新型コロナの“5類移行”で、にぎわいを取り戻しつつある観光地、北海道・函館市。観光業復活の兆しが見える反面、それが教育現場に思わぬ影響を及ぼしている。

小学校「プール授業」が全面中止

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函館市の市立小学校では、コロナ禍で中止されていたプール授業が4年ぶりに再開される予定だった。しかし、函館市教委は予定されていたプール授業を全て中止することを決定した。

函館市教育委員会・酒井光史 教育指導課長:
子どもたちには大変申し訳ないと思っている

理由はバスの運転手不足だ。
39校の市立小学校のうち、20校にはプールがない。

これまで、設置されていない学校の児童は、プールのある学校にバスで移動し授業を受けていた。しかし、観光需要の復活で人手不足となり、運転手が確保できなかったというのだ。

小学生と親たちからはさまざまな声が

小1女児の親:
楽しみにしていたと思うので、今年はなくて残念

小2女児の親:
あったらあったでいいと思うが、ないならないでいい

小学2年生:
プール授業は、やりたくなかったからいい

小2男児の親:
転勤族なので違う街に行ったときに「やっていなかったの?」となるので、基礎的な教養としてやってほしかった

小学2年生:
悲しい

中学1年生:
この子は、まだ1回もプール授業をやったことがない

教育現場の反応は…。

函館市立駒場小学校・深澤昌明 校長:
今回のことはわれわれも予想していなかった。子どもたちは残念かもしれないが、函館市教委の判断を尊重し児童や保護者に丁寧に説明していく

背景に"バス運転手"不足

プールのない20校だけではなく、プールのある19校も含めた全面中止。

函館市教委によると、一部の学校だけで実施すると教育格差が生じるという理由だった。

函館市教育委員会・酒井光史 教育指導課長:
教育の場で果たしてどうなのか。やれる学校だけでもやっていいのか。非常に悩みと葛藤が教育委員会内でもあり、議論してきた

北海道バス協会によると、今回の問題の背景に確かに運転手不足はあるものの、他の要因もあるという。

依頼があったのが4月で遅く、早めに話し合わないと対応できないというのだ。

さらに、バス会社側も実施に向けて模索をしたという。

プール授業の日をまとめられないか、日程調整を提案したが、されなかったというのだ。
日程調整がつけば、運転手確保は可能だったとしている。

小学校ではプール授業を行わない代わりに、泳ぐ際の心得などを指導するということだ。

2024年度について、函館市教委は…。

函館市教育委員会・酒井光史 教育指導課長:
同じような理由でできませんでしたという話にはならない。バス会社の状況を確認しつつ、実施を前提に早く準備していく

コロナ禍からの復活で、思わぬところに影響が。
子どもたちにしわ寄せが及ばないよう、準備と工夫が必要だ。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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