新型コロナウイルス感染症対策として国が地方自治体に対して配った交付金が、十分に活用されていない、または過大に使われているとして、会計検査院は18日、交付金の実施をしている内閣府と総務省に対し改善を求めた。
改善の対象となった事業は「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」で、感染防止のためのマスクや、リモートワークなどに使うパソコンなどを自治体が購入し、住民に対して配布や貸し出しを行うなどすることを目的としたもの。
会計検査院は、2020年と21年に全国の20府県と381市町村で実施された3600近くの事業について検査を行った。その結果、交付金の補助を受けて購入したマスクや防護服、消毒液など6674品目のうち4つの県と48の市町村では、購入したものの半分以上が一度も使用されていないことがわかった。
使われていない物品の金額は6億3398万円あまりとなっていて、交付金で補助された額は4億8465万円となる。
さらにパソコンなどの購入に関して、18の府県と422の市町村で、事業実施期間を超えて機材の保守契約やソフトのライセンス期間が設定されていることがわかった。期間は2年から長いものでは10年となっていて、費用は151億8928万円あまり、交付金で補助された額は107億3308万円に上るという。
これらの事態が発生した原因として、会計検査院は、内閣府が定めている実施計画には、物品の購入に際して、使用する側の意向の確認をするなどして数量を決定するよう周知されていないほか、パソコンなどの保守費用についても対象経費となる範囲の取り扱いが明確に定められていなかったことをあげている。
会計検査院は、内閣府に対し、物品の購入に関しては、使用するかどうかの意向確認を徹底して購入数量を決定するよう自治体に周知することや、使用されていない物品に関しては活用促進の方策を検討することを求め、それでも使われないものについては、財産処分などの取り扱いを検討すること、パソコンなどの購入には、保守費用などの対象期間を明確に定めることを求めた。
さらに総務省には、交付金の額を審査する際に対象経費の範囲として定められた取り扱いに沿っているかの確認を徹底することを求めている。