学校を欠席しなかったことを表彰する皆勤賞を廃止する学校が増えている。取材すると学校・親の心の変化が見えてきた。

コロナ禍で「皆勤賞」廃止の動きが加速

取材班が向かったのは神戸市にある中高一貫の私立の女子校、松蔭中学校・高等学校。

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この学校は段階的に皆勤賞を廃止したという。

中学2年生
中学生になってから皆勤賞を取ろうと思ってたけれど、なくなったからちょっと悲しいです。

校長は皆勤賞を廃止した経緯について次のように説明する。

松蔭中学校・高等学校 浅井宣光校長
今年3月の卒業式が皆勤賞授与の最後の年になりました。

この高校から併設する大学へ進学する際、皆勤賞は評価されるポイントだった。

しかし、大学側から「社会の実情にそぐわない」と指摘を受け、廃止に至ったという。

さらにこの動きを加速させたのが、新型コロナだった。

松蔭中学校・高等学校 浅井宣光校長
(コロナ禍は)学校側も体調不良であれば、必ず登校を控えなさいということを言っておりましたので、コロナの3年間はやはり皆勤賞廃止の動きに、生徒の精神面として結果的に良い作用をしたのかなと思っています。

皆勤賞廃止だけでなく学校版の有給休暇まで

学校を休むことへの考え方が大きく変わる中、学校版の有給休暇も登場している。

愛知県の公立の小中学校と高校などで導入するのが「ラーケーション」。

これは保護者の平日休みに合わせて子供が学校を年間3日まで休める制度で、学校を休んで家族と旅行やテーマパークに出かけても欠席扱いにならないというもの。

6月16日、東京・練馬区にオープンしたばかりの映画「ハリー・ポッター」の世界を体感できる施設。

小学3年生の息子を連れた父親は、オープンという記念の日に子供と過ごそうと学校を休ませて来ていた。

子供に学校を休ませた父親
きょうは(子供を)休みにしました。特別、先生も何も言ってくることもないですし、共働きのご家庭が多いので、仕事柄休みも不定期だったりする方も多いようで。

学校を休んで家族旅行はアリ?ナシ?

学校を休んで家族と旅行に行くのは「アリ」か「ナシ」か?街で聞いてみると…

10代
アリです。小学校の時に家族でディズニーランド行く時とかは休んでました。

30代
子供は休みでも親は仕事のこともあるし、行ける時に家族と行けたら一番良いんじゃないですか。

70代
ナシ!ナシ!「なんでも休んでも良いんだ」ってなるので。嫌なことは逃げるとか、そういうことにつながるんじゃないかなと。

番組で50人に聞いたところ、学校を休んで家族旅行に行くことを「アリ」と答えた人が40人、「ナシ」と答えた人は10人だった。

「休まないことが美徳」という価値観が大きく変わろうとしている。

番組ではコメンテーターで明治大学教授の齋藤孝さんに話を聞いた。

齋藤孝さん
今の数字「アリ:ナシ」が「40:10」でしたけど、50年前だったら全く逆というか。まあ旅行で休みを許されたのは1970年の大阪万博ぐらいでしたね。それは特例であって。とにかく親御さんの意識が変わってきたんだと思いますね。学校というのは絶対に行かなければならない場所ではなくなってきているのかと。そのことによって学校軽視が進んでしまうと先生はやりにくさもあるでしょうね。

宮司愛海キャスター
家庭によっては(親が)必ずしも土日が休みとは限りませんし、きちんと家庭内で学習面のカバーさえできれば、ある程度家庭を優先させてもいいということが許容される社会になってきているように感じます。

(イット! 6月16日放送より)