片側2車線の道路の真ん中を悠々と歩く、大きなツノを生やしたシカ。
現場は札幌市中央区宮の森の幹線道路。
交通量も多く、付近には病院もある。
一歩間違えば、大きな事故につながりかねない状況だ。
幹線道路に“シカ”出没

「2日前にも出ている。スタッフが給油中に、銀行の方に走っていった」(現場付近で働く人)
「山が近いので出るだろうと思っているが、車通りも多いので怖いと思う」(付近住民)
2日で20件超え 札幌市内で目撃相次ぐ“シカ”
10月19日から20日にかけて、札幌市内各地で相次いで目撃されたシカ。
中央区宮の森で7件、豊平区月寒東で6件、白石区で7件などとなっていて、総数は20件を超えた。

札幌市中央区宮の森では、住宅の陰から飛び出し、向かいの家の敷地へ勢いよく飛び込むシカが目撃された。

交通量の多い道路を駆けていく姿も。
また、札幌市南区の真駒内公園では、シカ5頭が出没。

人が近寄っても逃げずに、草を食べ続けていたという。
車との衝突にも注意
北海道警察によると、2022年1年間に起きたシカが関係する交通事故の件数は、1月から9月までは1カ月あたり100件台から400件台。
しかし、10月は1000件を超えている。

また、JR北海道はシカなどの動物との衝突を防ぐために、10月から北海道東部の花咲線と釧網線の一部の列車を減速している。
1日あわせて16本が対象だ。
なぜ出没が増えているのか?
専門家は、シカの繁殖行動が関係していると話す。
「10~11月はシカの繁殖期。オス同士の力関係で、弱いオスはメスの近くにとどまることができない。そのため、かなり広い範囲でメスを探し回っている」(北海道大学文学研究院 立澤史郎 特任助教)

この秋から冬にかけては、さらに注意が必要だという。
「シカのエサとなるササは数十年から百年に一度、『ササ枯れ』という現象が起きる。開花し実をつけると一斉に枯れる。越冬するシカはエサを求め、人里に出てくる可能性があり要注意」(北海道大学 立澤特任助教)
