新型コロナで面会規制…家族の不安を解消するために始めた病院の取組み

この記事の画像(17枚)

新型コロナウイルスへの感染を防ぐために、病院では入院患者への面会を制限するところが多くある。家族も患者も、直接語り触れ合うことができないことでお互いが不安になってしまう。

そんな不安を解消したいと三重県大台町の病院では、患者全員の様子を写真と手紙で家族に伝えた。
手書きの文字から伝わる「気持ち」…。新たな絆が生まれている。

豊かな自然に囲まれた三重県多気郡大台町。町で唯一、病床を抱える「大台厚生病院」。高齢化が進む地域の医療を支えている。

入院患者は約100人、そのうちの9割が75歳以上の高齢者だ。

戸川和司さん71歳。
飛沫防止のシート越しに、入院中の93歳の母親・みえ子さんに話しかける。

戸川の妻・保子さん:
お母さん、こっちやよ。分かる?

和司さん:
こんな格好でしか会えんけどな、ごめんしてな

大台厚生病院でも感染防止の観点から面会を禁止していたが、緊急事態宣言が解除された5月25日から、週1回、10分ほどの面会ができるようになった。

和司さん:
目開けたな

保子さん:
開けたよ

和司さん:
もう意思疎通やな、心やな

認知症を患う母…言葉は通じなくても、会えば息子の気持ちは伝わる。

和司さん:
これ見てみ、心で見える?写真送ってくれたんやに、元気やって

和司さんが見せたのは、病院のスタッフから届いた手紙。

面会禁止の期間中、この手紙だけが母親の様子を知る唯一の手段だった。

患者1人1人の写真に手紙を添えて…家族も「手が震えて嬉しくて」

病院のある同じ大台町に住む和司さん。母親のみえ子さんが肺炎で2019年12月に入院して以来、毎日病院に通い、食事などの世話をしていた。

和司さん:
(病院で母に食べさせると)うまいなーっていうことがぽろっと出たり、にしゃっと笑みを浮かべたりして、それを見るとまた明日行こうかなとなって

しかし病院は2月28日から面会禁止に。3か月もの間、全く会えない状況になった。

入院患者の大半が高齢者の大台厚生病院。感染すると重症化しやすい高齢者を守るためには、「面会禁止」の措置は止むを得なかった。

しかしそれは、家族と患者の双方が大きな不安を感じることになる。不安を抱かせないために、家族と患者をいかにして繋ぐか。大台厚生病院は1つのアイディアを実行に移した。

大台厚生病院の中井院長:
職員の方と相談してどういう風な方法がいいか、精神的に不満を持ってみえる方にはどう対応したらいいかと、相談して決めました

病院のスタッフが入院患者全員を撮影。手紙を添えて家族に送った。

看護師:
(写真を撮りながら)いい感じ、いい顔。送るでな、息子さんにな

看護師の西村さん:
お熱がある人やったらお熱がどうとか、脚が痛い人やったら脚の痛みはどうとか、一言ちょっと添えて、あとは心配事とかあればまた連絡くださいと添えて、お手紙を書かせていただきました

<戸川さんの家族への手紙>
「戸川みえ子様のご家族様。ここ最近、毎日お昼にゼリーを一個完食されています。熱もなく元気に過ごされております」

和司さん:
しまっては出して、しまっては出して、メッセージを読ませていただきました。手が震えて嬉しくて、自然に涙が出てきて字が見えないくらいでした。コロナで忙しいところ、時間を割いてスタッフの人たちがしてくれたということに、本当に感謝しております

病院から写真とともに届いた手紙。心のこもった一文字一文字が、家族と患者、そしてスタッフを繋いだ。

(東海テレビ)