国内10年ぶりの新型車はコンパクトSUV
日産自動車は6月24日、新型SUV(スポーツ用多目的車)「キックス」を30日に発売すると発表した。

日本市場に、フルモデルチェンジではなく、全く新しい車を投入するのは、2010年に発売した初の量産型電気自動車(EV)「リーフ」以来約10年ぶりとなる。
新型コロナウイルスの影響で、今回の発表会はオンライン開催となったが、星野朝子副社長はこう語って自信を見せた。
日産・星野朝子副社長:
電動の走りに加えて、プロパイロット(運転支援技術)も搭載した。価格も200万円台で、日産の主力車になる

「キックス」は海外では2016年から販売されていたが、国内では「ジューク」の後継にあたる。
トヨタ「C-HR」やホンダ「ヴェゼル」など近年人気急増中のコンパクトSUV市場に投入される「キックス」。
大幅な赤字で苦戦する日産にとって、再建の鍵を握る新型車はどのような車なのか。
特徴①独自ハイブリッド技術「e-POWER」搭載
今回搭載されている、日産が独自で開発したハイブリッド電動技術「e-POWER」は、エンジンで発電した電気で走る。
そのため充電を必要とせず、給油だけで電気自動車の運転感覚を味わうことができる。

国内では3車種目の搭載車となるが、従来車より出力を2割向上させることで、静かながらも強い加速力を実現するという。
また、アクセルペダルの踏み戻しだけで減速可能な「ワンペダル操作機能」も搭載されている。

特徴②デザインと快適な室内空間
外観デザインは、LEDヘッドランプで存在感を演出しながら、力強さとスタイリッシュさを表現したという。


全13種類の豊富なカラーバリエーションも特徴の一つだ。

内装も、フロントウィンドウが大きく、座席部分も広く設計されており、視界・空間ともに開放的になっている。


新車投入で業績回復なるか
日産は、値引き販売によるブランドイメージ低下や、新車投入台数の少なさが課題となり、業績が悪化。

加えてゴーン前会長の騒動もあり、2020年3月期の決算では6700億円を超える最終赤字となっている。

経営の立て直しとして5月に発表した中期経営計画では、生産能力の2割減や固定費3000億円の削減に加え、1年半の間に全世界で12の新型車を投入する予定としている。
今回の発表会で、星野副社長の後ろにはこんな言葉が掲げられていた。
「このままで、終われるか。超えてやろうか、あるはずだった未来を」

新型「キックス」の投入は、経営再建への一歩を踏み出す、強い決意の表れと言えそうだ。
(フジテレビ報道局経済部 谷リサ子記者)