“夢の超特急”リニア中央新幹線。静岡工区が着工に至らず2027年の開業は絶望的な状況だが、静岡以外の都県では工事が進む。2026年の完成を目指して今まさに建設中の神奈川県駅の現況を紹介する。

リニア”神奈川県駅”は橋本駅前に

橋本駅前で進む神奈川県駅の工事
橋本駅前で進む神奈川県駅の工事
この記事の画像(8枚)

人口 約70万人の神奈川県相模原市。県内で計画されている路線延長39.4kmのリニア中央新幹線工事のうち約6割が市内で予定されているが、この相模原市で2019年11月、リニア新幹線が発着する“神奈川県駅”の工事も始まった。

神奈川県駅は高校の跡地に建設
神奈川県駅は高校の跡地に建設

“神奈川県駅”は東側の始発駅となる品川駅の“次”にあたる駅で、リニア新幹線が開業すれば品川駅までの所要時間は10分。JR横浜線・JR相模線・京王相模線が乗り入れる橋本駅すぐ南側の県立高校跡地で建設が進められ、ここは都市化が進んだエリアでもあることから選ばれた。施工されているのは全長 約680m、最大幅 約50m、深さ30mの東西にのびる巨大な地下駅だ。

今後の建設イメージ
今後の建設イメージ

この日 行われていたのは地下での掘削作業。地盤は比較的硬く安定していて、土を抑える壁や鋼材を設置しながら段階的に掘り進められている。着工から3年半あまり。毎日ダンプカー400台分以上という膨大な土を掘削した結果、現在は駅の最底部となる地下30mまで到達し、今後はこの場所にビルを建てるように駅が作られ、地下2階に改札口、地下3階には駅のホームやリニアが走る「ガイドウェイ」が設置される予定となっている。

敷地内に仮置きされている掘削土
敷地内に仮置きされている掘削土

商業施設や住宅、人通りが多いエリアでの工事ということで、課題となるのが掘削で出た大量の土の運搬と置き場だが、現在は敷地内に仮置きされていて、今後は地下駅の埋め戻しに使われることになっている。埋め戻しに使うことで、土を外部に搬出にするダンプを減らすことができるという。

地域との連携目指し

展望台”さがみはらリニアひろば”
展望台”さがみはらリニアひろば”

また、この場所には「工事の様子が見たい」という地元住民の要望を受け展望台“さがみはらリニアひろば“を整備し、毎週金曜日と工事を実施する土曜日に一般向けに開放。6月17日にオープンし約1カ月ですでに約4000人が訪れている。見学に来た地元住民からは「新しいことを始めるためのエネルギーがすごい」「すごく誇らしく橋本の未来がとても輝いて見える」といった声が聞かれた。

美大生が壁画をデザイン
美大生が壁画をデザイン

さらに周辺の囲いには地元の美大生たちがリニアをテーマに描いた壁画が掲示されているほか、2022年10月には、掘削現場の法面を使って工事について映像で説明する市民向けのプロジェクションマッピングも開催されるなど、地域との連携を強く感じさせる工事現場となっている。

プロジェクションマッピングを活用した工事説明
プロジェクションマッピングを活用した工事説明

この狙いについてJR東海 中央新幹線推進本部・吉川太郎 担当課長は「これだけ広い範囲を長期間にわたって工事するので地域の理解が得られないと工事は進められない。できる限り情報を発信していくことを大切にしている」と話す。

神奈川県駅は3年後に完成する予定だが、その一方で、静岡工区はいまだ着工できておらず2027年の開業は見通せていない。早期開業に向け、静岡県とJR東海は歩調を合わせていくことができるだろうか。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
テレビ静岡

静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。