漢方薬メーカー「ツムラ」の更年期に関する調査によると、更年期の症状を自覚している人の中で、「隠れ我慢」をしている人が男女ともに8割以上であるという。

周囲への負担を考慮し、症状を隠して通常通り行動するが、こうした「隠れ我慢」が企業の「生産性損失」の要因になっているという。企業は、休みやすい環境を整えることが求められている。

男女8割以上が更年期症状を我慢

漢方薬大手の「ツムラ」が、20代~60代の男女を対象に実施した、「更年期に関する実態調査」。

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更年期症状を自覚している人の中で、症状を我慢しながら仕事や家事などを行う、「隠れ我慢」をしている人は、男女ともに、8割以上にのぼることが明らかになった。

その理由については、「休むと仕事や家事などに支障が出る」が最も多く、ほかにも「周りに負担をかけたくない」や「我慢できる」などが挙がった。

更年期による具体的な症状は、男女ともに最も多いのが「疲れやすい」で、そのほか男性は集中力の低下やイライラ、女性は肩こりや気分の落ち込みを隠しながら、普段通りに振る舞っているようだ。

一方、症状に対し何らかの対処を行っている人は、男性でおよそ3割、女性でおよそ4割と少ないことも分かり、企業では、更年期症状への対策が求められている。

制度見直しで休みやすい環境を

「Live News α」では、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
職場で体のつらさを言い出せなくて、我慢してしまう。経営者である石倉さんは、どのように思いますか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
いま、健康経営の文脈でも「健康による損失」をどうなくすかが重要であると言われている。

そのキーワードとして、「生産性損失」という言葉がある。これは心身の不調によって失われている労働生産性のことで、日本だけで見ても、5千億〜1兆円以上とも言われている。

その最も大きな原因が「プレゼンティズム」と言われている。これは、心身の不調がありながら我慢して働いている状態のことで、まさに今回の隠れ我慢の状態を指すが、「生産性損失」の中で、この隠れ我慢が40~60%を占めているという研究の指摘もある。

堤 礼実 キャスター:
企業として、どんな対応が考えられるのでしょうか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
今回の調査は更年期障害だが、心身が万全でない状態の人が、相当数いるということを理解して、職場のマネジメントをすることが求められている。

会社で治すことはできないので、会社ができることを考えていくと、やはり「休みやすくする」ということに尽きるのではないか。

例えば、制度でいえば、有給は半日単位で取得、もしくは1日単位で取得する会社が多いが、これを10分単位、30分単位でも取得できるようにする。

また、その取得を当日でもできるようにすれば、症状が辛い時間だけ休んで、少し回復したらまた仕事をするというやり方も可能かもしれない。

経営者・管理職が無理せず休む

堤 礼実 キャスター:
ただ、制度はあっても、休みたいと言えるかどうかは、職場の雰囲気によって変わってくるかもしれませんね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
当日に急に休んだり少し抜けたりすると、周囲が困る、迷惑をかけるという雰囲気や考え方を変える必要がある。

心身の不調は誰にでも起こることで、それはお互いさまと思える雰囲気をどう作るか。

その一歩として、経営者や管理職なども、心身の調子が良くない時は積極的に休んだり、働き方を調整したりすることも重要。

結局、会社に制度を導入しても、経営者や上司がそれを率先して使わなければ、職場に定着しにくい。だからこそ、管理職などが行動で示していくのが大事だと思う。

堤 礼実 キャスター:
誰かの休みを誰かがカバーできる制度や雰囲気、さらには環境も含めた組織としての土台を見直す必要があるのかもしれません。
(「Live News α」10月17日放送分より)

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