4年ぶりに再開されるはずだった小学校のプール。ところが、函館市内全ての学校で中止が決定。その理由は人手不足だった。
人手不足で函館市小学校のプール中止
2022年度は、約455万人の観光客がおとずれた人気観光地、北海道・函館市。
そんな函館市の教育現場で今、ある異変が起きている。
函館市の教育委員会は、4年ぶりとなるプールの授業の再開を検討していたが、中止を決定。波紋が広がっている。
その理由は、“バスドライバーの人手不足”。
函館市には39の市立の小学校があり、そのうち20校はプールが設置されていない。
これまでプールがない学校の児童は、プールのある学校へバスで移動し、授業を受けていた。
しかし、2023年はプール授業のための送迎用バスを確保できなかったという。
実は、函館市ではコロナが明け、インバウンドや観光客、修学旅行客などが増え、観光バスの需要が回復。
しかし、コロナで観光業界が不振に陥った際にバス運転手を辞めた人も多く、人手不足に陥ったのだ。
プール有無の関係なしに“一律”中止 賛否の声
新型コロナが5類に移行した後に起きた、思わぬ影響。
さらに函館市教育委員会は、プールのない20校だけでなく、プールのある19校も授業の中止を決定した。
全校で中止されたことについて、子どもを持つ親からは賛否の声が上がっている。
函館市民:
平等は必要かもしれないですけど、もうちょっと市の方で考えて、なんとかしてあげた方がいいんじゃないかな
函館市民:
全部なくなると不公平さがない。(一律で)ないなら、全部の学校で良かったのかな。他校の子ともつながりがあるので
函館市の教育委員会は…
函館市教育委員会 酒井光史教育指導課長:
今年度は実施に向けて準備を進めてきたところだったんですけど、まさかというドライバー不足ということに見舞われた。タイミングが重なる形で、観光需要が戻ってきたことが重なって、このような形になってしまいました。非常に楽しみにしていた子どもたちには大変申し訳ないなと思っています。(来年は)実施を前提に、とにかく早く準備を進めていきたい
小学校はプールの授業を実施しない代わりに、泳ぐ際の心得を授業で指導したり、器械体操などの運動を行うとしている。
待遇の見直し「プラス」で一律を
宮司愛海アナウンサー:
4年ぶりの再開ということで、子どもたちも楽しみにしていたでしょうし、何より水泳の授業というのは、水難事故に遭った時に命を守るといった教育的側面もある大切な授業だと思うのですが…なんとかならなかったのでしょうか?
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
一律に止めてしまうというのは、ちょっと僕には理解ができないんですよ。泳ぎを覚えるだけじゃなくて、水の怖さを知ってもらう場ですから。人手不足ということですけれども、観光業の方に人がいってしまったというのは、コロナ後の人の偏り・人材不足の減少というのに共通している。背景の1つは“待遇”だと思うんです。待遇さえしっかりしていれば、観光業に行く人たちを、送迎用のバスの運転をしてもらうようにすることもできると思う。そういうところを見直してほしいと思いますね
榎並大二郎アナウンサー:
一律でプールを中止にした理由は、函館市内の教育格差をなくすためだと言いますけれども、では、函館市外との格差だったり、全国的に見ると市全体でその機会を損失しちゃうのかっていうところが…
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
一律にプールを中止というのは不利益をこうむることですから、そこはやっぱりプラスに一律にするっていうふうに考えを逆転させてほしいと思いますね
(「イット!」6月12日放送分より)