長野県発注の工事が原因で起きた小川村の浸水被害。8月1日で1カ月、住民は普段の生活に戻れておらず、県に対し迅速な対応や補償を求めている。一方、県は今回の被害は「施工業者の対応が間に合わなかったため」としている。

被害から1カ月…元の生活戻らず
床下を送風機で乾かす小川村鴨之尾地区の西沢栄子さん(71)。
自宅が浸水被害・西沢栄子さん:
家の方をなにしろ早くどうにかしてもらいたい、ただそれだけ。元に戻してもらえれば
住宅の浸水被害から1カ月。
今も生活は元に戻っていない。

原因は県が発注した災害復旧工事
7月1日、鴨之尾地区を流れる土尻川が氾濫。
西沢さんの住宅を含む6棟に浸水被害が出た。
原因は県が発注した災害復旧工事。
護岸工事に伴い対岸に重機を通すため、川の中に盛り土をして工事用道路を建設。排水パイプを設置して水を通していた。
しかし、大雨で排水パイプの処理能力を超える水が流れ込み、川が工事用道路でせき止められる形となり溢れた。

県「施工業者の判断が遅れた」
被害から1カ月ー。
8月1日、県議会の危機管理委員会が現地を調査した。その中で、県長野建設事務所は「業者の判断が遅れ、工事用道路の撤去が間に合わなかったことが原因」と説明した。
増水で危険が予想される場合には、工事用道路を施工業者が事前に撤去する取り決めだったという。
このため、住民への補償は施工業者側が行うとしている。

「県の責任はゼロではない」
長野県議会・危機管理建設委員会・寺沢功希委員長:
そうは言っても、発注者である県に責任がゼロとは言えない。発注者の責任として、管理監督をしっかりしていただいて
県長野建設事務所・青木謙通所長:
発注したもので、結果的に水がついたこと、ご迷惑をかけたことについては申し訳ない。(出水時の)連絡体制を含めた(業者を)支援できることもあると思う。今後のことにはなるが、この機会をいかして次につなげるよう、私たちとしても努力してまいりたい

「お盆がくるのに、こんな状態じゃ」
被害を受けた住民の西沢さん。
送風機で乾かし続けているが、床にはカビも生えてきていた。
補償の具体的な範囲や金額などについて県の説明がまだなく、再建工事を始められない状況だ。
西沢栄子さん:
お盆も来るのにこんな状態じゃどうしようもない。(亡くなった)お父さんを迎えられなくて申し訳ないような気もするし

一方、こちらは土砂が15センチほど流れ込んだ畑。今も残されたままだ。
所有する男性によると、県から8月下旬から撤去作業を始めると説明があったという。
畑の所有者:
一番、水が出る季節に工期を考えた県には、反省するところがある。早く片付けてもらって、そうしないと秋の作物ができないわけ
工事を発注した県。
一刻も早い対応が求められている。

(長野放送)