が期待されます。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
地球環境に配慮した未来のモビリティの多様性を一番表していたのが、広く世界に自動車を供給しているトヨタの展示でした。

2026年に販売を開始するレクサスの新世代EVや、水素エンジンバギー、さらに、EVインフラが整っていない新興国向けの安価なピックアップトラックなど、様々な未来の車を先取りしていました。

堤 礼実 キャスター:
未来のモビリティ社会の到来を前に、日本のメーカーに対して、どういったことを期待されますか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
不確実性が高い市場では、最初から解を1つに絞るのではなく、様々なアイデアを並行させた方が良いとされています。

例えば、全固体電池技術で世界をリードするトヨタが、水素などの全方位戦略を取るのも、不確実性に対応する正しい戦略と言えます。

100年に1度の大変革と言われる自動車産業。日本企業の多様なアイデアで、市場をリードしてもらいたいですね。

堤 礼実 キャスター:
こういった場で、それぞれの企業が得意な分野を活かして、日本の競争力を発信していくことで、一人一人が未来を考えるきっかけになるのではないでしょうか。
(「Live News α」10月25日放送より)

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