2023年5月に新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行してから1カ月以上が経った。静岡県内では新型コロナ感染は落ち着いているものの、気がかりなのはインフルエンザの季節外れの流行だ。6月まで流行期が続くのは、県内では記録が残る2006年以降で初めてだ。

「5月はインフルと風邪の患者が多い」

浜松市内のクリニック
浜松市内のクリニック
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浜松市中区のチルドレンクリニックで、子供の診療に母親が付き添っていた。

医師:
発熱はいつから?

母親:
おととい夕方からきのう朝まで

クリニックでは新型コロナウイルスの患者が減り忙しさは一段落したものの、5月から新たな心配事も出てきたという。

チルドレンクリニック・辻 徹 院長:
5月はインフルエンザの人が多かったですし、風邪の患者が季節外れで多いかなという印象は持っています

インフルエンザは、例年は冬が感染のピークだが、このクリニックでも5月になっても一日に3~4人の感染を確認することがあったという。

記録的な“季節外れ流行”

A型インフルエンザウイルス
A型インフルエンザウイルス

インフルエンザの感染状況を、静岡県は県内139施設の定点医療機関からの報告で把握している。1医療機関あたりの1週間の患者数が指標だ。1人以上で流行期、10人以上で注意報レベル、30人以上で警報レベルだ。

2022年10月からのシーズンは、3月上旬に5.96人(推計6000人/週)とピークとなったあと減少傾向で1人未満になったが、5月中旬に再度1人(推計1000人/週)を超えて流行期が続いている。6月11日までの1週間は1.36人だ。県内で6月まで流行期が続くのは、記録が残る2006年以降 初めてだ。

インフルエンザによる学級閉鎖も続いていて、6月16日までの1週間は小学校4校の5クラスが学級閉鎖になっている。シーズンの累計は181施設341クラスだ。

新型コロナで免疫機能が低下か

こうしたインフルエンザや風邪の季節外れの流行について、辻院長は「コロナ禍を過ごしたことで、子どもたちの免疫機能が低下したことが原因のひとつだ」と指摘する。

チルドレンクリニック・辻 徹 院長:
コロナ禍に外出を控えたりマスクをしていたことで、風邪やウイルスに対する免疫機能が落ちてしまったということかと思います

新型コロナが流行した過去2年間は、マスク着用や手洗いの励行、人混みを避けるなどの感染対策がインフルエンザの予防にも有効で、インフルエンザの流行がなかった。
このためインフルエンザに感染したことのない小児が増えるなど、免疫機能の低下が指摘されている。
静岡県内で今シーズン インフルエンザに感染した人の半分以上が10歳未満だ。

またインフルエンザ以外にも、RSウイルスへの感染も多く見られる。医師は、コロナ禍と同じような対策をとってほしいと話す。

チルドレンクリニック・辻 徹 院長:
手洗いや部屋の換気をしてもらって、感染に注意してもらうことがいいのではないか。RSウイルスや夏風邪も自然によくなる病気ですが、中には重症化する人もいるので、おかしいなと思ったら早めにかかりつけの先生に診てもらうことも大切かと思います

浜松市内のクリニック
浜松市内のクリニック

新型コロナウイルスが5類に移行された5月初旬以降、静岡県内では新型コロナ感染者が徐々に増加している。手洗いや部屋の換気など日頃の感染対策を続けることは、新型コロナの第9波を食い止めることに役立つうえ、別の感染症を予防する効果もありそうだ。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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