行楽・紅葉シーズンの秋、出かけたくなるのは、やっぱり「温泉」ですよね。でも、この季節はあることに注意が必要なんだとか。

観光客から聞こえてくる不安の声、その原因となっているのは、「レジオネラ属菌の基準値超え」

福井・あわら市の温泉施設
福井・あわら市の温泉施設
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福井・あわら市の温泉施設では、9月13日の検査で、基準値の2300倍のレジオネラ属菌を検出。26日以降は営業を休止しています。

山梨・甲斐市では、3つの温浴施設で基準値を上回る菌などが検出され、市は営業を休止。

山梨・甲斐市の温泉施設
山梨・甲斐市の温泉施設

香川・まんのう町の入浴施設でも基準値の550倍の菌が検出されています。

香川・まんのう町ホームページ
香川・まんのう町ホームページ

実は、全国各地でレジオネラ属菌に関する問題が起きているんです。

特に夏から秋の報告数が多いレジオネラ症の感染者数は右肩上がりで、ここ数年は2000人を超えています。

レジオネラ症患者数の推移
レジオネラ症患者数の推移

感染すると死に至るケースまであるレジオネラ属菌。

実は、温泉施設だけではなく、家庭のお風呂でも感染のリスクがあるそうです。

「めざまし8」スタジオでは、日本感染症学会門医の寺嶋毅医師を迎え解説してもらいました。

日本感染症学会医 寺嶋毅医師
日本感染症学会医 寺嶋毅医師

橋下徹弁護士:
温泉好きだから数字を見ると不安になるんだけど、基準値は安全を見越した数字になっていると思いますが、何倍超えだったら人体に影響があると考えなきゃいけないんでしょうか?

日本感染症学会医 寺嶋毅医師:
基準値というとまずは「レジオネラ属菌が出ない」ということが基準値になっています。また、菌を吸い込んでしまう患者さんの免疫状態によりますが、菌数が多ければ感染してしまうリスクは増えるということになります。

レジオネラ属菌の性質とは?感染するとどうなる?

このレジオネラ属菌、感染する人も年々増加していますが、感染するとどうなるのでしょうか?

レジオネラ属菌に感染すると…
・どのくらいの細菌量で感染するか不明
・感染に対し弱い人は細菌量が極めて少なくとも感染する可能性も

【軽症の場合】熱・寒気・筋肉痛などがおこるが数日で治ることが多い

【重症の場合】重症の場合はレジオネラ肺炎を発症し高熱・呼吸困難・意識障害などを引き起こす→急激に重症化して死亡するケースも

重症化リスクの高い人は、「高齢者」「新生児」「病人」や「飲酒が多い人」そして「喫煙者」と言われています。

家庭でも注意が必要! 「お風呂の水は毎日交換してほしい」

倉田大誠アナ:
このレジオネラ属菌について、家庭のお風呂でも使い方によって注意が必要とのことなんです。

街で20~80代の男女、32人にお風呂の使い方をお聞きしました。

毎回お風呂のお湯を交換している方は22人。毎回交換しない方は5人。内訳は、2日に1回が3人、4~5日に1回、7日に1回が1人ずついました。またシャワーのみという方も5人いました。

80代の1人暮らしの方は、4~5日に1回交換するそうで「自分しか入らないしガス代も高い」との意見も。

倉田大誠アナ:
特に注意すべきなのは追い炊きです。数日間水を換えない人は「追い炊き」を活用しているそうですが、レジオネラ属菌は20~45℃で増殖すると言われていまして、追い炊きは湯船の中でお湯を温めながら循環させる仕組みになっているため、菌が増殖しながら湯船の中に広がっていくことになります。

日本感染症学会医 寺嶋毅医師:
対策としては、できればお湯は毎日換えることが望ましいです。追い炊きをすると菌が増殖しやすい温度環境になって菌が増えてしまう可能性があります。追い炊きをするということはそのたびに人が湯船に入るということですから「あか」などが、菌が増殖するための栄養となって増えてしまうということになります。

シャワーも注意! ヘッド内の管に残った水に菌増殖の可能性

倉田大誠アナ:
また、シャワーでも注意が必要なんだそうです。それは、シャワーヘッドや管に残った水。シャワーヘッドを外してみると、管の中に水が残っていることがわかります。

日本感染症学会医 寺嶋毅医師:
旅行先などで宿泊先によっては数日間シャワーを使っていない場合がありますよね。そうなると管の中の残った水の中で菌が増殖している可能性もあります。対策としては、数分間お湯を流してからシャワーを使うことをおすすめします。

谷原章介:
温泉だとか土の中にいるイメージはあったんですが、殺菌されているはずの水道水にもレジオネラ属菌はいるんですか?

日本感染症学会医 寺嶋毅医師:
塩素で消毒されていますが、体が運んできたり、何かしらのきっかけで菌がそこに入りこむことは考えられます。レジオネラ菌が増殖しやすいような菌の栄養などがあるとそこに増殖してしまうことはあると思います。

まずはお風呂のお湯を毎日換えるということ、浴槽を洗う際にも泡タイプの塩素系の洗剤を使うなどして菌が舞わないようにすることをやってみてほしいです。

(めざまし8 「わかるまで解説」より10月2日放送)