8月5日、午後9時半頃。神奈川県鎌倉市のJR大船駅近くで、走行中の東海道線の列車が電柱と衝突しました。

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JR東日本によると、この事故で乗客3人がケガをし、9人が体調不良を訴えました。

茅ヶ崎で行われた花火大会から帰宅する、多くの乗客などで混雑していた車内。

東海道線は東京から熱海間の上下線が運転を見合わせ、約15万人に影響が出ました。

1歳の子供がぐったりと…“蒸し風呂”のような車内

事故の起きた5日は、福島県で40℃を観測するなど各地で危険な暑さとなった日でした。

最寄りの鎌倉市の観測所では、午後9時の時点で27℃を超えていたにもかかわらず、事故の影響で車内は停電し、冷房も止まってしまったといいます。

冷房の止まった車内で窓を開ける乗客
冷房の止まった車内で窓を開ける乗客

家族4人で花火大会に行った帰りに事故に遭遇したという父親は、厳しい暑さの中、1歳と4歳の子供2人の様子を心配しながら待機していたときの様子をこう話します。

家族4人で事故車両に乗り合わせていた男性:
(1歳の息子の)髪の毛がシャワーを浴びたような感じでビショビショになって。服も全部汗でビショビショなので、もうおむつ1枚まで引っぺがして抱っこしながらあおいでいるという感じでした。(車内は)エアコンが切れた部屋に夜帰って、玄関を開けたときの感じ、あの状態をエアコンもつけずにいるという感じです。
このままここにいたらまずいなと、特に乳幼児の場合は、抱っこしていると肌と肌が触れあっている部分で熱が増してしまうというのもあって、これは非常に怖いなと

見せてくれたのは、1歳の息子を撮った1枚の写真。髪が濡れ、汗だくでぐったりとし、うなだれるように眠っています。

家族4人で事故車両に乗り合わせていた男性:
暑さが増してきた時に、1歳の子は泣いてしまったりとかしてしまったんですけど、それに対して他の年配の方などがお声がけをくださったりとか、うちわを持っている方が、自分ではなくて、うちの子にあおいでくれたりとか。ハンディ扇風機、それを自分ではなく、1歳の子だけじゃなくて4歳の(うちの)子にも向けてくれたりとかして、献身的に対応してくれました。

車内は“蒸し風呂状態”。
そして、日付が変わった午前0時過ぎ、ようやく外へと避難誘導が始まったといいます。

駅員「ご迷惑をおかけしました、本当に申し訳ございません、申し訳ございませんでした、ご迷惑をおかけしました」

乗客の中には、熱中症の疑いで運ばれる人も。

約2時間半にわたって閉じ込められた乗客たち。電車を降りると新たな問題が起きていました。

帰宅困難者が続出 事態を聞きつけ助けに訪れる人も

日付が変わって、6日の午前1時過ぎ。ようやく車内から脱出することができた乗客を待ち受けていたのは、“帰宅困難者”の行列でした。

駅の外にも続く列
駅の外にも続く列

JR大船駅前のタクシー乗り場には、100人を超える人たちが列をなします。深夜だったこともあり、なかなかタクシーもやってきません。

タクシーの待機列に飲み物を配るJR職員
タクシーの待機列に飲み物を配るJR職員

中には、なすすべがなくなったのか路上で寝てしまう人の姿も。

午前3時すぎに、取材スタッフが出会ったのは3人家族。
6歳の娘は疲れ果てて眠っていました。自宅は大船駅から約20km離れた大磯町で、父親がタクシー待ちしているといいます。

座り込む母親、横には眠っている娘が
座り込む母親、横には眠っている娘が

帰宅困難になった母親:
旦那が(タクシー乗り場に)並んでいます。ちょっと子供がもう限界なので。ちょっと寝かせて、ここで座っているような感じです。

Q.お父さんは今どの辺に?
帰宅困難になった母親:

今、ちょっとわからないので、ただ見える範囲にはいないから、ほとんど多分進んでないと思います。…早く帰りたいです。

途方に暮れる親子
途方に暮れる親子

途方に暮れる母親。そんな状況を見かねてか、ひとりの男性が声をかけてきました。男性は、家族とは全く面識がないといいます。

助けに来た近隣住民:
お子さん連れのご家族を助けに、お迎えに来ました。近くに住んでいまして、さっきまで寝てまして。起きたら大変なことになっているので、何か力になれたらなと思ってきました。自分も子供がいるので、大変だろうなと思って。

大船駅周辺に住んでいるという男性。事故の影響で帰宅困難者がいる状況を知って、何か力になれないかとやってきたのです。

途方に暮れていた家族は、男性の自家用車で送ってもらえることになりました。

帰宅困難になった父親:
いやもうなんか、逆にいい経験になったなっていう、ありがたいなっていう、ほんまに。大変でした。ほんまに…何時間か分からないですよね。

タクシーの列に並んでいた父親
タクシーの列に並んでいた父親

男性のおかげで、なんとか帰路につくことができた家族。

しかし、タクシーを待つ列は、その後、朝の6時半をまわっても続いていました。

(めざまし8 8月7日放送)