朝起きるとタツノオトシゴに家族が!

犬や猫、鳥、爬虫類など、自宅で生き物を飼っている人は多い。愛くるしい姿を見せてくれたり癒してくれたりと、欠かせない存在となっている人もいることだろう。

そのような中で今、朝起きたら飼育するタツノオトシゴがたくさん増えていた画像がTwitterで話題となっている。

それがこちらだ。

朝起きたら、めっちゃ増えてた
タツノオトシゴ可愛い

このコメントとともに投稿された画像には、1匹のタツノオトシゴの下にたくさんの小さなタツノオトシゴが写っている。

提供:アルト自然派さん

投稿をしたのは、海水魚や昆虫などの採集をしているアルト自然派(@altshizenha)さんで、タツノオトシゴが出産をした後の写真のようだ。よりアップの画像を見ると、確かに小さいながらもタツノオトシゴの形をしている。

そもそも、タツノオトシゴを自宅で飼育していることも珍しいと思うが、出産にも遭遇したとは驚きだ。

Twitterでも話題となり、「うっわっっ、、ちっちゃ可愛い」「タツノオトシゴのオトシゴ!?」「おかあちゃんすげー!神々しい!」といったコメントが並び、11万9000ものいいねが付いている(6月25日時点)。

実際はどんな状況だったのだろうか? アルト自然派さんに話を聞いた。

1匹ずつお腹から出てくる姿はとても愛らしかった 」

ーーそもそも、なぜタツノオトシゴを飼おうと思ったの?

オス1匹をたまたま採集でき、6月13日から飼い始めました。


ーー出産はいつから始まった?

詳しくは分かりませんが、朝起きて水槽を見たら、どんどん産まれてました。


ーー写真を撮影した際の感想は?

オスがお腹の袋(育児嚢)で卵を育てて出産するという、珍しい繁殖方法のタツノオトシゴの出産を見ることが出来てとてもうれしいです。出産は初めて見たので、感動しました。

提供:アルト自然派さん

ーー出産を見られた感想を教えて。

1匹ずつお腹から出てくる姿はとても愛らしかったです。


ーー最終的には何匹くらい産まれた?すべて飼育するの?

約50匹産まれました。全部飼育します。


なおアルト自然派さんによると「産まれたばかりのタツノオトシゴは小さいのでフィルターに吸い込まれてしまう可能性があるから」と、現在はネットで保護しているとのことだ。

オスが尾部を器用に使って出産

産まれたときの状況は分かったが、そもそもタツノオトシゴは飼育が難しいのだろうか? また出産を見られることは専門家でも珍しいのだろうか?

タツノオトシゴの出産動画をYouTubeに公開している名古屋港水族館の伊藤飼育員に詳しい話を聞いた。

ーータツノオトシゴの生態について教えて?

標準和名はタツノオトシゴ。

ヨウジウオ科タツノオトシゴ属に属する魚の仲間で、日本に生息するタツノオトシゴ属は約10種類。節が連なったように見えることから昔は昆虫だと考えられていました。

沿岸の浅い岩礁域にある藻場に多く見られ、自由自在に動く尾部で海藻などにしっかりつかまって生活しています。胸びれと背びれを動かして泳ぐが遊泳力は低く、そして、オスが産仔する動物です

提供:アルト自然派さん

ーー寿命はどのくらい?

2〜3年です。


ーー生息地域を教えて?

北海道以南の日本各地および朝鮮半島南部に分布します。


ーーお腹から出産をしているが、体の構造について教えて?

オスは腹部に育児嚢と呼ばれる袋状の器官を持っており、メスではなくオスが産仔するのが特徴です。メスは育児嚢に産卵し、卵はオスの育児嚢の中で受精します。

受精卵は育児嚢の中でふ化し、仔魚は親と同じ形で産仔されます。そして、オスは尾部をしっかりと海藻などに巻き付け体を前屈させながら1尾ずつ産仔します。

しっかりと尾部を海草に巻き付けている(提供:名古屋港水族館)

今がベビーラッシュの時期

ーー出産の時期はいつなの?

春から夏です。


ーー出産を見ることは珍しい?

飼育下では、環境を整え、相性の良いペアができれば珍しくありません。野生下ではタツノオトシゴ自体を目にすることが稀なので、出産を見る機会は珍しいと思います。


ーーどのくらい大きくなる?

成体で10cm程度です。


ーー子育てはするの?

産仔した後、子育てはしません。育児嚢の中で卵をふ化させ、産仔まで保護はします。

提供:名古屋港水族館

ーー何を食べる?

水中を漂う微小な動物プランクトンなどです。近くに来たものを細長い吻で吸い込むようにして食べます。


ーー飼育は難しい?

生きたプランクトンを用意する必要があります。また動きが遅いため、他の魚と一緒に飼育するのは難しいです。

 

今回の出産は、卵を抱えたオスを偶然採集したことから、運よく見ることができた光景だったようだ。形も生態も興味深いタツノオトシゴだが、このとても小さな赤ちゃんたちが、これから、どのようにしてお父さんのように大きくなっていくかが楽しみだ。
 

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