迫りくる台風7号にどう備えればいいのか。防災危機管理アドバイザーの山村武彦さんと見ていく。まずは、最大瞬間風速が45mにもなる恐れがあり、強風による高潮・高波に注意が必要だという。

強風による高潮・高波に注意
強風による高潮・高波に注意
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榎並大二郎キャスター:
海などには近づかないことが原則ですね。

防災システム研究所 山村武彦所長:
そうですね。台風の進路にあたる紀伊半島から伊勢湾沿岸にかけて、「吹き寄せ効果」「吸い上げ効果」あるいは反時計回りの風がずっと吹き続ける。ゆっくり長く吹き続ける可能性があって、湾の口の向きによっては高潮の恐れがあると思います。

フィリピンで2013年に発生した台風30号の被害写真
フィリピンで2013年に発生した台風30号の被害写真

山村さんが現地で調査した、フィリピンで2013年11月に起きた台風30号の被害写真を見ると、高潮の影響で多数の船が打ち上げられている。

防災システム研究所 山村武彦所長:
タクロバンというところなんですが、湾が風をまともに受ける向きだったんですね。高波や高潮は沿岸の一部だけが被害を受けるものと思っていたら、場所によっては1kmくらいまで。船の様子を見て、これは津波かと。東日本大震災の2年後でしたから、津波と思うほどの被害、恐ろしさでした。

榎並大二郎キャスター:
海沿いで暮らす方は注意が必要ですね。

防災システム研究所 山村武彦所長:
各市区町村が出している「高潮ハザードマップ」をご覧になって、危険区域の人は避難情報、気象情報に注意して早めに避難することが大事。例えば、名古屋市の場合は区ごとに高潮ハザードマップが8カ国語で作られています。そういうものをぜひ見ていただきたいなと思いますね。

長時間の停電となる可能性も?

台風7号には停電のリスクもある。2018年、最大風速46.5mを観測した台風21号が近畿地方を襲った。この時には、関西電力管内の2府6県で延べ200万件以上に及ぶ、大規模な停電となった。

最大風速46.5mを観測した台風21号により、2府6県で停電が発生
最大風速46.5mを観測した台風21号により、2府6県で停電が発生

榎並大二郎キャスター:
台風7号も停電の懸念はありますか。

防災システム研究所 山村武彦所長:
想定されている最大瞬間風速が45mということで、そして(台風自体は)自転車ほどの速さで動いていますから、長く強風が吹くことで倒木や電柱が倒壊することにより、長時間の停電が起こりうると思いますね。

榎並大二郎キャスター:
そうした場合の対策としてはどんなものが挙げられますか。

防災システム研究所 山村武彦所長:
蓄電式のバッテリーは今のうちに充電しておく。予備のバッテリー、携帯電話などの充電の整備。懐中電灯やラジオの予備の電池も確認しておく必要があると思います。

榎並大二郎キャスター:
線状降水帯の発生の恐れがあるとされる関東甲信も、同じように停電などに備えた方がいいんでしょうか。

防災システム研究所 山村武彦所長:
そうですね。停電と合わせて断水も考えておいた方がいい。停電になると送水装置が機能しなくて、断水になってしまう可能性もありますから。水を風呂場やペットボトルといった、ためられるものにためておく。それも大事だと思います。

市街地でも発生する「内水氾濫」とは

台風7号で懸念されているのが、過去の台風で度々起きている「内水氾濫」。これは排水施設の能力を超えるほどの雨が降った時、雨水の排水先の河川の水位が高くなった時などに、雨水が排水できなくなり浸水する現象だ。

台風で度々起きる「内水氾濫」の仕組み
台風で度々起きる「内水氾濫」の仕組み

榎並大二郎キャスター:
これは市街地でも起きる恐れがあるということなんですね。

防災システム研究所 山村武彦所長:
例えば、避難指示が出たから避難しようとした人が、実際は川のような道路になっていて避難できなかったということが起こりうるんですね。大きな河川が氾濫しないまでも、市街地だけで洪水になってしまう。中小河川や側溝とか用水があふれて、逆流してマンホールが吹き上がるなんてことも起こりうるわけですから。内水氾濫のハザードマップを見てほしいです。

内水ハザードマップがある自治体は確認を
内水ハザードマップがある自治体は確認を

防災システム研究所 山村武彦所長:
2015年に水防法が改正され、“想定しうる最大規模の降雨量”を想定した「内水ハザードマップ」を作ることになっているのですが、全国自治体の約10%ぐらいしか公開されていません。内水氾濫のハザードマップがあるか。通常のハザードマップは外水、河川ごとのハザードマップになっているケースが多いので、その辺を確認されるといいと思います。危険度を見て、早め早めの避難が大事だと思います。

ベランダや側溝のチェックも忘れずに

榎並大二郎キャスター:
他人事ではなく自分ごととして、何が起きるかわからないという備えが大事かと思います。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
ベランダに物を置いておくと強風で飛ばされて凶器になりますからね、ベランダの点検。家の周りの側溝に物が詰まっていないかどうか、すぐに水が溢れてしまいますからね。そういったことをチェックしておく。そういう備えも必要かと思います。 

(「イット!」8月14日放送より)