無免許運転が発覚した静岡県の中山真珠 県議会議員は8日会見を開き、自身の進退について「もう少し考える時間が欲しい」と述べた。ただ県議会の最大会派などは辞職勧告決議案を提出する方針で、選挙区の有権者の反応も厳しい。県議会の最年少議員として華々しいデビューを飾ったのは、わずか4カ月前だ。

「仕事にまい進することで罪を償わせて」

初当選して議員バッジをつけた中山議員(2023年5月)
初当選して議員バッジをつけた中山議員(2023年5月)
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中山真珠(しんじゅ)議員は2023年4月の静岡県議会議員選挙で初当選した。当時27歳で静岡県議としては戦後最年少で当選を果たし、注目を集めた。
5月の議員バッジ交付には華やかな白のスーツを着て臨み、「“20代を代表して”というのもおこがましいですが、今までなかなか意思決定に届いてこなかった若い世代の声や女性の声を、しっかり届けていけるよう頑張っていきたい」と抱負を語っていた。

謝罪会見する中山議員(8月8日)
謝罪会見する中山議員(8月8日)

当選から約4カ月後、議員バッジ交付からは約3カ月後の2023年8月8日、中山議員は黒のジャケットで謝罪会見に臨んだ。

中山真珠 県議:
大変申し訳ございませんでした

8日午前 問題が発覚して以降初めて公の場に現れた中山県議は、「政治全体に対する不信感を抱かせた」などと謝罪した。一方で免許を更新しなかった理由については、「免許証の住所を変更しておらず通知ハガキが届かなかった」と釈明。中山議員は選挙の前に、神奈川県から静岡市に転居していた。

ただ中山県議は免許の失効に気づいた後も運転を続けていたということだ。

中山真珠 県議:
どうしても時間に間に合わないという意識にかられ、重大な過ちを犯してしまいました

また自身の進退について問われると「まだ少し考える時間が欲しい」としつつも、「深く反省し一層仕事にまい進することで罪を償わせていただきたい」と、自らの思いを語った。
まずは支援者や関係者に対する謝罪をして回るという。

自民・公明は辞職勧告決議案を提出へ

自民系会派の会議(8日)
自民系会派の会議(8日)

こうした中、県議会の最大会派「自民改革会議」は臨時の役員会を開き、中山県議に対する辞職勧告決議案を提出する方針を明らかにした。

自民改革会議・増田享大代表:
(無免許の)事実が発覚して以降、運転している中で取り締まりにあったということは、非常に重いということの認識でおります

また第3会派「公明党県議団」も辞職勧告決議案を提出することを決め、蓮池章平団長は「自民改革会議と調整していきたい」と話した。

一方、第2会派で中山県議を除名処分とした「ふじのくに県民クラブ」は役員会などを重ねたが、意見が分かれていて8日午後6時の時点で会派として対応が決まっていない。

知事に対する辞職勧告決議案は2021年“コシヒカリ発言”問題で自民・公明両会派が連名で提出し可決されているが、議員に対する辞職勧告決議案が提出されることになれば県政史上初めてとなる。

川勝知事は激励「やりたい仕事ができるよう育って」

こうしたなか、川勝知事は8日の定例記者会見で中山議員に対して反省を促しつつ、「深く反省した上で、本来やりたい仕事ができるよう育っていって欲しい」と激励した。

8日の定例会見
8日の定例会見

川勝知事は無免許運転が発覚した中山県議について「法令に背く極めて軽率な行為をしたことを深く反省して欲しい」と述べ、そのうえで「中山県議は志の高い方で、非常に苦労されて今の仕事をされていると承知している。それだけに今回のことは極めて残念であると思います」と話した。

議員バッジの交付(2023年5月)
議員バッジの交付(2023年5月)

さらに中山県議が恵まれない家庭の子供たちの支援を公約に掲げて当選したことに触れ、「彼女がやりたい本来の仕事ができるよう育っていってほしい」と激励した。
中山議員は知事に近いとされる「ふじのくに県民クラブ」に属していたが、7日に除名されている。

有権者は…「責任感が足りない」「許せない」

今回の問題について、中山議員の選挙区の静岡市清水区で聞いた。

中山議員の選挙区の有権者
中山議員の選挙区の有権者

男性:
そういうことをする人間が「本当にこれから立ち直ってやります」なんて、俺はどうかなと思う、一市民としては

女性:
一回辞めることはありかもしれないが、またそこからどれだけ自分で這い上がれるか

男性:
ちょっと責任感が足りないのかなと思います

中山議員の選挙区の有権者
中山議員の選挙区の有権者

女性:
ちょっと許せないですね。あおり運転など運転に関する問題はすごく多いじゃないですか。免許がない状態でというのはそれ以前の問題かなと思うので、ちょっとね。

静岡県警によると、運転免許が失効し再び取得するために適正試験を受けた人は2022年1年間に県内で約6300人だ。

免許の更新期間は以前は誕生日前の1カ月間だったが、2002年に法律が改正され、誕生日を挟んだ前後1カ月間の計2カ月間となっている。うっかりして失効するのを防ぐためだ。

謝罪会見をする中山議員
謝罪会見をする中山議員

失効した場合はもちろん、車を運転してはいけない。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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