7月、静岡県藤枝市でポケモンカードが大量に盗まれる窃盗事件が起きた。いま「ポケカ」が盗まれる事件は全国的に相次いでいる。なぜ狙われるのか。専門家はカードゆえの“盗りやすさ”があると指摘する。

閉店後の店内で大胆な犯行

犯行の様子をとらえた防犯カメラ
犯行の様子をとらえた防犯カメラ
この記事の画像(7枚)

7月18日。静岡県藤枝市にあるホビー商品を販売する駿河屋藤枝店で事件は起きた。

店の入り口のガラスを割り、閉店後の店内へと侵入した犯人は一目散にショーケースの方向へ。ケースを壊すと展示されているポケモンカードを次々とカバンの中へと入れ、その場を立ち去った。侵入から逃走までわずか4分の大胆不敵な犯行。

盗まれたのはポケモンカード100枚以上で、店頭での販売価格の総額は100万円超とみられている。店長によれば「ケースの上部には新しいカードが、下部にはプレミアの付いた値段が高い商品が並んでいた」という。

こうしたポケモンカードを狙った窃盗事件は全国で相次いでいる。都内では2022年8月、販売総額1300万円相当のポケモンカード650枚と現金 約480万円が盗まれ、犯行方法を指示したとされる男が逮捕されている。

コレクター要素も強いポケモンカード

価格が高騰するポケモンカード
価格が高騰するポケモンカード

事件の背景にはポケモンカードの“価格高騰”がある。希望小売価格はカード5枚で180円。しかし、駿河屋藤枝店の店長は「魅力的なイラストが多いため、コレクター要素もかなり強く値段が高騰している」と解説する。

人気の秘訣はカードゲーム自体のおもしろさ

専門店には開店前から行列
専門店には開店前から行列

なぜこれほど人気なのか?事実、日曜日に浜松市浜北区にある「ポケモンカード」専門店・ふぃ~るどを訪ねると開店前から多くの人が列を作り、開店と同時に次々とカードが売れていった。

大会には大人から子供まで参加
大会には大人から子供まで参加

この日行われていた大会の参加者に話を聞くと「自分の好きなポケモンを使えることが魅力」「いろいろなカテゴリーがあり、大人から子供まで一緒に楽しむことができる」とのことで、カードのデザインはもちろんのことながら、対戦型のカードゲーム“そのもの”のおもしろさも多くの人を魅了する大きな要素のようだ。湯山真介 店長も「親子で対戦が簡単にでき、そこが楽しさ」と話す。

レアカードは高値で取り引きされる
レアカードは高値で取り引きされる

こうした中で、いわゆる“レアカード”は高い値段で取り引きされ、湯山店長によると「入手が難しいカードや公式大会など規模の大きな大会で上位入賞者しかもらえないカードは値段が高くなる傾向にあり、キャラクターの絵の『かわいさ』や『かっこよさ』にも付加価値がつく」という。

“カード”の特性が被害呼ぶ?

犯罪心理に詳しい静岡県立大学・津富宏 教授
犯罪心理に詳しい静岡県立大学・津富宏 教授

犯罪心理に詳しい静岡県立大学・津富宏 教授は「“小さい”“軽い”“簡単に持ち出せる”というカードの特性が被害を呼んでいて、隠しやすく、現金を盗むより簡易な状況」になってしまっていると指摘する。また「簡単に売りさばけないものではなく、フリーマーケットやインターネットなどを介して盗品を簡単に売ることができる」環境も問題だという。

全国的な窃盗事件を受け、各地の店では高額なカードについては見本を展示したり、営業終了後に別の場所で保管したりと対策に力を入れている。「ポケカ」ブームはしばらく続きそうで、卑劣な犯罪がなくなることを願うばかりだが、店側としては性善説だけを信じるわけにもいかず防犯に神経をとがらせた日々が続く。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
テレビ静岡

静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。