8月22日午前。静岡県掛川市にある城跡の井戸で、ネコが落ちているのが見つかった。しかし深さは約13メートル。市職員ではどうにもできず、消防隊員が出動。無事に救助され、ネコも元気だという。
きっかけは1本の電話
8月22日午前10時半頃、掛川市役所に1本の電話が鳴った。

電話の主は戦国時代に徳川・武田の両雄が攻防戦を繰り広げ“難攻不落の名城”とも謳われた国の文化財「高天神城跡」を訪れていた観光客。その内容は「井戸の中からネコの鳴き声が聞こえる」というものだった。
連絡を受け市職員が現場へと向かう。すると確かに井戸の底にネコの姿が見えることを確認した。鳴き声も聞こえ、弱っている様子はない。

ただ、計測したところ井戸の深さは何と13メートル。装備もなければ、専門的な訓練を積んでいない市職員には太刀打ちできない状況だった。
そこで市は消防に協力を要請する。
炎天下の救出大作戦

午後2時過ぎ、現地に到着した消防隊員は資材を準備すると共に救出作戦を練り、午後2時45分頃、万が一に備え酸素マスクを身に着けた隊員がロープを使って降下を開始する。ずばり“ネコをそのまま抱きかかえてしまおう”作戦だ。

しかし、ここで問題が生じる。ネコが驚きのあまりか、興奮のあまりか暴れてしまい、なかなか捕まらない。さらに隊員をかじるなどしたため作戦の変更を余儀なくされる。
ここで消防はロープでくくったケージを井戸の中へと入れ、さらに別の隊員1人が応援に加わる。

そして午後3時15分頃、井戸の中から「確保!確保!」という声が響く。この声を合図に、地上にいた隊員がロープを引き上げると、ケージの中にはうずくまった様子のネコが…。救出大作戦は成功だ。

救出に立ち会った掛川市文化・スポーツ振興課の山本邦一さんは「井戸の上から見ていると小さく見えたので子ネコかと思ったが上げてみると大きなネコだった」と驚きつつ「思ったよりも元気でよかったし、通報がなければ気づかなかったので無事に助けられてよかった」と安どの表情を浮かべた。

市によるとネコに目立った外傷はなく、衰弱した様子も見られないものの、念のため動物病院で診察を受けるという。

ただ首輪は付けておらず、飼いネコではないと見られ、救出されたネコを今後どうするのかについては現時点では決まっていないとのことだ。
(テレビ静岡)