目が疲れるとピントが合わない…最近、近くを見るのがつらくなった。
こんな悩み解消の手助けになりそうな「オートフォーカスアイウェア」が登場し、注目されている。ViXion株式会社が開発したのは、⾒る距離に応じて自動でピントを調節するアイウェア「ViXion01(ヴィクシオンゼロワン)」。

同社によれば、オートフォーカス搭載のアイウエアが市販されるのは世界初だそうだ。また、メガネのような形をしているが、視力を矯正する「眼鏡」のような医療機器ではないという。

ViXion01は左右非対称のデザインをしており、太い右側の


同社は利用シーンとして「読書やスマホの時間に」「お仕事に」「お料理をしながら」「細かい作業や製作に」と4場面を紹介。

見え方を再現した動画では、近くのカレンダーから離れたビルに視線を移すと、すぐにピントが合う様子が映っている。



ただし、この画像でも分かる通り視野は狭い。同社はViXion01をかけたまま、車や自転車の運転、スポーツ等をしないように呼びかけている。
また「オートフォーカスモード」の他には「マニュアルモード」があり、距離センサーが検知しにくい針などの小さい物体や、鏡を見るときなどに使うそうだ。本体は55g。約2.5時間の充電で最大約10時間使うことができるという。

ViXion01のクラファンは6月29日にスタートし、6万7800円のイノベーター割引価格、6万8800円の超早期割引価格などが次々完売となった。
開始わずか16分で目標金額500万円を達成し、1週間で10倍の5000万円を超えたとのことだ。
7月17日時点では、7万0800円の特別価格や複数本のセット販売が行われており、このプロジェクトは8月24日までの予定になっている。
日常生活でずっと装着する想定ではない
眼鏡の代わりではないというが、見え方やピントが合う速度はどうなのか?遠近両用眼鏡と比べたらどんなメリットがあるのか? ViXion株式会社の担当者に聞いてみた。
――そもそもViXion01は、「眼鏡」の代わりになるものなの?
眼鏡の代わりになることは想定しておらず、それを期待しないようお願いしています。日常生活でずっと装着し続けるのではなく、例えば手元の細かい作業など特定のシーンでお使いいただくことを想定しています。
――開発のきっかけは?
当社は
暗所での「見え方」にお困りの方向けの製品「HOYA MW10 HiKARI」を開発・販売しており、体験会のため全国各地の団体や盲学校を以前訪れていました。その中のある盲学校で、生徒さんがとても不便そうに、単眼鏡を使って遠くの黒板や手元のノートをみて学んでいました。
その姿を目にしたCTOの内海が、「次は弱視の方たちが便利に使えるものを作ろう」と思ったことがきっかけです。
――開発で最も苦労した点は?
当初はオートフォーカス機能の搭載は難しいと考え、マニュアルモードだけを考えていました。しかし、試作機の体験者から「自動でピント調節できたら便利だ」という声が寄せられました。
CTOの内海が、「様々な目の状態の方々に、より多くの方々に使っていただくためにも、これは実現しなくては」と思い、かなり頭を捻った結果、オートフォーカス機能を実現しました。
指紋もくっきり見ることが可能
――ViXion01は、誰がかけてもピントが合う?
ご購入の前に一度お試しいただきたいですが、幅広い方の目の状態に合わせられると考えています。
――ViXion01は、あらゆる距離にピントが合う?
ご認識の通りです。極めて近い距離から遠い距離までピントが合います。ViXion01は5cmなど近い距離でもクリアに見えます。手の指紋もくっきりです。
――遠近両用の眼鏡と比べたメリットは?
冒頭で述べたように、ViXion01は眼鏡ではない、かつ眼鏡を代替するものではないという前提でお話します。
メリットとして寄せられた声としては「遠近両用に比べて、(オートフォーカスなので)手元も遠くもよりクリアに見える」「遠近両用はレンズの上と下で視線の移動が必要だが、これはその移動が不要」「遠近両用はレンズのコストが高くなりがち」が挙げられます。
※個人の感想です。見え方は個人差があります。
――乱視の人もよく見えるようになる?
ViXion01の特徴であるオートフォーカス機能は、乱視に効果を発揮するものではありません。しかし、体験会で乱視の方が試した際に、「2本に見えていた木が1本に見えた」などの声を頂いたことがあります。「視野が狭いことによるピンホール効果」なのではないかとも言われています。今後、検証予定です。
――ピントが合うまでの時間は?
コンマ数秒です。オートフォーカス前後の距離や、その人の目の状態によって、ピント調節の体感速度は異なりますが、「速い!」という声を良く頂いています。

筒を覗いているような見え方
――レンズの直径は?
レンズの直径は6mm弱です。筒を覗いているような見え方、と言われます。レンズ径を大きくしていくことが今後の製品開発上の課題として取り組んでいます。
――クラファンであっという間に500万円の目標を達成したり、1週間で10倍の5000万円を超えたことをどう受け止めている?
事前に小規模の体験会を実施しており、そこでの反応から、製品自体に対する自信はありました。しかしやはり、「皆さまに本当に受け入れていただけるだろうか?」という不安は無きにしもあらずでした。クラファン開始の前夜、全く眠れなかったメンバーもいました(笑)。
結果として、1週間で1000%を超過し、プロジェクトが成功したことは、一定マーケットに受け入れてもらえていることの表れだと理解しています。
一方で、この勢いは皆さまの“見え方のお困りごと”によるものだと考えると、手放しで喜ぶことはできないと感じています。皆さまのご期待に一日でも早くお応えできるよう、引き続きプロジェクトを推進してまいります。
――体験した人からは、どんな感想が出ている?
以下のような感想を頂いています。
「私の息子は目が悪く、小さな頃に目を手術しており、現在も本を読むときはメガネの上にルーペを着けているんですよ。その息子がこんなに感動してるのは見たことないですね。ViXion01は遠くを見た時も自動でピントを合わせてくれるのがすごい。これなら学校の授業とかでも使えるのかなと思いました。家に帰ったら購入しようと思います。」(コメントは親御様、利用者は10代のお子さま)
「近視で老眼なので、家でテレビを見るときと本を読むときで別の眼鏡を使うのが面倒で・・・体験して感動しました。メガネとは別のモノと考えれば、視野の狭さも腑に落ちます。」(60代)
「私は左右でだいぶ視力が違うのですが、これは左右別々にピントを合わせられるようで良かったです。」(40代)
――新型についての構想は?
今後の製品開発の方向性としては、上述の通り、課題であるレンズ径の拡大に取り組んでいきます。また、職人などプロフェッショナル向けの特定用途に特化した製品展開も視野に入れています。

「ViXion01」のクラファンは、開始から12日で支援金額がついに1億円を突破したそうだ。また、クラファン期間中は、東京・二子玉川の「蔦屋家電+」で本体を展示しており、先行体験ができるという。気になる方は、この機会に試してみてはいかがだろう。