暑くてジメジメする夏。注意したいのが食品の取り扱いだ。生野菜やカレーの作り置き、飲みかけのペットボトル、そして麦茶も油断禁物。また、バーベキューにも思わぬ落とし穴が。食中毒を防ぐポイントを保健所の担当者に聞いた。
この記事の画像(13枚)3つのキーワード
「高温多湿」になるこの時期。気を付けたいのが「食中毒」だ。長野市保健所は3日からスーパーの一斉取り締まりをスタート。生鮮食品の温度管理や表示を確認した。
買い物客に注意していることを聞いてみると、「帰ったらすぐチルド室に入れる」、「なるべく早く調理して十分加熱する」などと話し、「生もの」の扱いに気を使う人が多いようだ。
夏場の食中毒は、気温が30度を超え湿度も高くなることで、「細菌」が増えやすくなり発生する。
県内では5月以降、既に幼稚園と飲食店で2件、集団食中毒が確認されている。
プロのいる現場でも起きてしまう食中毒。家庭ではどのような点に気を付ければよいのだろうか。
長野市保健所食品生活衛生課・関口徳之課長補佐は、「つけない、増やさない、やっつけるという3つのキーワード」を挙げている。
「つけない」
まずは「つけない」。これは食品を細菌で汚染させないこと。
長野市保健所食品生活衛生課・関口徳之課長補佐:
調理前に手洗いをしていただくとか、工程中に生肉を触ったら手を洗うとか、生肉とか魚を使った調理器具、包丁、まな板を他の物に使わないとか、食品を汚染しないようにすることが大事
生で食べる機会が増える野菜。土の中にも細菌が多いため、まずしっかり洗おう。
順番も大事。サラダや漬物など生のまま口に入れるものは、先に調理を。
肉や魚を先にすると、手などを介してそのあと扱う食品に細菌を付けてしまう「交差汚染」を引き起こしかねない。
長野市保健所食品生活衛生課・関口徳之課長補佐:
お肉を切る、魚を扱う前に野菜を扱って、速やかに冷蔵庫で冷やしておく。それで食べてもらうのがいいと思います
「増やさない」
続いて「増やさない」。買ってきた食品は速やかに冷蔵庫・冷凍庫へ。食品を高い温度帯に置かないことが基本だ。
さらにー。
長野市保健所食品生活衛生課・関口徳之課長補佐:
この時期ですと、カレーやシチュー、そういったものを作り置きして室温に置いておくと細菌が増えて、それが原因で食中毒になるなんてこともあるので、作ったものは速やかに食べる、作り置きは避ける。「増やさない」ためには必要
煮込み料理など空気が少ない環境で活発に増える「ウェルシュ菌」。「ちょっとだけ」としばらく鍋のカレーを置いておくとー。
長野市保健所食品生活衛生課・関口徳之課長補佐:
「ちょっと」が3時間だったりすると、ウェルシュ菌は食中毒の発症量までいってしまう。100万個とかものすごい勢いで増えていく
下痢や腹痛などの食中毒を引き起こす可能性があるため、小分けにして粗熱を取り、速やかに冷蔵庫で保管してほしいとしている。
外に持ち出す弁当は
外に持ち出す弁当にも工夫を。
ご飯やおかずが温かいままふたをしめるのはNG。しっかり冷まし、冷たいままキープする。汁気の多いものは菌が繁殖しやすいので特に注意が必要だ。
そこで利用したいのが保冷材。弁当箱全体を冷やすように入れるとよいそう。弁当用の小さなクーラーボックスもあると便利だ。
麦茶も要注意
夏場の必須アイテム、麦茶も要注意。実は、デンプン質が溶けだしているため傷みやすい。
長野市保健所食品生活衛生課・関口徳之課長補佐:
麦茶は穀類、細菌が増えやすい状況にあるので作ったら速やかに冷蔵庫に入れていただく。手間がかかりますけど、しっかり加熱して煮出して速やかに冷まして冷蔵していただく
煮出すことで細菌を減らし、粗熱を取ったら冷蔵庫で保管を。ただ、1日から2日経過したら廃棄した方がよいそうだ。
「飲みかけ」ペットボトル要注意
便利なペットボトル。一度には飲みきれないのでテーブルの上などに出しっ放しになっていないだろうか。「飲みかけ」は要注意だ。
長野市保健所食品生活衛生課・関口徳之課長補佐:
口の中の雑菌が飲料の中で増えて、腐敗等を起こして食あたり、食中毒になっていく。開封したら速やかに飲んでもらうか、速やかに冷蔵庫に入れて、速やかに飲んでいただくと。「速やか」ばっかりになってしまうんですけど
細菌の増え方は、温度、湿度、時間などの状況によって変わる。「増やさない」ためには、常に「速やか」を意識した方がよさそうだ。
「やっつける」
最後は「やっつける」。十分な加熱で、細菌を死滅させる。発生件数の多い「カンピロバクター」による食中毒。加熱が十分ではない鶏肉が原因となることが多いという。
こちらは低温調理した鶏肉の断面。上の写真は加熱が不十分な状態だが、衛生基準を満たして加熱した下の鶏肉の写真と見た目はほとんど変わらない。
十分に加熱できる調理法を選ぶ、肉を薄切りにする、などの工夫が必要だ。
人気のキャンプ。バーベキューを楽しむ人も増えているが、ここにも落とし穴がー。
網焼きで、表面はよく焼けたように見えても、内部まで火が通っていないこともあるので食べる前によく確認を。
食中毒を防ぐための3つのキーワード、「つけない」「増やさない」「やっつける」。
手間はかかるが、習慣にしたいものだ。
(長野放送)