夏休みもあとわずか。遊びに宿題と忙しくしている子どもたちも多いだろう。そんな中、家族のためにキッチンに立った、9歳の男の子の挑戦が話題になっている。

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7月26日にインスタグラムに投稿したのは、3人きょうだいのお母さんの「さしゃ」さん(@sacha_sng_laboratory)。

さしゃさんの小学校3年生の息子さんは、現在夏休み中。そんな息子さんが「週に4日、夏休みのお昼ごはん担当を名乗り出てくれた」のだという。

動画で作っているのは、トマトが丸ごと入った「そのままトマトのカレー」

息子さんはレシピ本を参考に、まず玉ねぎをふたつに切り、丁寧に皮をむくとフードプロセッサーにかけ、鍋の準備。

カレーのルーをキッチンばさみで細かく刻んで入れ、ざく切りにしたトマトを加え、仕上げにブラックペッパーを振って、完成!

できあがったカレーに「あら、おいしそぉぉ~」とコメントしたさしゃさん。

実際に食べてみての感想は「最後に入れたトマトの酸味が効いて最高」だそうで、この仕上がりに息子さんも親指をグッと突き立てていた。

カレーを食べ終わった後は、食べる前に撮った写真を見ながらイラストを描き、オリジナルの「レシピカード」作りも開始。

「材料・作り方・かかったお金・感想」の4つと、トマトがごろっと入ったインパクト大のビジュアルもしっかりと記録した。

立派な昼食を、さしゃさんいわく“灼熱の台所”で見事作り上げた息子さん。

その挑戦には「ご飯を作るってのは1番の食育な気がします」「好奇心とか思いやりとか、ワクワクの気持ちが素晴らしいですね」「目指せ!料理男子」などのコメントが続々寄せられ、6万件を超える「いいね」がつく人気となっている(8月21日現在)。

大人顔負けの料理の腕を見せた息子さんだが、夏休みの終わりまではまだある。果たして「週に4日のお昼ごはん担当」は続いているのだろうか。そしてチャレンジを通して見えたものは?

お母さんのさしゃさんと、息子さんにお話を聞いた。

3歳ごろから「お店やさんをしたい!」

まずは、さしゃさんから。


――息子さんはどんな子?

小学3年生の9歳、3人兄妹の2番目の子です。おっとりしていて自分の世界を楽しむマイペースくんで、美味しいものを作って食べる事・お絵描き・ルービックキューブにハマっています。


――息子さんの挑戦が始まったのには、何かきっかけがあった?

いつもよくお手伝いをしてくれていて、お休みの日のお昼ごはんを担当してくれる事はあったのですが、在宅ワークをしている私が「夏休みのお昼ごはん、毎日大変だから、誰か作ってくれないかなぁ」と呟いたところ、「ぼくが作るよ」と名乗りでてくれました。

長ねぎを刻んだら目にしみた…こらえる息子さんの図
長ねぎを刻んだら目にしみた…こらえる息子さんの図

――息子さんから「お昼ごはんを担当する」と聞いた時、どう思った?

とても優しいなぁと、その気持ちが嬉しかったです! 完全に1人で作るのはまだ無理だろうから、結局私も一緒に台所に居る事にはなりますが、やる気もあるようだしとても良い経験になると思い、お願いする事にしました。

加えて、絵がとても上手なので、オリジナルのレシピカードを作ってみたら?と提案すると「楽しそう♪」と乗り気になってくれました。

でも正直、毎日料理するって大変な事なので1〜2回しか続かないんじゃないかなとも思っていました。

ずらりと並ぶオリジナルのレシピカード
ずらりと並ぶオリジナルのレシピカード

――この挑戦より前から、息子さんは料理が好きだった?

とても食いしん坊なわが家。小さい頃から台所とお料理番組が大好きで、保育園児の頃からTVの料理番組を毎週録画して見たり、レシピをノートに書き写したりしている子でした。

3歳頃には野菜の皮剥きなどとても上手に出来ていて、さらに人に振る舞って喜ばれる事が嬉しいみたいで「お店屋さん(飲食店)をしたい!」と、よく言っていました(今の夢はイラストレーターだそうです)。


――息子さんが料理をする姿を見ての感想は…

夏の灼熱の台所で、文句も言わずに楽しそうに最後まで作っていて、感心します。また、家族に振る舞って喜んでもらえる事が嬉しいみたいで…私は毎日家事をしていると正直面倒くさくなる事もあるのですが、息子みたいに、人を喜ばせて自分も楽しむ気持ちというのを見習おう!と改めて気付かされました。

「エノキの豚肉巻き」を作る息子さん。感想は「肉をまくのがむずかしかった」そう
「エノキの豚肉巻き」を作る息子さん。感想は「肉をまくのがむずかしかった」そう

――「週に4日」の担当は、ずっと続いている?

最初の4日間をやり遂げたあと「毎日料理するってこんなにも大変なんだね!」と言うので、「来週はどうする?」と聞くと、「もちろん作るよ!自分で決めた事だから」と男前な返事が返ってきました(笑)

8月はお盆期間など外出する機会が多かったのでその期間は出来ませんでしたが、出かける予定のない日は作ってくれています。最近はスイーツ作りにも関心があるようで、シュークリームにわらび餅、プリンと作りたいものが渋滞しているようです。もしかしたら今後、おやつのようなお昼ごはんが続くかもしれません(笑)

夏休みは8月24日まで。先日「夏休みが終わったら夜ご飯を毎日作ろうかなぁ」と呟いていました。さすがに学校が始まったら宿題などもあるので毎日は難しいでしょうが、今後も楽しみです。

こちらは炊飯器で作った「カオマンガイ」。お皿のチョイスも素敵
こちらは炊飯器で作った「カオマンガイ」。お皿のチョイスも素敵

――息子さんが作ったごはんの中で、どれがお気に入り?

ぼた餅です。餅米を炊いて、餡子・きな粉・黒ごまの3色のぼた餅を作ってくれました。初めて食べた黒ごまが美味しくてびっくりしました。私が今の息子くらいの頃に、祖母がよく作ってくれていたなぁと懐かしい思い出も蘇り、温かい気持ちになりました。

お母さんイチオシの「ぼた餅」
お母さんイチオシの「ぼた餅」

――息子さんの挑戦を通じて気付いたことや感想は…

まさかこんなに続くとは思っていなかったので、息子の新たな一面を見せてもらえて嬉しく思います。まだまだ不慣れな所もありますが、色々なレシピを参考にしながら、丁寧に心を込めて作るとこんなにも食べる人を幸せな気持ちにさせるんだなぁと教えてもらいました。私も見習います(笑)

(兄の)長男も「毎日お昼ごはんが豪華で嬉しい!」と喜んでいて、それを聞いた次男もまた嬉しそうで…挑戦させて本当に良かったです!

「毎日作るのは大変。でも完全に1人で料理できるようになりたい」

息子さんは8月17日現在も「お昼ごはん担当」を続けているそうで、カレーの他にも「鶏肉のとろみ生姜焼き」や「ナスと豚肉のみそ炒め」といったおかずや、「ぼた餅」「シュークリーム」などの甘味を作ったそう。

続いて、そんな息子さんにもお話を聞いた。


――作ってみて美味しかったメニューや大変だったメニューは?

美味しかったメニューはシュークリーム、お気に入りになったメニューはぼた餅です。大変だったメニューは、エノキの豚肉巻きです。お肉を巻くのが緩くなってしまって難しかったです。

息子さんお気に入りの「シュークリーム」。初めての挑戦で「きれいにふくらんだ」のはすごい!
息子さんお気に入りの「シュークリーム」。初めての挑戦で「きれいにふくらんだ」のはすごい!

――メニューは冷蔵庫の中身と相談?どうやって決めているの?

料理本やYouTubeを見て、美味しそうで作りたいものを選んで決めています。


――毎日のお料理は大変だと思いますが…どんなところが特に大変・楽しいと思った?

盛り付けが難しかったです。例えばトマトの断面が見えた方が綺麗に見えるとか、細かいところを考えるのが難しかったです。作っている途中は出来上がりを想像してワクワクするし、完成した時も達成感があって、楽しいです。

お母さんもお気に入りの「ぼた餅」を作っているところ。「ぼた餅って何?」という疑問からスタートしたそう
お母さんもお気に入りの「ぼた餅」を作っているところ。「ぼた餅って何?」という疑問からスタートしたそう

――このチャレンジを通して、何を考えた?

毎日料理を作るって大変だなぁと気づきました。でも、楽しくて自分が食べたいものも食べられるから、これからも続けたいです。お母さんの手伝いもなく、完全に1人で料理が作れるようになりたいです!

ちなみに息子さんは、頑張って作った料理を少し残して、保育園に通っている妹さんに夕食時に出しているそう。お母さんいわく「美味しい!と言ってもらえるのが嬉しいようです」とのことで、優しいお兄ちゃんの顔と、腕に覚えアリ!のシェフの顔が垣間見えた。

息子さんの挑戦は、昼ご飯から夜ご飯に形を変えて、夏休みが終わっても続きそうだ。お母さんの手を借りずに、ひとりでキッチンに立てるようになる日もそう遠くなさそうだ。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。