6月25日(日)、阪神競馬場で上半期の総決算でもある宝塚記念・GⅠが開催される。

ファン投票の上位10頭に優先出走権が与えられるこの宝塚記念で、今年ファン投票1位となったのは、世界ランキング1位に君臨するイクイノックス。得票数は21万6379票で、昨年のタイトルホルダー(19万1394票)を上回る、歴代最多の得票数を得た。

変幻自在の世界最強馬・イクイノックス

ファン投票1位で出場するイクイノックスは、2022年春、3歳クラシックの舞台である皐月賞・GⅠと日本ダービー・GⅠで、共に2着に敗れた。

休養を挟み、同世代のライバル馬たちが向かうクラシック最終戦の菊花賞・GⅠを目指すと思われたが、見据えるものは大きく、年上世代が集う天皇賞(秋)・GⅠを選択した。

イクイノックスはここで、歴史に残るレースを見せた。

パンサラッサ(のちに、世界最高賞金を誇るサウジカップ・G1を勝利)がスタートから先頭に立つと、最初の1000mを57秒4という超ハイペースで逃げ、後続を大きく引き離す。

直線に入ってからも後続と大差をつけるパンサラッサに、誰もが「このまま逃げ切るのではないか」と思った中、後方から追走したイクイノックスが直線で猛追を仕掛けると、どの馬も届かなかったパンサラッサを唯一差し切り、春の悔しさを晴らすGⅠ初勝利を挙げた。

その後、GⅠ馬7頭が顔を揃えた有馬記念・GⅠでも、イクイノックスは衝撃の走りを披露。

後方から差すという競馬をしてきたここ2戦とは違い、直線残り300mで先頭に立ち、強豪馬たちをどんどん引き離すと、余力を残しながら、2着に2馬身半差をつけて勝利。

GⅠ2連勝を飾り、その年に最も活躍した馬に与えられる栄誉「JRA年度代表馬」に選出された。

最終追い切りをおこなったイクイノックス
最終追い切りをおこなったイクイノックス
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そして迎えた2023年、初戦に選んだのはドバイシーマクラシック・G1。

このレースでイクイノックスは世界に衝撃を与えた。

父・キタサンブラックを彷彿とさせるような逃げの戦法に出たイクイノックスは、後続に一度も影を踏ませることなく、3馬身半差の完勝。また、勝ちタイムは2分25秒65で、コース(兼レース)レコードであった2分26秒65を“1秒”も更新しての勝利であった。

国外でもG1勝利を挙げたイクイノックスは、世界ランキング1位の座に就いた。

変幻自在の走りで世界をも驚かせるイクイノックスは、GⅠ馬8頭が集う宝塚記念で、どんな走りを見せてくれるのだろうか。

ルメール騎手明かした「勝つ自信あります」

宝塚記念を前に、C.ルメール騎手が『馬好王国~Umazukingdom』での取材でイクイノックスについて語ってくれた。

C.ルメール騎手
C.ルメール騎手

――イクイノックスはどんな馬ですか?
キタサンブラックの子どもだから、最初から能力を見せたけど、3歳の春はまだ子供っぽかった。3歳の秋からは大人になって、パワーアップした。むちゃくちゃ強い馬になりました。
秋からはすごく良いパフォーマンスを見せてくれて、その後は、海外(ドバイ)で走って、世界に大きなインパクトを与えた。

――ドバイでは逃げ、宝塚記念ではどんな走りになりそうですか?
日本の競馬と海外の競馬は違うから、まだわからない。
日本(の競馬)は18頭立て、そして阪神の芝2200mは内回りコース。みんないいポジションを取りたいから、ミドルポジション(中団)から競馬をすると思います。

――栗東に長期滞在していますが?
長距離輸送をしないので、レース当日は輸送の影響による疲れが無く、トップコンディションで走れると思います。

――阪神内回り芝2200mは初めての舞台ですが?
ちょうど良い距離だと思います。ぴったりです。

――自信のほどは?
もちろん、勝つ自信があります。この馬で全部のレースを勝ちたい。全部勝てると思うけど、馬場・枠順・馬の状態にもよります。頑張りたいです!


デビューからコンビを組み続けるルメール騎手の手綱さばきにも注目だ。

ライバル撃破へ!ジャスティンパレス

2022年の宝塚記念では、エフフォーリアとタイトルホルダーによる同世代のライバル対決が注目された。

3歳の春、2頭の対決はエフフォーリアがすべて先着。
3歳の秋、エフフォーリアは天皇賞(秋)・GⅠ、有馬記念・GⅠを連勝し、2021年の年度代表馬に選出された。

一方の、タイトルホルダーは菊花賞・GⅠを制覇。有馬記念・GⅠでの直接対決は敗れるも、2022年の宝塚記念・GⅠでついにライバルを撃破した。

ジャスティンパレス(天皇賞・春・2023年)
ジャスティンパレス(天皇賞・春・2023年)

今年の宝塚記念・GⅠでライバルとしてイクイノックスに挑むのが、同じ4歳のジャスティンパレス。

タイトルホルダー同様、2022年、3歳の春にはイクイノックスに先着された。秋に同世代との戦いで着実に力をつけたが、有馬記念・GⅠではまたしてもイクイノックスに敗戦。

2023年、阪神大賞典・GⅡに勝利すると、天皇賞(春)・GⅠでも勝利を挙げ、初のGⅠタイトルを獲得。2連勝の勢いそのままに、3戦2勝の得意舞台で、世界ランキング1位となったライバルの撃破に挑む。

覚醒した良血!さらなる飛躍へ ジェラルディーナ

父はGⅠ6勝(海外G1を含む)のモーリス。母は牝馬3冠を達成し、GⅠ7勝(海外G1を含む)を挙げたジェンティルドンナ。

ジェラルディーナ(エリザベス女王杯・2022年)
ジェラルディーナ(エリザベス女王杯・2022年)

父母合わせて、GⅠ勝利数・計13勝のジェラルディーナは、2020年9月にデビュー。しかし、GⅠどころか重賞を勝つことなく、約2年の月日が流れた。

2022年9月、産経賞オールカマー・GⅡで重賞初勝利を挙げると、続くエリザベス女王杯・GⅠで、念願のGⅠ制覇を遂げる。有馬記念・GⅠでは3着に敗れるも、強い相手関係の中でも自力を見せた。

宝塚記念勝利数、歴代最多の4勝を誇る名手・武豊騎手との初コンビで、覚醒を遂げた舞台でのさらなる飛躍を狙う。

力量は未知数! ヴェラアズール

昨年のジャパンカップ・GⅠ優勝馬のヴェラアズールは未知なる魅力を秘めている。

ヴェラアズール(ジャパンカップ・2022年)
ヴェラアズール(ジャパンカップ・2022年)

現在6歳のヴェラアズールは、デビューから一貫してダートを走ってきたが、5歳で芝コースへ転向。その後、わずか5戦目で京都大賞典・GⅡを勝利すると、続くジャパンカップ・GⅠでは、国内外の強豪馬を抑え、芝GⅠを制覇。

今回で芝コースは8戦目となるが、得意舞台(阪神競馬場・芝コースは、2戦2勝)で輝きを再び解き放てるか。
 

上半期を締めくくる宝塚記念、世界ランキング1位の走りが見逃せない。

みんなのKEIBA 宝塚記念・GI
6月25日(日)15時から生中継
https://www.fujitv.co.jp/sports/keiba/index.html

みんなのKEIBA
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フジテレビスポーツ局が制作する競馬情報番組。毎週・日曜日午後3時より放送中。番組MC:DAIGO/佐野瑞樹/竹俣紅 解説者:井崎脩五郎/細江純子 ※放送時間は変更される場合があります