自衛隊に勤務していた男性が家業の農業と漁業を継ぐ決心をした。きっかけは東日本大震災派遣で実感した“食のありがたみ”。丹精込めて生産したコメとノリで作った「おにぎり」の店が地元で愛されている。

「おにぎり」で皆を笑顔に 

ふっくらつやつやなコメと、パリパリのノリ。

この記事の画像(15枚)

佐賀・白石の恵みをたっぷりと受けたおにぎりは、コメもノリも、ある農家の男性とその家族が育て、作ったもの。

しろいしもり・森卓也さん:
自分が作ったコメとノリでおいしいものを作っておむすびにしているので、皆さん笑顔になってほしいし、喜んでおむすびをほおばってほしい

白石町の農家の6代目にして、ノリ漁業者としても3代目の森卓也さん(35)は2022年の夏、佐賀市の繁華街でおにぎりの販売を始めた。その名も、おにぎり屋「しろいしもり」。近所の働く人や住民たちが朝食や昼食を買い求めにやってくる。

お客さん:
佐賀のノリと佐賀のコメっていうのがおいしい

お客さん:
ノリが別。パリパリ感がコンビニとかほかのおにぎり屋とは全然違う。佐賀に行けばおにぎりというように広がればいい

初夏の白石町。森さんの姿は実家に代々続く畑の中にあった。1から種をまいて苗を作る作業だ。おにぎりに不可欠なコメは、粒が大きくてもちもちした食感が特徴の「さがびより」と、冷めた後でも味に定評がある「ヒノヒカリ」をブレンドしている。

そして、おにぎりの最良の友「ノリ」は、畑から少し離れた海辺にある作業場で、弟・慎二さんたちと作っている。

森さんが頼りに、そして大事にしているのが“家族や親戚のつながり”。ノリの種入れの時は、なんと30人集まるほど。何度も周りの協力のおかげで困難を乗り越えたという。

しろいしもり・森卓也さん:
ノリはじいちゃんの代から

親戚のおじちゃん:
たくやの握ったおにぎりうまかろ?

おじいちゃん:
よく食べている。うまい

食のありがたみ実感した震災 

元々は海上自衛隊に勤務していた森さん。10年前に実家に戻り家業を継いだ。そんな森さんがおにぎりの店を開いたのは、世界中が震撼した“ある出来事”がきっかけの一つだった。

しろいしもり・森卓也さん:
東日本大震災の時に派遣で行ったんですけれど、その時に命の大切さ、食のありがたみをすごく実感して、そういうことも重なって白石で家業を継ぎたいと思った

そして、生産者にとどまらず、自分の作ったものを売るという新たな世界にもチャレンジしたのだ。

しろいしもり・森卓也さん:
インスタでもこんな農家がやっているんだ。われわれも頑張ろうという投稿がタグ付けされていて、周りの農家さんともタッグを組んでコラボして1次産業を盛り上げたい

地元の恵みを「おにぎり」に

おにぎりは、白石町の牛肉や嬉野市のチーズ、唐津市肥前町のシラスなど定番8種類に加えて、月に2種類、旬の素材を取り入れた季節限定がある。6月の限定品だった「コーンの御結び」を食べた中嶋リポーターの反応は…。

中嶋理沙リポーター:
まず、ノリがパリパリ。お米がひとつひとつ粒だっていて柔らかい。この時期の白石町のスイートコーンが入っているので甘味が引き立っている

白石の豊かな土地を森に例えて、店名を「しろいしもり」と名づけ、パッケージには多くの動物たちが集まってくるストーリーを描いている。

しろいしもり・森卓也さん:
白石はミネラルが豊富で山があって、海と平野があるんですけど、山の恩恵を受けて海に流れていく唯一無二の土地を生かして、自分が作ったひとつのおむすびを、皆さんが喜んでもらえるように広げていきたい

白石をとことん愛し、今が楽しいと話す森さんは、きょうも店に立ち、自らの手で作ったコメとノリでおにぎりを握っている。

(サガテレビ)

サガテレビ
サガテレビ

佐賀の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。