協議は“順調”?“不調”?…どっちが嘘?
米朝の非核化協議はうまくいってるのだろうか?
米国のポンペオ国務長官が7月6日に訪朝したが、金正恩委員長とは会わず、北朝鮮外務省は「米側の態度は残念極まりないものだった」と発表し、協議は不調だったことを認めた。

一方でポンペオは直後に東京で、「北は非核化を改めて約束した」と述べて、交渉が順調なことを強調した。
どっちが嘘をついてるのかな?
ポンペオだろうね。
問題はポンペオが順調と言った以上、安倍首相も河野外相も「そうですか順調ですか」と答えざるを得ず、トランプ大統領にもそういう報告がポンペオから上がる、ということ。
うまくいってることになってしまうのだ。

非核化めぐるニギリに日本は?
一方でFNNの世論調査によると北の完全な非核化について、
82.5%が「実現するとは思えない」と答えている。
みんな「北は核を持ち続ける」という「不都合な真実」に気づいているのだ。
つまり、この一連の茶番劇は「北が非核化して朝鮮半島に平和がキター」ではなく、
「北には核はもうない、ということにしよう。もしあっても使わないということでよろしく」
という、米中南北日露6か国の暗黙のニギリではないのか。

もちろんこのニギリは悪くない。
北はとりあえず核実験はしないしミサイルは撃たない。
米韓も軍事演習をしないので緊張は緩和された。
しかし何かの拍子で全部チャラになる。
その時、金正恩の手には核がしっかり握られている。
だから日本はくれぐれも「平和がキター」とか「対話の時だ」と、浮かれることのないように。
日本が核武装?
むしろなぜ今、敵基地攻撃能力や核武装の可能性について、議論しないのだろうか。
みんなそんなに金正恩やトランプを信用しているの?
自分のことは自分で守った方がいいと思うけど。
先日米国の政治思想家フランシス・フクヤマ氏が読売への寄稿で
「今回米国が北を核保有国と認めたことは、地球規模の核拡散防止の悪例であり、日韓の核保有の誘因となる」と指摘している。
そりゃあそうだろう。
北が核を持ち続けるならなぜ我々が持ってはいけないのだ。
短距離核ミサイルならすぐにでも持てる。プルトニウムも沢山あるし。
日本がもし北に届く短距離核ミサイルを作ると仮定した場合…
①いつまでに作ることができるのか?
(実はすぐできるらしい)
②いくらかかるのか?
(結構安い)
③政治的に可能なのか?
(これが絶対無理)
などについて議論しなければいけないのではないか。
現実的な核武装論議である。
これをやってくれる勇気ある政治家、いないかな。
(執筆:フジテレビ 平井文夫 解説委員)
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