静岡県沼津市で行われた棋聖戦第3局は藤井聡太七冠が勝利し、タイトル四連覇に王手をかけた。勝負メシを選ぶコンテストで街も盛り上がった。ただ、藤井七冠が選んだおやつの提供をめぐってちょっとしたハプニングがあり、シェフの機転で切り抜けた。
藤井七冠が棋聖戦 四連覇に王手

藤井聡太七冠と佐々木大地七段の20代同士の対決となった棋聖戦。

5番勝負の第3局は2023年7月3日 沼津市の沼津御用邸記念公園で行われ、藤井七冠が勝利し対戦成績を2勝1敗とした。
対局後、藤井七冠は大盤解説会の会場で見守ったファンを前に、対局を振り返った。

藤井七冠:
当局 非常に難しい将棋で中盤からは受けに回る展開が続いたんですけど、何とか辛抱強く落とすことができたのかと感じています
第4局は7月18日に新潟市で開かれる。藤井七冠が勝てばタイトル四連覇だ。
食材を店に置き忘れて…
対局とともにいつも注目されるのが藤井七冠の勝負メシとおやつだ。
今回は藤井七冠が選んだおやつをめぐり、ちょっとしたハプニングがあった。
おやつは会場側が用意する3種類のなかから棋士が選ぶ。

雨宮帆風 記者:
藤井七冠が午前のおやつに選んだのは「ガトーショコラ」。色鮮やかに飾られたこのプレートは、今回の対局のために特別に用意されました

三島市芝本町にある「ALBEDO(アルベド)」。
フランス料理店で修業を積んだオーナーシェフの佐野正汰郎さんが、2022年オープンしたガトーショコラ専門店だ。

藤井七冠に提供された「究極のガトーショコラ」は、店で販売しているこだわりのガトーショコラをメインに、対局用に特別に飾り付けをした。

ALBEDO オーナーシェフ・佐野 正汰郎さん:
(対局前日の)午後4時頃に(市から)連絡をもらい、うれしかったです。(当日は)デザートの盛り付けに使うパーツを店に忘れてしまい、急きょ(会場に行く途中で) 買いました。フルーツは違うものになってしまったけれど、その場の機転で乗り切りました
棋士に提供される食事は店で調理してテイクアウトするのが一般的だが、アイスクリームなど型崩れしやすいものをつかったり、繊細な飾りつけをするデザートは、食材を対局会場に持ち込んで仕上げる。

佐野さんはガトーショコラを華やかに飾り付けるため、食用の花やフルーツを用意した。

しかし飾り付け用の食材を店に忘れてしまい、予定していた飾り付けはできなかったそうだ。会場に向かう車内で気づき、途中で代わりの食材を買った。

それでもきれいに飾りつけされ、佐野さんも「多くの人に知ってもらうきっかけになった」と笑顔で振り返っていた。

熱戦から一夜明けた4日、店には「藤井七冠と同じものを食べたい」と、普段の3倍ほどの問い合わせが来ているという。

来店客:
将棋はあまり詳しくないけれど、選ばれたので興味をもった。同じもの食べてみたい

ALBEDO オーナーシェフ・佐野 正汰郎さん:
きょう(4日)は朝から予約の電話をたくさんもらい、きょうの分はそろそろ完売ですが、あす以降 たくさん仕込んで用意します

素材から選び抜いて作る「ガトーショコラ」は、1ホール2500円だ。
藤井七冠の勝負メシはゲン担ぎ?「カツライス」
一方 勝負メシは地元の人気店メニューのなかから“市民おすすめの沼津グルメ”を選ぶコンテストを実施し、和食・洋食・中華からそれぞれ2品 計6品を用意して棋士に選んでもらった。

藤井聡太七冠が選んだのは、ボリュームたっぷりの「カツハヤシ」。
沼津市の老舗洋食店「千楽 北口店」の看板メニュー「カツハヤシ」(1600円)は、分厚いカツと白米に3日間じっくりと煮込んだルーがたっぷりとかかっている。

佐々木七段は、踊りあじ専門店「沼津港あした葉」の「アジフライ定食」を選んだ。海の幸が豊富な沼津市の自慢の一品だ。
沼津市民に愛され、次代を担う若い棋士たちも選んでくれた“勝負メシ”が、観光地・沼津を訪れる人たちにとっても人気メニューになることを願いたい。
(テレビ静岡)