自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家が注目したのは、こんなお話。

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こんなにササッとできないよ~!という人は…記事の続きをチェック!
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「子どもが『セルフレジをやりたい!』と言い出したけれど、後ろにはレジ待機列が…やらせてあげたいけれど、周りの視線も気になる!」

スーパーにコンビニにと、ますます増えつつある「セルフレジ」。
普段は店員さんが扱っているレジを操作して、バーコードリーダーを自分でピッ!…子どもたちにとっては、なんだかちょっと大人っぽくてカッコイイと感じることもあるはず。

そんなセルフレジ、子どもが「やりたい!」と言い出しても、後ろにレジ待ちのお客さんがズラリ…という状況だと、なかなか子どもだけに任せるのは難しいところ。でも一度言い出したら引いてくれないのも子どもたち。混んでいる時に限って「絶対にやりたい!」と言い出して困ってしまうこともあるけれど、そんなときはどうしたらいい?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

「今日は混んでいるからだめ」は子どもが苦手な対応

――子どもが使いたくなる「セルフレジ」。混んでいる時にはどう説得するのがいい?

セルフレジはバーコードを読むとピッ、ピッと反応してくれるので、子どもたちにとって「楽しそう」「やってみたい」と映るようです。そんな「やりたい」という気持ちを受け止めてあげたいと思う一方で「セルフレジはおもちゃではない」「公の場だから人の目も気になる」と対応に迷う方も……。「子どものやりたい気持ちを大切にしたい」という思いと「でも後ろの人に迷惑はかけられない」という気持ちのジレンマ、きっと多くの方が感じているのではないでしょうか。

そんなとき「今は混んでるからできないよ」とか、「空いているときにしようね」「1つだけね」などと、その場の状況に応じて声をかけ、それでうまく行くのであれば、さほど悩まずに済むかもしれません。ですが「どうして今日はできないの!」「もっとやりたい!」と聞き分けのない状態になってしまうこともあります。いったんそうなると親はゲッソリ、子どもはグズグズと負のスパイラルにはまってしまいます。

子どもの年齢にもよると思いますが、とくに小さいうちは「その場の状況次第で臨機応変に」という対応は苦手です。この場合で言うなら「空いている日はセルフレジをやってもいい」けど、「混んでいる日はダメ」という理解は子どもにとって受け入れ難く、それがもめごとを招いてしまうことになります。

よって、声かけはその子の聞き分け度に合わせることが望ましく、とくに2~3歳のうちは、一貫したお約束の方が理解はしやすいと言えます。混んでいようが空いていようが同じ対応ということですね(例:初めの1回、最後の1回、まったくやらない、など)。セルフレジ自体がトラブルの元という方もいると思うので、そういう場合はセルフレジ自体を使わないというのも選択の1つだと思います。


――じゃあ「セルフレジでの買い物を子どもひとりでやる」のは、何歳くらいからがいい?

子どものセルフレジ利用に関して、世の中の人がみんな寛大な思いで見守ってくれるかと言うとそうではありませんし、その心を持つことを期待してしまうのもちょっと違うのではないかと思っています。よって、子どもが自分で買い物をするようになってからというのが、実際にはふさわしい年齢と言えると思います。

たとえば、小学生になると、子どもだけで遊びに行くことが増えてきて、その途中でお菓子を買ったりすることもあるものです。そのような大人がいない場面で、セルフレジを使用するのはごく自然な形と言えるでしょう。

一方、セルフレジを体験の1つとしてやらせてあげたいという場合は、上に書いたように割り切りができる子でないと混雑時にもめることになり、買い物自体がストレスになってしまうことも。よかれと思ってやった対応が、結果的に自分の首を絞めてしまうことにもなるので、その辺りも含めて判断する方がいいと思います。

「うちの子にはまだ早いかも」と思ったら、一般のレジでお会計をしたり、時間の関係でどうしてもセルフレジという場合でも「静かにできたら最後の1つだけ」といったように、制限かつ一貫性のあるルールにする方が賢明と言えます。


――セルフレジに興味津々、でも年齢的にはまだ心配…そんな子どもたちはどうしたらいい?

「子どもに色々な体験をさせたい」「やりたい気持ちを大切にしたい」という思いは子育てにおいてとても大事なことです。しかし、それで公の場のリズムを崩してしまったり、他者に不快な思いをさせてしまうのは、後々のその子のためにならないので、行き過ぎには気をつけていきたいところです。

「やりたい気持ち」はお家でのお店屋さんごっこなどを通して満たしてあげるのが基本的には望ましいので、そこで疑似体験をさせてあげてほしいと思います。
子どもたちが楽しいと感じるのは、バーコードを読み取る作業なので、口頭でピッ、ピッと言いながらお買い物ごっこをすれば、小さい子であれば十分楽しめると思います。あと今は、お店のようにセルフレジ体験ができる商品もあるようですね。お家であれば、好きなだけピッ、ピッとできますので、そこで気持ちを満たしてあげてほしいと思います。

大人の視点では「ちょうど空いていたらセルフレジをやらせてあげようかな、混んでいたら諦めてもらおう」と思うけれど、子どもたちにとっては「今日は混んでいるからできないよ」というのはなかなか理解しにくく、受け入れがたいもの。
子どもたちをその場で説得するのではなく、お買い物に行く前に「お菓子ひとつ分だけセルフレジをやってもらおうかな」とルールを作っておいたり、「今日はセルフレジは使わないから、また今度にしようね」と言っておくのもOK対応だ。

そもそも子どもたちがセルフレジに興味津々になる理由のひとつは、「ピッ!」とバーコードを読み取る音と動き。まずは家の中で“ごっこ遊び”、疑似体験をさせてあげることで、「絶対にお店のセルフレジじゃなくちゃヤダ!」というこだわりを和らげつつ、子どもたちの「やりたい気持ち」を満足させてあげられるかもしれない。

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※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。